5
「さて、それではラストエリクサーの作り方だが……」
エルフの可愛い生徒たちは、俺の授業を超真面目に聞き入っていた。
前世においては、学校生活なんてクソだるいだけだったんだがな。
みんな俺の授業を聞きたくて仕方なかったと、話をし始める前からうずうずしている様子だった。
クックック……。
これもまた、日々の暗躍の
「この世界では希少アイテムとされている〝ラストエリクサー〟だが、これ自体の生成はそう難しくない。調合スキルを5まで高めた上で、〝エリクサー〟と〝世界樹の薬草〟を組み合わせるだけだ」
そう言って、俺は《エルフリア森林地帯》から採取してきた二つのアイテムを懐から取り出す。
〝世界樹の薬草〟はなかなか見つからないレアアイテムだが、何百周もやり込んだ俺ならもちろん、アイテムのリポップ場所を知っている。
だから特に何を思うでもなく〝世界樹の薬草〟を生徒たちに見せたのだが――。
「す、すごい……!」
「あれ本物……!?」
「パパが一生でひとつ手に入ればいいくらいの、すごく珍しい薬草だって言ってたのに……!」
美しい
「エ、エスメラルダ様。そんなに珍しい薬草を、まさか調合に使っちゃうんですか……?」
「ん? 当たり前だろ。温存するようじゃ持ってきた意味がないじゃないか」
やはり子どもというだけあって、飛んでくる質問も可愛らしいものばかりだな。
真に強い国を作り上げるためには、質の高い教育が必要不可欠。
特にエルフ王国の周辺には優秀な素材が沢山あるので、この調合ができるようになるだけでも、飛躍的な国力増強に繋がるだろう。
そうして無敵の王国を築き上げたあとは、もちろん、俺だけが利する体制を敷いていく。
クックック……この子どもたちにも奴隷のように働いてもらう予定だからな。
そのための先行投資は惜しまない。
今回のために俺自身の調合スキルも5まで高めてきたが、それもすべて、子どもたちに正しい教育を広めていくため。決して中途半端な授業にはしないためだ。
「それじゃあ、見ていろよ。スキル発動――【調合】」
俺がそう唱えると、それぞれ片手に持っていた〝エリクサー〟と〝世界樹の薬草〟が淡い光を放ちだす。
ここで調合レベルが足りていないと失敗に終わるが、5まで達していれば、ほぼほぼそのような事態は起こりえない。
果たしてその数秒後には、二つのアイテムが空中に消え――。
俺の目の前には、瓶に詰められた〝ラストエリクサー〟が出現していた。
味方全員のHPを全回復した上で、瀕死以外の状態異常をも完全に治してしまうチートアイテムだ。
瀕死状態に干渉できない点では、《世界樹の雫》には劣るけどな。
それでも戦闘時では役立つこと間違いないので、これだけでも充分、世界の誰もが欲しがる希少アイテムと言えるだろう。
「す、すごい……!」
「ほんとにラストエリクサーだ……!」
「かっこいい……。エスメラルダ先生、本当になんでもできるんですね……」
一気に驚きの声をあげる子どもたち。
まあ、ラストエリクサーはかなりの高級品だからな。しかもショップで売られる機会そのものがほとんどないので、おいそれと購入できるものではない。
子どもたちが興奮するのも至極当然のことと言えた。
「ふふ、そう驚くことではない。おまえたちもその気になれば、このラストエリクサーを大量に作れるようになるんだぞ?」
「え……? 私たちが……?」
「当然だ。おまえたちは才能がある。調合レベルなどすぐに上がるだろう」
「わああああ! やったー!」
俺の言葉に対し、子どもたちは一様に目を輝かせ始めた。
クックック……俺の嘘にまんまとハマっているな。
種明かしをすると、スキルレベルは努力次第で誰でも上げられるものだ。
そこに才能の有無はないんだが、こうして生徒たちのやる気を引き出すのも、教師として大事な役目だからな。
将来この子どもたちを奴隷のように働かせるためにも、今のうちに個々の能力を高めておいたほうが色々と得だろう。
「私たち、頑張ります!」
「一生エスメラルダ先生についていきます!」
「先生大好きです!」
そう言って目をキラキラさせてくる生徒たちに、俺はやはり笑いが止まらない。
クックック……。
おまえらを徹底的に成長させて、立派な奴隷にしてやるからな。