
──白い光が殿下方を包み込む……光が消えるともうそこには何方もおられなかった。
「リリしゃま! リリしゃま! リリしゃまッ!! とうしゃま! リリしゃまがぁ! リリしゃまがいないぃー!! ねえ! とうしゃま! リリしゃまッ!!」
アウルースが泣き叫び、転移門中央の殿下がいらした場所に走って行こうとする。俺はそれを抱き締めて止める。
「アウル……リリ殿下はお城に帰られたんだ」
「うわぁ〜ん! ヒック、いやぁー! リリしゃま! リリしゃまッ!! ぼくもいくれしゅ! おしろにいくぅー!!」
「アウル……」
アウルースが身体を反らし、小さな手を振り回しながら無理矢理俺の腕の中から逃れようとする。
「アウル、リリでんかの……ヒック、ことばをわすれたの? ……ヒック」
「あーしゃ……?」
「リリでんかが、たくさんたべて……グシュ……しっかりおひるねして、いっぱいわらっていてね。て、いってらしたわ。ヒック……」
「……あい……ゔぅ、ヒック」
「だからね、やくそくまもらなきゃ……ヒック」
「アーシャ、偉いぞ。アウルも約束守らないとな」
「とーしゃま……グシュ。ゔぇッ」
「さあ、上に行こう」
「あい、とうしゃま……ゔぇ」
俺はアウルースを抱っこしたまま階段を上る。
「とうしゃま……グシュ……きのところにいきたいれしゅ……ヒック」
「あの樹か?」
「あい……ゔぇ」
アウルースを抱っこしてあの5本の樹に向かって歩く。裏庭の1番奥にある5本の樹。
リリアス殿下が3歳の時に花を咲かせられた光の樹だ。
少しずつ樹が見えてくる……ッ!! ああ、リリアス殿下。あなたは本当に……!
「とうしゃま……! リリしゃまがいましゅ。リリしゃま……うわぁ〜ん……」
「ああ、アウル。本当だ。リリ殿下だ」
アウルースがこの場所に来るかどうかなんて分からないのに。
気付くかどうかも分からないのに。
リリアス殿下、あなたは……なんて……!