森──ひたすら森が続いている。
「どこなんだよここは……!?」
そんな、窓から見える眼下の光景を見ながら
「どうやらここは……なにやら、とてつもなく大きな森の中にある、
ゴッ、とジェット
「木!?」
「高さは三〇〇〇メートル以上あります。
「はあ!?」
「三〇〇〇メートル!?」
「ちょ、ちょっと待ってよ……。何で私らがイキナリそんな場所に……さっきまで海のど真ん中にいたのに……」
呆然となるオレ達。頭がまったくついていかない。
しかし、そんな中である。
オレ達の頭をさらに混乱状態に
ピンポーン。
いきなりだった。
こんな時にもかかわらず。店の
いきなり、
「は!?」
「え!? い、一体誰が……!」
ますます混乱するオレ達だったが、
「お……お願いします!
ここはデモン・イレブンですね!?
どうか私を──しばらく、ここで、働かせてくれませんか!?」
そんなオレ達に、闖入者は堂々という。
入ってきたのは……なにやら全身を
「今度は何者だよ……!?」
※
「え、えーと、お
事務所である。
とりあえず、店長代理が、お茶など出しながら、応対。
他のデモン・イレブンのメンバーも全員集っている。
「あの。ここは、二四時間営業していて、その明かり絶えることはなく、いざという時、危機的
すると、いきなり少女はオレ達に確認してきた。
「え!? な、なんでウチの店の名前を?」
「
だから、さっき
これもマナの導きに
だからお願いです。どうか私を……ここで働かせてくれませんか!?」
「い、いや、ちょっと待ってくれや!?
えーーっと、どっから話せばいいのか……? まず。あんた誰だよ!?」
当然の質問を
「あ、すいません、
いうと、少女は、
「私は《
この《世界樹》で、《聖剣ユグドラシル》を守っている精霊です」
「「「「「世界樹!?」」」」」
その発言にオレ達は目を見開いた。ここ、世界樹の上だったの!?
「あれ? 世界樹ってなんだっけ? なんか聞いたことあるような気がするけど……」
「い、いや、ファンタジーとかじゃ定番の、世界支えてたり、世界で一番おっきかったり……ともかくそういう神聖な大木だよ。ていうか、お前、前に世界樹の葉っぱで
「そーだっけ? なんか変なチーズ使ってカルボナーラあんたにつくったのは覚えてるけど……」
「オリハルコンな! チーズじゃなくて!」
世界樹の葉っぱ使って作った草餅のこともオリハルコンのことも忘れてやがる……! さすがファンタジーに興味一切ナシ女……!
「じゃあ、そのもういっこの……《聖剣ユグドラシル》も有名なわけ?」
さらに九条はオレに聞いてくる。
「それは……」
オレは若干口ごもった。
いや、ユグドラシルもなんとなく知ってるけど。その、オレの知ってるユグドラシルと、この世界樹のユグドラシルが同じかどうかがよくわからん。
「《聖剣ユグドラシル》は伝説の剣です」
そんなオレ達のやりとりを聞き、ユグドラは教えてくれた。
「この世界樹に
「ど、どんな願いでも叶う!?」
血相変えて九条。
「はい。で、しかもウチのユグドラシルには、キャリーオーバーというシステムがありまして……一度抜かれた後、次に抜かれるまでの期間が、長ければ長いほど、次に叶えられる願いの規模が大きくなるんです」
「キャリーオーバー!?」
驚いたのはオレ。
「はい。今年は、前回に抜かれてからちょうど千年で……もう、叶えられちゃう願いの規模が、めちゃくちゃにふくれあがってますね」
「なんなのよキャリーオーバーって……ロトなんとかじゃないんだから! ほんとファンタジー世界っていい加減よね……!」
九条が吐き捨てているが、いや、キャリーオーバーがある聖剣あるの、この世界だけだから!
「で、その、ユグドラシルのキャリーオーバーがそれくらいに達していることに気づき、今、ユグドラシルを手に入れる
「ダークハルト……!」
なんか……いかにも強くて悪そうな名前だ。
「彼は今、世界中の生物を、全て自分の下僕にする……そんな目標を
そこで、みなさんに、助力を
前のめりになりながらいってくるユグドラ。
「そういう、たとえば悪漢に狙われてる時。デモン・イレブンは、無条件で我々女子を受け入れてくれると聞きました」
「え? ま、まぁねぇ……」
「た、確かに、コンビニ、そういう側面あるけど」
ユグドラのいうとおり。コンビニには役割として、〝防犯上役にも立つ、いざという時の
交番なんかより、よっぽどどこにでもあって、夜でも
夜の一人歩きで、ちょっと心細い時、もしくはもっと具体的に、変な人やそれこそストーカー的な人がずっとついてきてる時……コンビニに逃げ込んで、なんとかなったケースがけっこうあるって聞いたこともある。
「にゃはは、そういやそうだったなー」
「
「い、いや、まぁ確かにそれはそうなんだが……」
そこで、店長代理が、冷静に聞く。
「それと。
不思議そうにいう店長代理。
そう、問題はそこだった。
ストーカーに追われてる人を店に入れる。
けど、ストーカーに追われてる女の人を働かせる──
それは意味が全くわからない。
「裏をかくためです」
それに対し、ユグドラは自信満々に宣言してきた。
「え?」
「たぶん、ダークハルトも、まさか自身が狙う世界樹の精霊が、コンビニでアルバイトしてるとは夢にも思わないと思うんです!」
それに対し、ユグドラは力説してきた。
う、うん。そら思わんわな!
だってそれもはや世界樹の精霊じゃないし! ただのコンビニバイトだし!
「下手に
さらにお願いしてくるユグドラ。前接客のバイトしてた聖剣の精霊ってどういうキャラなんだよ……。
「わ、わかった……い、いいぜ」
そこまでまっすぐいわれると、
やはり、また、なし
「はあ!? ちょっと店長代理! またぁ!?」
「
「だってしゃあねぇだろ……確かに下手に隠れるより安全かもしんねぇし。まぁ、ストーカーいなくなるまでの一時的な間なんだろ? まぁよしとしてやろうぜ」
「マジか……!」
「てか【S】ランクはどうすんのよぉぉ……!」
こうして、またしても、【S】ランクとはあんまし関係のない
今回は、何故か、世界樹にて、臨時新人バイトを
「やるからには仕方ない……! キチンと
というわけで、まずダークハルトが来る前に、オレ達はデモン・イレブンの制服に
が。研修させてみると……。
「ば、ばか! なんで
「い、いや、ユグドラ、お前な……。いくらなんでも、おでんと成人向け雑誌を
──
ユグドラは、ぜんぜん、仕事ができなかった……。
「す、すいません……でも大丈夫です! 私、前の部署でけっこう重要な仕事任されてたんで、こういうのぜんぜんできるタイプなんです!」
しかも、むかつくのが、仕事ができないだけならともかく、このコ、やたら言い訳が多いことだ……!
例えば、トイレ
で、それに対して注意すると、
「すいません。この店のオペレーションをもっとよくするにはどうするか考えてたら、手につきませんでした」
……こっちがオーダーしてないスケールの大きなミッションに勝手に
いやそんなこと頼んでないですけど!? こういう
あと、
「えーこんなやり方してるんですか? 前の職場ではもっと効率的なやり方で……」
やたら、〝前の職場〟でのやり方をアピールしてくる。
いやしらねーよ! 世界樹の精の前の職場ってどこなんだよ……!?
こういう奴もいるんだよな。〝前の職場〟での過去の栄光前面に押し出してきて、こっちのいうこと聞いてるようで聞いてないバイト……! デモン・イレブン時代もいて、二日でやめてったっけ……。