ナリス学園中等部の最初の授業は、初級魔法学だった。

「私が初級魔法を担当しますジェンナ・ウィスコットです。この中でスキル鑑定を受けていない人はいますか? 皆受けていますね。では魔法を先生について習ったことのある人は? はい、結構」

 最初の質問では誰の手も上がらず、二つ目の質問では私を含め、クラスの四分の一の生徒の手が上がらなかった。

 Cクラスでもこんなにも多くの生徒が入学前に魔法を習っているのかと驚く。

「この授業の目的は、魔力コントロールの精度を高めること。習ったことのない人は難しいかもしれませんが、魔法を使うのに必須の技能ですし、コントロールが良ければそれだけ精密な魔法を使うことができます。ある程度形になってきたら、生活魔法を教えます。生活魔法はスキル関係なく、努力によってできる魔法ですからね。頑張って習得してください」

 生活魔法? 初めて聞く魔法に首をかしげる。スキル鑑定で使えるようになる魔法はそれぞれ違う。私なら本を読むだけだし、スキルが火であれば火魔法しか使えない。

 けれど、生活魔法は努力次第で誰でも使えるようになるという。どういう魔法なんだろう。

 その後まずは腕試しと配られたのは、小さな水色の紙。紙には何も書かれていない。

「今配りましたのは、ゆうです。魔力を込めれば誰でも使えるものです。今後の授業でも使いますから、紙に名前を書いて授業のたびに持ってきてくださいね。さぁ、名前を書き終わったら掌の上に紙を置いて、ほんの少しだけ魔力を込めてみて」

 掌に紙を置き、魔力を込める。

「わっ!」

 いきなり紙が目の高さまで上がってきた。

 周囲を見回すと高さはまちまちながら、みんな同じように紙を浮かせていた。

「皆浮きましたか? よろしい。では掌の上で上下に動かしてみてください。自分の魔力を上に向かって上げたり、下げたりするのです。掌の少し温かな感触を感じますか? いいですね。ジョン、上手です。アビーはもう少し自信を持って! ふらふらしているわ。テルーもお上手よ」

 ウィスコット先生は、並んだ机の間を通りながら、一人一人の出来をチェックしている。

「はい。では今から呼ぶ人はそのまま上下の練習をして。その他の人はこの的まで飛ばしてみて」

 5人ほど名前が呼ばれ、その他の生徒は紙を先生が張り出した的へ飛ばす。

 途中で落ちる人、別の方向へ行ってしまう人、近くの人にぶつかってしまう人、的から少し外れた人もいたが、7人の生徒が的まで飛ばすことができた。私もできた。

 意外と難しくない。これは6歳からずっと魔力コントロールの練習をしていた成果だろうか?

 独学だったけれど努力が実を結んでいるようで嬉しい。