本番にはいないのに打ち上げには参加する人の話
「今日は
そう言いながら町に向かって走り出す。
スタンピードがあったのか? いや、それならもっとそこらに
なら、どこかの軍が
しかし遠くから見る限り、こちら側からは
まったく意味が分からないまま雪道を
「……」
そこにはいつもと変わらない光景が……いや、いつもなら門のところに兵士がいたし、わざわざおばさんが門の外を掃除しに来るなんてなかった気がするぞ。
おかしいけど、おかしいようにも見えない。不思議な感覚で脳がバグりそうになる。
門の方に近づいておばさんに話を聞こうとした。
「すみません。今
「ん? あぁ、もう終わったよ。今は広場で打ち上げでもしてるんじゃないかねぇ」
それだけ言うとおばさんは掃除へと戻っていった。
もう終わった、とはどういうことだろう。今日はなにかイベントでもあったっけ?
「とりあえず
よく分からないまま門を抜けて町に入る。
町は人の姿が少なく、なんだか店の片付けとか
朝、出かける時に見た町より全体的に
これは! もしかして!
「牛追い祭りか!」
……いやいや、この周辺に牛系モンスターが出るなんて聞いたことないし、それはないな。
だとすると……。
「トマト祭り的な?」
う~ん……そこまで
まぁでも、だんじり
色々と考えながら町の中心部に歩いていくと、段々と
よく見ると多くの人の服はボロボロになっていたり、
しかし
これは、もしかして!
「そうか!
キュピーンと
確か日本にも
あまりに
「調査完了です。内部にモンスターがいましたが、成り行きで
「それはご苦労様です」
例のモンスターの報告について色々と考えた結果、とりあえず『内部にいたモンスターを討伐した』という事実だけを報告することにしたのだ。
しかし今日は冒険者ギルド内もやけに賑やかで、いつも以上に人が多く、
受付
「今日は賑やかですね。なにかお祭りでもあったんですか?」
これでさっきの名推理の答え合わせをしようとしたのだけど、聞いた
「えっ? もしかして、ルークさんはさっき帰ってこられたのですか?」
「えぇ、
受付嬢は難しい顔をして、少し考えるような
僕の名推理は
えっ? もしかして本当に僕抜きで新年会してたパターン? それで気まずくなってる感じ? いやいやいや……。えっ?
などと内心で冷や
「あの、説明が難しいのですが、簡単に説明するなら──革命が起きました」
「……えっ? 革命って、あの革命ですか?」
「えぇ、その革命ですね」
意味が分からなすぎて頭の中が『?』で
「いや、まったく意味が分からないのですが。では、この
「ソルマズ王家
「……は?」
頭の中の『?』がどんどん増えていく。
ソルマズ家の打倒? エレナ? えっ? エレナ?
どこに、なにが、どうして、それが関係するんだ?
なにがなんだか余計にさっぱり分からなくなってきた……。
そうして僕だけが取り残された世界で
僕が『
◆ ◆ ◆
真の黒幕
「こうなることは分かっていたはずだ」
大理石で作られた
そして壁にもたれかかるように血の海に
その男に
彼の声は
「それでも、こうする……しかなかったのですよ……」
男は力なく。
誰の目から見ても男の命が
「こんなことが、お前の望んだことなのか? こんなことが……」
語りかけるサリオール伯爵の声は
「この国は
男は
「だとしても。どうしてコット村を
「計算外でした……。まさかスコットがあんなに
サリオール伯爵、コット村の村長スコット、そしてこの男。三人はその昔、王立学院で学友だった。
「お前が
「
それは自分にはなかったモノだと男は思った。
男は言葉を続ける。
「それに私は……あちらで……スコットに、
そう言いながら男は血を
「おいっ!」
男の顔は青白く、もはや時間が残されてないことは明白だった。
男はその青白い手で、信じられないような力でサリオール伯爵の手を
「王に……なれ……」
その言葉がサリオール伯爵の心に
男の手から力が抜けていく。体からも力が抜けていく。
そして
サリオール伯爵は男の体を地面に横たえ、静かに神に
その男は確かに大罪を
サリオール伯爵は立ち上がり、前を向く。
「安らかに
静かにその言葉だけを残し、サリオール伯爵は部屋を後にする。
国のためにも、民のためにも、そして友のためにも、立ち止まることは許されないのだから。
◆ ◆ ◆
伝説の聖女の冒険
その昔、ステラという女が王都ソルマールにあるスラムに生まれ落ちた。
スラムでの生活は
「なんだこれ? 食えっかな?」
そう言い終わるやいなや、ステラはノータイムでそのキノコを口に
食えそうなモノは誰かに取られる前に口に入れるという、スラムで
「うん、悪くないな!」
しかし数分後、ステラの体に異変が起こる。
「……頭がクラクラするぞ」
少しのフラつきと思考がどんどんネガティブになる精神効果。そのキノコは毒キノコだったのだ。
しかしステラは動じない。
「まぁ、でも食える食える! クラクラするからクラクラ
ステラはクラクラ茸の毒ですら
そうしてクラクラ茸を
冒険者ギルドの中、モシャモシャと肉を食べていたステラに冒険者が話しかける。
「おう、ステラ、仲間がちっとやらかしちまってな。治してやってくれや」
「いいぞ。銀貨五枚な!」
「司祭でもねぇのにちゃんと金は取りやがる。しっかりしてやがるぜ!」
「おいおい、教会なんかより良心的だろ?」
「ちげぇねぇな! アレに比べたらお前が聖女様に見えてくるぜ!」
ステラはいつの間にか、どこからともなく回復
そして回復魔法が使えるようになった
「はっはー! また成功だぞ!」
ステラは
何故かステラが武器強化をするとほぼ確実に成功するのだ。他の冒険者からしたら意味が分からない。
「一〇連続成功……バカな……」
「もしかして、あのポーズに秘密があるのでは?」
「
力こぶを作ったり体を
そうしてソルマールでは武器強化の前に変なポーズをキメるのが伝統になったのだが、それはまた後の世の話。
そんなことがありつつもソルマールで平和に暮らしていたステラだが、ある日、彼女に危機が
「なんだって! イエティが群れで襲ってきたって?」
「山の
なんと、イエティの大群が町に攻め込んで来たのだという。
他の冒険者がうろたえている中、ステラは立ち上がる。
「ふざけやがってイエティめ! どんだけ
そう言ってステラは冒険者ギルドから飛び出し、ユニコーンに乗って駆け抜けていった。
そしてその日、町の周辺に巣くっていたイエティは
聖女ステラの伝説はこうして始まったのである。
