明らかに俺が踏んでしまったので安否をすぐに確かめるが、息はしている。死んではいない。とどめはさしていないようだ。見たところ若い侍であるが、こんな山奥にいるなど遭難でもしたのだろうか。

歳は先日十五になった俺よりも年上に見え、背もかなり大きくなかなか整った顔をしている。

俺は踏んでしまった詫びもかねて籠を前に移動させると侍を背に担いで山を下り、村まで運びいれれば後は村長達に侍をお願いした。なんかいい布の着物とはかまを着ていたし、会うと絶対面倒くさいだろうしな。なんか村長が叫んでいたが無視して俺は家に帰った。

これでもう会うことはないだろうと心の中で「さらばだ、侍」と別れを告げた。


はずだったのだが……。

「お、遅かったな! 勝手に上がっているぞ」

「……………」