この方は我がエルフ王国を救ってくださる真の救世主です。

 ゆえに、エスメラルダ様やそのご一行様についても、立ち入り禁止区域に入ることを許可します。

 そしてこれを見ているエルフは、エスメラルダ様の圧倒的風格に気づけず、この許可証の提示を求めたことを猛省なさい。

 この方は絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対この世界に必要な方です。

 まさかしつけな態度を取っていませんよね?


エルフ王国 第五十七代国王    

クローフェ・ルナ・アウストリア 


 翌日。

「こ、これは……!」

 クローフェ女王の許可証を見た門番係の表情が、一瞬にして真っ青になっていった。

 女王の案内で王城に宿泊した俺たちは、一晩休んだあと、さっそくエルフ王国の秘境地帯に足を運ぶことにした。

 その名も……《エルフリア森林地帯》。

 ここには希少なアイテムが沢山あるし、豊富な経験値を持つモンスターも大勢いる。

 ユリシア王女が何を仕掛けてくるかわからない以上、自分自身の戦闘力は高いに越したことはないからな。なによりも、これから悪のおっぱい王国を築く俺自身が弱いままでは、国民たちに示しがつかない。

 だからみずからを鍛え直す意味でも、この《エルフリア森林地帯》に足を運んだのだが……。


 ――すみませんけど、許可証の中身はここでは見ないでくださいね……。ちょっと恥ずかしいので――


 許可証を渡された際、クローフェ女王にそう言われたのを覚えている。

 あの時は許可証を恥ずかしがる意味がまったくわからなかったが、なるほど、こんなことが書いてあったのか。

 ……というか、こんなんおかしいだろ。

 まったく公式文書とは思えない文章なんだが。

「し、失礼しました! まさかクローフェ女王からこれほど慕われているお方だとは……!」

 門番のエルフが慌てた様子で頭を下げる。

「お通りください。あなた様のようなお方を私ごときが引き留めてしまい、大変申し訳ございませんでした」

「い、いや……」

 まあ、文章自体はおかしいが、署名箇所にはきちんと王家の印鑑が使われているからな。

 この許可書が本物だということには疑いの余地がないので、門番もそうせざるをえないのだろう。

「クックック……まあ、わかればよろしい。気にするな」

 しかし、いかに予想外の事態に見舞われたとしても、真の悪役たる者、こんなことで動じるべきではない。

「さあ、いくぞローフェミアにミルア。世界を掌握するのは俺たちだ」

「「はい、エスメラルダ様!!」」

 二人の配下が、大きなおっぱいを揺らしながら俺の声に応じるのだった。