〝平原〟。〝先輩〟達のデモン・イレブンは、あの〝最終試練〟の後
ウチの店に、
「よう、
「何をいっている!? 今日は
勇者と
「くっ……このアフタヌーンという雑誌の重さは一体!? ワシの
「また
雑誌コーナー前で立ち読みしながら、【魔道士】ルシファーと【
「あいつら鍛えるっていってるよ……どうする!?」
「魔王様と勇者をうまくいかせるのと、あいつらに
「仕方ありません。私の権限で第二形態の限定を解除します。その上で……どちらが長時間立ち読みできるか。本当の意味で決着をつけましょう」
そんな勇者一行をこっそり
「父ちゃん、この電子マネーのカードに三十万Gチャージしてくれない? なんか最近いちいちチャージするのめんどうで」
「仕方ないのう……まぁグレンがそういうのならぁ……」
グレン&王の
「
元・
「
新生ピンクスパイダー頭領、フジコが、気楽に万引きの
「あーあ……」
それを見て、オレ達は苦笑するより他なかった。
「これ、なんか、【SS】キープ無理そうだな……」
「そーね」
「にゃははっ。〝場〟として活用されすぎてるだけで。売上げ【D】ランクくらいしか稼げてねーぜー」
心底楽しそうにいう勇気。
「ま、いいんじゃないですか」
スマホいじりながら適当にいうのは白雪。
「さしあたり。私達には
そんな白雪の言葉に、オレ達は顔を見合わせる。
そうなんだよな。
たぶん、オレ達は。今、この世界に来て以降、一番
〝都合六回転移させられて、六回目の転移で、最初に転移した場所に戻って、そこでその時置かれてた最終試練を乗り越えたら、元の世界に帰った〟
すっかり抜け落ちていたけど……。
あの、最終試練の後、オレ達に、その〝
〝元の世界に帰った〟。
その、〝先輩〟達と同じ
あの後──店に、この試練の一番の黒幕となる存在が来た。
それは、〝先輩〟も知らなかったらしいが……オレ達は知っている存在だった。
神鳥。
七部族
そして、神鳥はいってくれた。
元の世界に帰るか? と。
神鳥
けど、その提案を受けて──オレ達五人の反応は、
「うーん」
「まぁ……ねぇ?」
「にゃはは。そだなー」
「うーん塔子は……」
「俺はどっちでもいいぜ?」
全員……意見をグダグダと先延ばしする、という結論。
いや、なんなんだろ……。
なんでだろ。なんでか……いまだに……決心がつかず。
神鳥を
まぁ、日本の学校やら親は、〝先輩〟と〝
もうちょいこの世界でゆっくりしていきたいとか無意識に思ってんのかな。
まぁそんなわけで。オレ達は、毎度お
〝草原〟で、活気はあるけどゆったりとした時間を過ごしていたのである。
その、瞬間までは。
「オイ! お前ら!」
その時、事務所から、店長代理が飛び出してきた。
「やべぇぞ……!」
「今AMから電話あってよ……! デモン・イレブン、日本で、買収されそうなんだと」
「「「「はぁ!?」」」」
全員
「大手コンビニ、エンジェル・セブンによ。今、日本のネットじゃ
「いやそんなB級都市伝説より、ウチの店はどうなんのよ!?」
「せっかく守ったのに……また
「そこなんだがな」
店長代理が、なんかもったいぶった口調でいった。
「AM曰く。エンジェルのボスから、条件が出たらしいぜ。
次半年間の、デモン・イレブンチェーンの売上げ合計が、エンジェル・セブンを上回れば、デモンイレブンチェーンは存続。吸収
けど、それ達成できなかった場合、デモンは全部解体。スタッフも全員
で、それを受けて、本部からAMに指令がいった。
デモン・イレブン異世界店。半年以内に、俺ら一店でエンジェル・セブン全
「「「「は……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」
店内にこだまする
「なによそれ!」
「まぁ、デモンとエンジェルじゃ規模が
「一店舗に全チェーンの命運
「何じゃそりゃ……!?」
絶句するオレ達。
「あーあ……」
そして立ち込める、
「せっかく凪かと思ったのに……また〝試練〟の始まりか……」
「どんだけ常に〝試練〟降りかかってくんのよこの店!? しかも降りかかる試練、いちいち前回よりスケールアップしてくるし!」
「にゃは。こりゃあ過去最大級に大変そだなー」
「なんか、もう、考えただけでくたびれてきますね……」
口々に
だったが、オレはふと気づく。
(あれ?)
それは、みんなの表情。
(なんか、みんな……文句いいつつ、
店長代理をはじめ。九条も、勇気も白雪も、何故か──文句いいつつ、若干嬉しそうな気配もある。
(あれ……?)
そして、気付く。
(オレも……!?)
窓ガラスに映った自分の顔で気付いた。
オレの口角も──ニッと上がっている。
(そっか……)
そこで、オレは、理解する。神鳥に、返事を保留してる理由。
なんてことはない。
なんだかんだ、オレ達、この世界で〝トラブル〟に出くわすの好きなんだ。
最終試練終わったけど、なんとなく、まだ物足りない。もうちょい、みんなで、なんかやりたい。
だから、返事、保留して。
だから、こんな無理難題ふっかけられたのに──みんな、ちょっと嬉しそうなのだ。
「何笑ってんのよ反馬!?」
そんなオレを九条がはたいてくる。少し嬉しそうに。
「事態わかってんの!? とてつもなくピンチなのよ!?」
「わかってるって……。んじゃ、なんかみんなで作戦考えるか! お客さんも巻き込んで」
午後一時過ぎ。
授業を受けている。
机で
隣の席の
どれもきっと、何気ないけどかけがえのないワンシーン。
けどオレ達も、それに負けないくらい、かけがえのない
オレは今、働いている。
ここは異世界コンビニデモン・イレブン。
オレはアルバイトだ。いつかはオレもここを卒業するのかもしれない。
だけどここで過ごした時間のことはきっと一生忘れない。
そんな何気ないけどかけがえのない時間を。
オレは今日も。オレ達は今日も。
デモン・イレブンで働いて、つむいでいく──
「いらっしゃいませ! ようこそデモン・イレブンへ!」
今日も元気に、オレ達のアルバイトが幕を開けた!
【END】