その間にも、白い指先で緩慢に肉棒を扱き上げるのも忘れない。少し前まで処女だったはずなのに、彼女の努力家な一面が、この方面でもいかんなく発揮されていた。
「アーヴィン、もう本当にヤバいから」
「うん……そろそろアタシも欲しくなってきちゃったし……シちゃおうか」
そう言いながら、アーヴィンは水から上がり、俺を促した。
「じゃあオズ、ここに仰向けになって」
「ああ」
俺は言われた通りに、床の上に寝そべる。
石造りの床は硬く、冷たく、地味に背中が痛い。俺が横になると、アーヴィンはもどかしげに脚を開いて、俺の腰の上に馬乗りになった。
「うふふ、シたいって言い出したの私だし。私がぜーんぶしてあげるから。思う存分、気持ちよくなってね」
アーヴィンは、はにかみながら俺の上へと覆い被さってくる。頬を軽く摺り合わせると、彼女は耳を舐め、耳たぶを口に含んで甘噛みしてきた。耳元に荒い呼吸。そのまま彼女の舌は顎、首筋へと徐々に南下、肩胛骨の辺りに軽く歯を立てられたその瞬間、ゾクゾクと背筋に電流が走った。
俺はされるがまま。彼女は更にキスの雨を降らせていく。唇で肌を啄み、乳首を舌で転がしたかと思うと、唇を窄めてそれを吸いあげた。
そのまま彼女は身体を擦り合わせてくる。小振りなバストは胸元に、柔らかい下腹部は俺の逸物に押しつけられ、時折、サリッと恥毛の感触を覚えると、既に硬く屹立した肉棒がもどかしげに震えた。
「我慢できなくなってきちゃった……挿れちゃうね」
アーヴィンは、呼吸を乱しながら身を起こすと俺に背を向け、ガニ股になって腰を持ちあげた。そして、反り返りすぎて腹に張りつくような剛直を指先で掴むと、自らの秘裂に導き始める。
くちゅっと、先端が彼女の熱い洞へと呑みこまれていく卑猥な水音が響いた。
「んっ……んんっ……はぁ、はぁ、あぁっ……うぅ……」
彼女がゆっくり腰を落とすと、俺のモノが狭隘な肉穴を押し拡げていく。
「あぁぁあああっ!」
まだ
「んあぁああっ、んんん!」
背中が優雅なカーブを描いてしなり、アーヴィンの長い髪が俺の胸の上へバサッと垂れ落ちる。
「はぁ、はぁ、はぁ……入ったぁ……」
うっとりとした口調でそう呟くと、彼女は前屈みになって俺の腿に手をつき、腰を持ちあげて、自らピストン運動を開始した。
「うっ……アーヴィン!」
肉棒を擦り上げる甘美な味わいに、俺は頬を歪める。しかも、目の前の光景がまた絶品だった。
俺の股間の上で、彼女のヒップが踊っている。
グロテスクな肉棒が、アーヴィンほどの美少女の蜜壺にみっちりと突き立てられている卑猥な光景。彼女が動くとヒップが弾み、肉と肉がぶつかり合う音がした。
「あんっ、あんっ、あんっ、ああっ! あ、あ、あ、あっ……」
リズミカルな喘ぎ声に合わせて、びっしょりと蜜に濡れた俺の肉棒が、彼女の胎内へと姿を消し、また現れる。そのあまりにも卑猥な絶景に、興奮は天井知らずに昂っていった。
彼女はしばらくの間、何度も何度も腰を上下させて肉棒を出し入れすると、今度は挿入したまま身体を回転させる。
「くっ……!」
蜜壺は、咥え込んだモノを捩じ切ろうとするかのように収縮し、俺は思わず歯を食いしばった。
「ああ、オズぅ……」
正面に向き直った彼女は、うっとりとした表情で俺の上へと身を被せてくる。ぴったり肌を合わせると、彼女の濡れた唇が俺の唇へと重なった。
「んっ、んん……」
二人の舌が激しくもつれ合う。まるで飢えた獣のよう。俺たちは互いを貪るように唾液を吸い、呑みほした。
その間も肉棒はきっちりと蜜壺に埋めこまれたまま。アーヴィンが、ゆっくりと腰を動かしている。
「んっ、ちゅっ……オズぅ、幸せぇ……」
「俺もだよ」
甘い囁きを交わし合い、俺たちは頬を擦り付け合う。
「……どんな恋愛物語もおとぎ話もハッピーエンドの後、ヒロインたちはこんな風にいやらしく腰を振ってるんだよね」
それは確かにそうだろう。末永く幸せに暮らしましたという締めの一文には、当然こういうことも含まれている。唐突ではあったが、物語のような恋愛に恋い焦がれた、彼女ならではの感想と言ってもよかった。
「……愛してる」
俺がうわごとのようにそう告げると、その口をまたアーヴィンの唇が塞いだ。
「んっ、ちゅっ……んちゅ、わらひのほうが、あいひてるんらからぁ」
愛の深さを張り合おうというのなら容赦はしない。俺は唇を合わせたままアーヴィンの腰を掴むと肉棒を鋭く叩きこんだ。
「んあぁあっ!」
彼女は堪らず唇を離し、驚いたような声を洩らす。
俺は彼女から主導権を奪い取ると、そのまま激しく抽送を開始した。
「ああっ! あんっ! あ、あ、あっ、そ、そんな急にぃっ! ひっ! ああああっ!」
ズンッと突き上げると膣襞が、歓喜に震えながら肉棒に絡みついてくる。俺はそれを振り払うかのように激しく腰を使った。
激しい突き上げに彼女は髪を振り乱し、俺の胸に手をついてガクガクと震えながら、背を反り返らせる。
「あぁぁああああああっ!」
彼女は切羽詰まった声を上げ、身体を支えるのも辛くなったのか、へなへなと俺の上に倒れこんできた。だが、俺ももう限界が近い。もはや余裕なんてどこにもなかった。
「アーヴィン!
「うん、
俺はラストスパートとばかりに、激しく彼女の奥を突き込んだ。そして、遂に限界を迎える。
ビクンビクンと脈動する肉棒。満を持して俺の熱流が溢れ出すと、彼女は溺れているかのように必死に俺の頭を掻き抱き、同時に肉壺が一気に収縮した。
「イ、イクっ! イクっ! あっ、あっ、あぁああっ! イクぅううううううう!」
息が詰まる。ビクンビクンと脈動を繰り返しながら、二人して身を強張らせる。
やがて彼女の腕に籠もった力が抜け落ちると、がっくりと顔を落とした彼女の濡れ髪が、俺の頬に触れた。
「はぁ、はぁ、はぁ……オズ好きぃ……大好きぃ……」
俺の耳元で、荒い呼吸の間から彼女の囁きが滲み出すかのように零れ落ちる。
俺は返事をする代わりに、彼女の身体を両腕で強く抱きしめた。
第五章 合流 
「きゃっ!?」
「
ミュシャ目掛けて、元気一杯に天井から落ちてきた
「大丈夫?」
「ふぇぇ……なんで、こんなにナメクジだらけなのぉ」
アタシ──ザザが手を差し伸べると、ミュシャは涙目で縋りついてくる。実際、この数はいやがらせとしか思えなかった。ナメクジに大した殺傷能力はないが、あまりにも数が多すぎる。
(考えてみたら、この迷宮作った高祖陛下って、姫殿下のご先祖さまなんだよね……なんというか、わかるような気がするなぁ)
思わず苦笑するアタシに、きょとんとした顔で首を傾げるミュシャ。一方でクロエは次から次へと落ちてくる
「おー……なかなか便利だな、その魔法」
シスターアンジェが珍しく感心したような声を漏らして、クロエがにこりと微笑む。
「うふふ、ある程度は自動で敵の攻撃を迎撃してくれるんです」
「へー、そりゃ楽でいいな」
おっとりしたクロエには悪態をつきにくいのか、女の子ばかりの時はオラついたりしないのかはわからないけれど、現在のシスターアンジェの様子は、先ほどまでに比べてかなり友好的なように思えた。
オズくん、そして姫殿下とはぐれてすでに二時間。私たち三人は今、
(今からでも、引き返した方がいいような気もするけど……)
オズくんと姫殿下が壁面に開いた穴へと落ちた時点で、アタシは一旦地上に戻って救助を求めようと主張したのだが、シスターアンジェはそれを鼻でせせら笑った。
「ばぁーか、帰るんならお前らだけ帰れよ。アイツらだって大丈夫だろ。このぐらいでどうにかなっちまうようなヤツなら、勝手に死ねってだけの話だしな」
アタシが思わずムッとすると、彼女は誰に言うでもなく、こう呟く。
「……オズマさまの墓だってのに、正教会の人間がこの
「墓? ここお墓なの?」
ミュシャがそう尋ねると、シスターはあきれ顔で肩を竦めた。
「なんだ、そんなことも知らねぇのかよ、バーカ。ここの最下層にはオズマさまの聖骸が納められた石棺が安置されてる。そう伝わってる。こんな機会はもう二度とねぇんだ。十階層と言わず底の底まで潜って、オズマさまにお会いするつもりだ。オズマさまの妻たるシスターを代表してな」
知らないというのは幸せなことだと思う。この場にいる四人のうち二人が、本当に大英雄オズマの妻なのだから。
だが、今は優越感に浸っている場合ではない。
「目的変わってんじゃないの! とにかく! 一旦地上に戻って救援を呼びにいくわ! ミュシャもそう思うでしょ!」
するとミュシャは、少し戸惑うような素振りを見せた後、意外なことを言い出した。
「その……私も先に進んだ方が良いと思うんだけど」
「ミュシャまで!?」
「だってザザ、二人が落ちた後、水音が聞こえたでしょ? たぶん二階層ぐらい下に落ちただけだと思うし、落ちた先が水ならたぶんケガもしてないんじゃないかなって……」
すると、なぜか少し楽しそうにクロエが言葉を継ぐ。
「そうですね。急いだほうが良いでしょう。だって、ここはダンジョンの中、オズくんと姫殿下を二人っきりにしてたら……」
「してたら?」
「当然、男女の仲を深めてしまいます! ダンジョンの中だけに!」
「…………」
クロエのドヤ顔とは裏腹に、周囲の気温が一気に下がったような気がした。
ただでさえ静かな迷宮内が、より一層静かになったような気さえする。実際、シスターアンジェも、ものすごく微妙な顔をしていた。
「ダンジョンの中だけに!」
「いや……聞き逃した訳じゃないから」
バディとして一緒に過ごしてきたアタシは、クロエの奇行には多少慣れつつある。
彼女はウチなんかとは比べ物にならないぐらい高位の貴族、リュミエール家の末娘。筋金入りのお嬢様なはずなのだけど、性格は正直、かなり変わっている。
オズくんに嫁入りした経緯もぶっ飛んでいるが、そもそも他人の恋愛事情が大好物で、ご覧の通りジョークのセンスもかなり独特。
(……言いたかっただけなんだろうなぁ)
「クロエ……どう考えても、今は色恋沙汰の話をしてられる状況じゃないと思うんだけど」
伝説の大英雄とはいえ、今日が初めての
だが、クロエは静かに首を振る。
「姫殿下が押しに弱いのはもうわかってるでしょう? ましてや、
「違いなくないよ!?」
だが、『吊り橋効果』とか、もっともらしいことを言われると、流石にちょっと慌てる。とんでもない暴論のはずなのだけれど、姫殿下が既にオズくんの妻の一人であることを知るアタシたちにしてみれば、彼女にまんまと抜け駆けのチャンスを与えてしまったとしか思えない。
「あはは……流石にそれはないってば、姫殿下は王族なんだから」
やや引き気味に、ミュシャが口を挟む。王国民としては常識的な反応だろう。通常、王族は精霊王と契って子を為すものと決まっているからだ。
流石にシスターアンジェもドン引きしているんじゃないかと目を向けると、彼女は顔を真っ赤にして、盛大に目を泳がせていた。
「こ、こども、こどもができるようなこと……」
(あれ? もしかして……意外とエッチなことに耐性がないんじゃ……?)
彼女は、キ○タマだのなんだのと罵詈雑言を言い放ってきたが、よく考えてみれば男女の営みに関わるような発言は、ほとんどなかったような気がする。
(ほほぅ……これは……)
だが──
「もし姫殿下に女の子が生まれたら、何とお呼びすれば良いのでしょうね……姫姫殿下かしら?」
「「「あ……うん」」」
クロエのピント外れな呟きのせいで、アタシたちは急激に冷静さを取り戻した。
結局、多数決的に迷宮を奥へと進むことになって更に一時間、私たちはとんでもない状況に陥っていた。
「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!」
「ひゃぁ!?」
雄叫びと共に、シスターアンジェが雷撃で打ち砕いた蜘蛛型
「はん! 他愛もねぇ!」
「シスター! 油断しすぎです!」
そう言いながら、シスターの脇から飛び出したクロエが両手を振りかぶって、襲い掛かってくる
「クロエ! こっちにも手助けしてよぉ!」
切羽詰まった声を上げたのは、外ならぬアタシである。
後ろから襲い掛かってくる
「それぐらい、自分でなんとかしてください!」
「クロエがアタシにだけ冷たい!?」
「でも、でも……シスター、流石にコレはマズくない? ザザの言う通り一旦撤退した方がいいんじゃ……」
涙目でミュシャが訴えると、シスターアンジェが彼女を怒鳴りつける。
「バカ言うんじゃねぇ! まだ一階層だぞ? これぐらいで音を上げてたら、この先どうにもならねぇぞ!」
最初の方は
決して狭い訳ではない通路を、まるで休日の市場の人込みのごとくに、無数の蜘蛛型
「まだ一階層なのに!? いくらなんでも難易度高すぎない!?」
思わず、泣き言めいた言葉が口を突く。
すると、シスターが稲妻で形作った剣を振るいながらアタシを怒鳴りつけてきた。
「ピーピーうるせぇぞ! 黙って手ェ動かしてろ! こんだけ厳重ってことは、この先に下層階への階段があるに違いねぇんだからよぉ!」
「そんなこといったって、キリがないってば!」
「あーうっせぇ、うっせぇ! 一気にぶち抜くぞ! 遅れねぇようについてこい!」
シスターアンジェが喚き散らすと、彼女の右腕がバチバチと帯電し、腕を包み込むように巨大な突撃槍を形作り始める。
そして、次の瞬間、彼女は大きく腕を振りかぶった。
「ぶち抜け! ライトニングチャージッ!」
紫電の突撃槍と化した腕を真っ直ぐに突き出して、進路上の蜘蛛型守護者を次々に砕き、蹴り倒しながら、彼女は真っ直ぐに駆け出す。
恐ろしい破壊力に目を丸くしたのは、一瞬のこと。ハタと気付いて──
「ちょ!? シスター!」
「あわわ、待って!」
「ひぃいい、置いてかないでぇええ」
私たちはシスターを追って、ひしめきあう

愛の営みを終え、軽い疲労感と十分な満足感で身体を満たして、俺とアーヴィンはあらためて迷宮へと足を踏み出した。
当面の目的は上層階へ向かう階段を探すこと。兎にも角にも、ザザたちと合流しなくては話が始まらない。
「あの子たちも、地上に引き返したんじゃないかしら?」
「ザザやクロエたちだけならたぶんそうするんだろうけど、シスターアンジェが大人しく引き返すと思うか?」
「……思わないわね」
アーヴィンは、苦笑気味に頷いた。
俺たちが落ちたこのフロアは、たぶん三階層か四階層。廊下も室内同様に磨き上げられた大理石で、非常に人工的な雰囲気を醸し出している。
部屋を出発してすぐ、続けざまに
ちなみに、錆びた剣を振るって襲い掛かってくる
それというのも、出発前に彼女がそう望んだからだ。
彼女が前衛で俺が後衛。危なくなるまでは絶対に手を出さないという約束をさせられた。
彼女は彼女なりに、成長したがっているのだ。
「それにしても……何なんだろうな、この手抜きダンジョンは」
「逆に迷いそうよね」
俺の呟きに、アーヴィンが頷く。
手抜きと表現したのは、このフロアの構造があまりにも単純過ぎたからだ。
全てが真っ直ぐで、通路が等間隔に縦と横に交わっている。
行き止まりも無ければ、通路ごとには何一つ特色もなかった。
そして、通路によって切り取られた、いわゆるチェス盤の目にあたる部分が部屋となっていて、その入口は東西南北、いずれかにランダムに設置されているのだ。
恐らくその部屋のいずれかに、上へと上がる階段も、下へと下りる階段もあるのだろうが、部屋の数を思えば気が遠くなる。
だが、俺たちには、今のところ
「とりあえず、このフロアの四隅のどれかに辿り着けたら、そこを起点に当たっていくのが賢明かもしれないな」
「ええ、そうね。次回のためにも、正確に階段の位置を把握しておきたいし」
俺たちは、とにかく真っ直ぐに進み、どうにか外周と思われるところにまで辿り着いた。
見回してみると、幸いにも右側でL字に通路が折れ曲がっているのが見える。東西南北の方向感覚は怪しいが、とりあえずその曲がり角を起点にマッピングをスタートすることにした。
「じゃあ、まずは手前の部屋から順に、外周に沿って調べていきましょう」
「ああ、だが罠があるかもしれないから、気をつけろよ」
「大丈夫だってば」
アーヴィンが前を歩いて、俺たちは一番近くの部屋に足を踏み入れる。
探索開始一つ目の部屋。だがそこで俺は、いきなり極悪な罠に出くわすこととなった。
俺たちにとって……ではない。俺、限定である。
「わあ……立派ね」
部屋に足を踏み入れるなり、アーヴィンが感嘆の声を漏らした。
「勘弁してくれ……」
一方、俺は思わず膝から崩れ落ちそうになる。
そこに鎮座していたのは、ご存じ彫像。例によって筋骨隆々のアレである。
今回のは抱きかかえた、やたら巨乳な幼女の胸を握りしめながら、右腕で巨大なイノシシをぶん殴っている、実に男くさいマッチョの巨大な彫像だ。
それは、大理石で出来ていて、思いっきり黒光りしていた。
(いや……まあいい。そこまでは、百歩譲って良しとしようじゃないか。問題は……)
「なんで、コイツ勃起してんの!?」
「興奮してるからじゃないの?」
そう、今回の彫像は全裸で、
「これは、氷の魔獣と戦うオズマ像ね。出典は確か……正教経典の第十二章だったと思うけど」
「正教経典の十二章は、精霊を身に宿す時に聞かされたからわかるけど……」
たった一章の間に伝説の俺が、謎の幼女と二人で氷の魔獣を倒して海を割り、空を飛び、四十五人の女を抱くという実にトンチキな伝承である。
思わずげっそりする俺とは裏腹に、アーヴィンは興味深げに像へと歩み寄り、よりによって逸物の部分を指先で
「顔は似てないけど、おち○ちんはそっくり。大きさとか血管の浮き方とか」
「そこまでデカくないよねっ!?」
実際、彫像のそれは俺の腕より太い。というか、一国のお姫さまが言って良い冗談ではない。
「そうかなぁ?
「おい、こら! 生々しいからやめろ」
大体にして男の方が下ネタを口にするものではあるが、女性が下ネタを飛ばすと生々し過ぎることになるのはホントなんでなんだろう。
「どんな嫌がらせだよ、これ……」
思わず肩を落とすと、アーヴィンはきょとんとした顔で首を傾げる。
「そうは言うけど、大英雄オズマといえば性欲の権化というのが、一般の認識だもの。この国に存在するオズマ像の大半は勃起してるわよ」
「お子さまの情操教育に悪すぎるだろ!」
だが、彼女は更に俺を絶望させるようなことを口にした。
「こんなのまだマシよ。国立博物館の正門なんて、左右のオズマ像のおち○ちんがアーチを描いて門になってるんだから」
「どんな地獄絵図だ!」
果たして、この国には、ち○この下をくぐるというシチュエーションの頭のおかしさに気付く人間はいないのだろうか? ち○こだぞ?
「だれか、文句言ったりしないのかよ……」
「うーん……でも、言われてみれば、五十年ぐらい前に正教会主導で彫像の打ちこわしを行ったって聞いたことがあるわ」
「まあ、そりゃそうだろ」
「オズマさまの聖根がこんなに小さいわけがないって、基準サイズに達しない彫像は次々に打ち壊されたらしくて、どんどん巨大化が進んだって聞いてるけど」
「そっち!? まず、ち○こを取り締まれよ!」
「だから、この国の芸術は、小ペニス狩り以前と以後に分かれてるって習ったわ」
「だから! ち○こを基準にすんじゃねぇー!」
「ちなみに小ペニス狩りは俗称。正しくは聖根復興運動──ペニッサンスっていうのよ」
「ドヤ顔すんな!」
「そのお陰で、最近の前衛彫刻家のつくる像の中にはおち○ちんの方が身体より大きいのもあるぐらい」
「前衛的過ぎる!」
(それ、もうオズマ像じゃねぇよ! ち○こ像だよ!)
この国の頭のおかしさは充分に理解したつもりだったのだが、どうやら俺はまだまだ甘かったらしい。流石にツッコミ疲れて息を切らす俺に、なぜかアーヴィンが冷ややかなトーンで囁きかけてきた。
「それはともかくオズ、この巨乳幼女は誰なの?」
「知らねぇよ!」
「自分のことでしょう? 責任逃れは男らしくないんじゃない? まず巨乳ってところが気に入らないわ」
「冤罪にも程がある!?」
実際、この時代に伝わっている伝説の俺はどう考えても俺じゃない。身に覚えのないことばかりだ。それを責任云々と言われても困るとしか言いようがない。
「一説には、このモチーフの幼女は高祖フェリアさまだっていう説もあるみたいだけど、他の高祖さまの彫像とは、顔も体型も全然違うのよね」
そう言われて、俺はその幼女像の顔をあらためて眺めた。
(んん? 確かにフェリアには似ても似つかないけど……でもどこか、見覚えがあるような?)

フロアの探索を進めれば進めるほどに蓄積するダメージ。数部屋ごとに設置された頭のおかしいオズマ像は、着実に俺のメンタルにダメージを与えてくる。
ここまでは、アーヴィンが言っていたほどの前衛的な代物はなかったが、実に残念なことにどれも見事に勃起していた。
「どうやら、この階層はオズマの業績を称えるフロアみたいね」
「称えるって表現には、すごく抵抗を感じるんだが……」
俺の体感としては完全に晒し者である。
「いい加減に割り切ったら? オズとは似ても似つかないんだし、別人だと思えばいいじゃない。我が国の美術は大英雄オズマをどう描写するかっていう一点で発展してきた訳だし、いちいち凹んでたらキリがないわよ」
「そうは言うけどな……」
「そんなこと言ってたら、大バルサバル卿との友情モノなんか見たら死んじゃうわよ」
「ゆ、友情……モノ?」
「友情モノっていうのは、お互いの──」
「あー! 大体分かった! 言わなくていい! っていうか、絶対言うな!」
俺が声を荒げると、アーヴィンはさもおかしげにクスクスと笑った。
精神面のダメージは深刻だが、このフロアから上層階への階段を探し当てるまで、探索をやめる訳にはいかない。
それに、敵は彫像だけではないのだ。(※注、俺の中では、彫像は敵という認識である)
途中、幾度も
総括すると、被害は俺のメンタルだけだ。うん、実に理不尽。
俺の身悶える様子が相当楽しいらしく、アーヴィンはニヤニヤしながら彫像について必要以上に詳細に説明しようとする。
それを耳を塞いでやり過ごしながら、俺たちは部屋の探索を続行し、二十四部屋目にして、遂に上層階へと向かう階段を発見した。
『
実際、階段のすぐ脇には天幕が設置されており、その傍に常駐係員と思われる男性がいて、突然現れた俺たちに気付いた途端、彼はギョッと目を剥いた。
「な、なんだ? どこから来たんだ、君たちは!? 今日は、まだ誰も階段を下りてきてないはずだぞ! って……ひ、姫殿下ではございませんか!」
アーヴィンが一緒だと、流石に話が早い。
俺たちが簡単に経緯を説明すると、彼は驚きと共に興味深げに頷いた。
「そんな未発見ルートがあったとは……。十回層までは探索されつくしたと思われていたのですが。流石姫殿下! 大発見でございますな!」
「それで……ここは三階層でいいの?」
「左様でございます」
アーヴィンの問いかけに、係員は恭しく頷く。
「それで、姫殿下はこれからどうなさるおつもりで?」
「そうね……このフロアに落ちたせいで他のメンバーとも
「それでは少しお待ちください」
そう言って、係員は天幕の中に入っていく。しばらくして戻ってきた彼は、アーヴィンへと恭しくこう告げた。
「第二階層の係員と連絡をとって見たのですが……」
「連絡?」
俺が首を傾げると、彼は「そういう魔道具があるのだ!」と口を挟むなとばかりに言い放ち、再びアーヴィンへと向き直る。
(アーヴィンと俺の扱い違い過ぎないか?)
まあ、一般生徒と姫殿下では扱いが違って当然なのだろう。
「お仲間と思われる方々は既に第二階層へと下りておられますね。かなり前です。第二階層はさほど広いフロアではありませんので、もしかしたらそろそろ──」
彼がそう口にした途端、まるで狙いすましたかのようなタイミングで、階段の上の方からドタドタと足音が響いてきた。
「来たみたいですね」
「あ──っ! いたっ!」
係員が苦笑するのと前後して、頭上から聞き慣れたザザの声が降ってくる。
見上げれば、ザザを先頭にクロエとミュシャが階段を駆け下りてくるのが見えた。その後をブスっとした顔で、シスターアンジェがゆっくりと着いてくる。
「よかった! 心配したんだから!」
慌ただしく傍へと駆け寄ってきたザザが俺の手をとると、その背後からミュシャが、小声で問いかけてきた。
「オズくん、大丈夫? その……姫殿下に酷いことされなかった?」
「ちょっと! それ、どういう意味!」
アーヴィンが瞬時にいきり立ち、俺がまあまあと宥めた。
ミュシャの心配もわからなくもない。ザザを表向きの婚約者に据えて以降、教室でのアーヴィンは、ずっとイライラした雰囲気を漂わせていたのだ。
俺への当たりも強く、同じ最下級クラスの男子からは、「あんなキツいこと言われてもめげないなんてすごいな」と、メンタルの強さを賞賛されることもあったくらいだ。
だが、俺にしてみれば、嫉妬するアーヴィンは可愛いし、二人っきりの時の甘えっぷりを思えば、昼間のギスギスは、むしろ夜の生活のスパイスでしかない。
昼間の彼女の態度をネチネチと責めて、謝らせながらのわからセックスには本当に興奮させられるのだ。最近は俺自身、割とS傾向が強いことをはっきりと自覚しつつあった。
「だってさ……姫殿下のことだからオズくんのこと、こき使ってるんだろうなって」
ミュシャのその一言に、アーヴィンはちらりと俺の方を盗み見る。
「ま、まあ、それは当然こき使うわよ。こんな男。私の役に立てるのだから、泣いて喜んでほしいぐらいだわ」
嫉妬深いだけではなく、見栄っ張りなところもアーヴィンの魅力の一つだし、また一つ、夜のベッドでネチネチと責める材料が増えたと思えば、少々何を言われても気にはならなかった。
そんなゲスなことを考えながら、俺は小声でヒソヒソとザザに問いかける。
「ザザ、シスターアンジェはどうだった?」
「……女の子だけの時は、大分マシかな。ミュシャのことは、ちゃんとバディとして気にかけてるみたいだし」
「仲良くなれそう?」
「うん、まあ一応。アタシが……というよりはクロエがね。気が合うみたいで」
それは、かなり意外な気がした。
クロエは相当な変わり者ではあるが、高位の貴族令嬢。いうなれば箱入り娘だ。
一方のシスターアンジェは、生い立ちや家庭環境は知らないが、態度や言動を見る限り、スラム街の吹き溜まりから湧いて出てきたと言われてもおかしくないように思える。
「なんか、二階層に下りた辺りから二人で合体必殺技とか考え始めちゃって、アタシとミュシャは蚊帳の外だったぐらいだし……」
「合体必殺技!?」
それはむちゃくちゃ興味深い。考えてみれば水は電気を通す。確かに何かしら新しい魔法を生みだせそうな気がした。
(そうか、属性二つかけ合わせるってやり方は、考えたことなかったな……)
俺が思わず考え込む素振りを見せると、シスターアンジェが、ザザの背後で不機嫌そうな声を洩らす。
「おい、クソ野郎! 話が済んだんなら、とっとと下の階層に下りるぞ」
第六章 夜の二人 
「はぁあ……疲れた」
王城に戻り、寝室に辿り着くや否や、俺は制服の上着を脱ぎ棄ててベッドに身を投げ出す。
すると、煽情的な夜着に着替えたザザが、後ろ手に扉を閉じながらクスリと笑った。
「あはは、お疲れさま。本当に大変だったよねぇ」
「
「うーん、ちょっと捻くれてるだけなんだと思うけど」
俺がうんざりした気分のままに溜め息を吐くと、ザザが苦笑しながらベッドに腰を下ろした。
「捻くれてる……ねぇ」
先日、シャーリーもフレデリカ姫の護衛で正教会の大聖堂を訪れた際、彼女とは軽く揉めたと聞いている。果たして、全方向に刺々しいあの態度を『捻くれてる』で済ませていいものだろうか。
「ところでオズくん、口の中とか怪我した?
「いや、それにはちょっと深い事情が……」
怪訝そうに顔を覗き込んでくるザザを見上げて、俺は、今日の出来事へと思いを馳せた。

地上に戻ろうと主張する俺たちに対して、シスターアンジェがただ一人、更に下層を目指すと言い張ったのである。
「帰りたいなら、お前らだけで帰りゃいいじゃねぇか!」
「それが出来たら、苦労はないんだってば。今から戻ってもギリギリだよ。落第したいわけ?」
大声を上げるシスターに、ザザが言い返す。ザザの背後にはイラついた表情のアーヴィン。クロエは我関せずで、ミュシャはオロオロと順番に全員の顔色を窺っている。
俺としては「勝手にしろ」と、そう言ってやりたいところではあるのだけれど、
そういう意味合いでは、俺たちは確かに運命共同体なのだ。実に残念なことに。
「関係ねぇし、落第とか」
そして
「これだから正教会の連中はイヤなのよ。わがままで社会性ゼロ、まともにコミュニケーションもとれやしないんだから」
呆れ口調で唇を尖らせたのはアーヴィン。
後半は、ほぼ自己紹介なんじゃ……とは思ったが、もちろん、そんなことを口には出せない。
いらないことを言わないというのは、円満な夫婦関係を保つコツである。
とりあえず、それなりにこの暴走シスターと友好関係を築けていそうなザザとクロエ、バディであるミュシャの説得に期待しようと思った矢先、シスターアンジェは俺の方へと顔を向け、嘲るように唇を歪めてこう言い放った。
「お前がここで勝負してくれるってんなら、話は変わるぜ、そっちが最優先だ。どうだ? 力ずくで言うこときかせてみろよ、お坊ちゃん」
「アンタねぇ! いい加減に──」
声を荒げかけるアーヴィンを手で制して、俺はシスターアンジェに向き直る。
(まともに相手していられないな……)
たぶん、これ以上いくら言葉を尽くしても状況は変わらない。
俺は実力行使に出ることを決めて、アーヴィンへとこう告げる。
「先に地上に向かってくれ。とりあえず、このわからずやをぶっ倒して、すぐに追いかけるから」
「……大丈夫なの?」
「余裕だよ」
俺の発言が聞こえたのだろう。シスターアンジェの周囲に怒気が膨れ上がった。それでいい。冷静さを欠けば欠くほどに視野は狭まるのだから。
「ちょ、ちょっと! オズくん」
シスターアンジェの剣呑な雰囲気に、ザザとミュシャが不安げな顔をした。クロエは完全に傍観者の態勢。ホントいい性格してる。
だが、アーヴィンは少し戸惑うような素振りをみせたもののすぐに頷き、「オズの邪魔になるから」と、皆を促して階段を上がっていった。
ついでに、係員がやっかいごとはまっぴらごめんとばかりに、そっとテントの中に消えていったのには、流石にちょっと呆れたが。
「随分舐めた口きいてくれんじゃねぇか、てめぇ!」
アーヴィンたちの姿が見えなくなった途端、シスターアンジェは俺の胸倉を捩じり上げ、威嚇するように顔を突き付けてくる。口元を歪めたその表情は、もはや街中のチンピラと大差がない。
「まあ、落ち着けって。悪いけど、勝負なんてする気ないし」
実際、まともに相手をしてやるつもりはない。これは経験則。
生前、似たような
以来、こういう
だが、こういう態度を取れば、彼女の怒りに火を注ぐことは明らかだった。
「ふざけんな! 女の前じゃ格好をつけて、いなくなってからごめんなさいってか? おめぇがやらねぇって言ったって関係ねえ! 一方的にブチのめしてやらあ!」
そう言って彼女が拳を振り上げた時にはもう、俺は魔法の発動を終わらせていた。
精霊魔法を発動したならバレもするだろうが、これは俺の時代の魔法。この時代の人間である彼女にとっては、初めて目にする魔法である。
俺は、彼女の鼻先にフッと息を吹きかけた。
「んぁ? くさっ、え……な、なん……て、てめぇ……」
途端に、彼女は戸惑うように目を見開いたかと思うと、ガクガクと身を震わせる。そして、俺の身にすがりつきながら、彼女はずるりと足下から崩れ落ちた。
スタンクラウド──麻痺毒を含んだ小さな雲を俺と彼女の間に発生させ、彼女の鼻先へと吹きかけてやったのだ。
彼女も精霊魔法は警戒していただろうが、これは流石に予想出来なかったはずだ。前提となる知識がないのだから、不意打ちもいいところである。
ただ、気になるのは彼女が最後に発した一言。
「くさっ?」
スタンクラウドは無臭である。
(え? も、もしかして……俺、臭い……のか?)
思わぬ反撃を受けて凹む俺。自分の臭いは自分ではわからないのだから、もしかして臭いんじゃないかと、ヤな感じの不安だけが取り残された。

「あはは、なるほどねー。それで口を気にしてたんだ」
「あの……ザザ。俺、臭くないよね?」
不安げな顔をするオズくんがとても可愛く思えて、ついつい意地悪をしたくなる。
「大丈夫、大丈夫。アタシ、オズくんのにおいは好きだし」
「やっぱ、臭いんだっ!?」
「オズくんの場合、臭いも大英雄だから」
「それ、暗に無茶苦茶臭いって言ってるよね!」
ベッドから飛びのいて距離を取ろうとする彼の手を掴んで、アタシは笑顔で首を振った。
「あはは、ウソ、ウソ、冗談だってば」
「勘弁してくれよ……」
ホッと胸を撫で下ろすオズくんはやっぱり可愛い。大英雄かどうかなんて、本当にどうでも良くて、アタシは、ただただ彼が愛おしかった。溢れ出るそんな想いを持て余して、覆い被さるように彼と唇を重ねる。
「もし本当に臭かったら、こんな風にキスしたいとか思わないし……」
最初は啄むような口付け。唇の感触を味わいながら、アタシは静かに目を閉じた。
「んっ、んんっ……んふっ、んっ、んんんっ……んじゅるっ、んんんっ……」
大胆に絡み合う二人の舌。唇と舌が織り成す甘美な刺激に背筋がゾクゾクした。自分でも不思議なぐらいに昂っている。もしかしたら、クロエが彼のモノになったことを意識してしまっているのかもしれない。
嫉妬していないと言えば嘘になる。オズくんがアタシ独りに繋ぎ止められるものではないこともわかっている。それでも彼のことを一番気持ちよくできるのはアタシ、そう思いたかった。
キスをしながら胸をはだけ、もどかしく思いながら彼の腰からベルトを外し、ズボンから逞しいモノを引っ張りだすとゆっくりと手を上下させる。
彼のモノはすでに硬く張り詰め、火傷しそうなほどに熱かった。先端から滲み出る雫を肉幹に塗り広げると、浮き上がった血管の感触が指先に生々しい。
「っ、んっ……」
硬く張り詰めたモノを扱き上げると、膨れ上がった快感に彼はわずかに声を震わせた。
「ぷはっ……ちょっと激しくし過ぎた?」
「いや、気持ちいいよ、ザザ」
「じゃあ、もっと気持ちよくしてあげる」
アタシは、そう口にすると身を滑らせるように彼の足の間に移動して、膨れ上がった先端に舌を這わせる。途端に彼がピクンと腰を震わせた。
「ぐっ……」
「れろっ、れろれろっ……れろちゅぱっ、れろろろろっ……」
舌に広がる体液の味に嬉しさがこみ上げる。愛する男の子に尽くしている。そう思うと下腹部が火照って、身体が燃えるように熱くなった。女の悦びがお腹の奥から湧き上がって、子宮をジンと疼かせる。
「いいよ、ザザ。気持ちよすぎて、気を抜いたらすぐイキそう」
「いつでもイっていいよ。オズくんのエッチなミルク、全部アタシに呑ませて」
アタシは、口でしてあげるのが一番好きだ。彼に尽くしている。そんな満足感が堪らない。もちろん、挿れられるのも嫌いではないけれど、奥を突き上げられると快感に我を忘れてしまって、わけがわからなくなってしまう。いやらしい肉棒を咥えながら、いつもりりしい彼の表情が快感に崩れるのを見上げていると、本当に幸せな気分になるのだ。
アタシは亀頭を咥え込み、激しく頭を上下させる。
「んっ、んちゅっ、ちゅぱっ! れろっ、んんっ、ちゅううっ!」
「はあっ、ザザっ!」
唇で激しく扱き上げると、オズくんの手がシーツを握りしめる。一秒でも長く快感を味わいたいと思ってくれているのか、下腹部と足に力をこめて、必死で射精を堪える姿がまた愛おしかった。
「んふっ、んちゅるっ、じゅるっ! んふっ、れろっ、れろれろっ、ずずずずっ!」
(オズくん、アタシで気持ちよくなって! いっぱい、いっぱい、気持ちよくなって!)
心の中で語りかけつつ、猛然と口淫奉仕を続けていく。深夜の寝室に彼のかすかな呻き声と淫靡な水音が木霊した。
「っ……ザザ、また上手くなったんじゃない?」
「うれしい。何回でもイかせてあげる。アタシでいっぱい気持ちよくなって」
ほめられると思わず顔がにやけてしまう。奉仕にもますます熱が入るというものだ。
やがて彼が「うっ!」と短く声を洩らし、怒張がビクンと脈打った。
ビュッ、ビュビュッと矢継ぎ早に噴き上がる絶頂の証し。熱い白濁液が喉を打ち、アタシは思わず目を白黒させる。
(ああ、オズくんの精液ぃ……すごい勢い、溺れちゃいそう)
口内を埋め尽くさんばかりに溢れ出る白濁液。でも絶対に零したりなんかしない。そんなもったいないことしたくない。粘つく液体の濃厚な味とその生臭さに頭の奥がジンと痺れた。
(ああ、幸せ、幸せぇ……嬉しすぎてアタシまでイっちゃいそうだよぉ)
愛する少年の精液を飲んでいるのだと思えば、絶頂にも似た恍惚が身体の隅々まで満ちていく。
最後に残ったモノをズズズと吸い出して彼のモノから口を離すと、赤黒い先端と私の唇との間に白い糸が引いた。
「うふっ、いっぱい出たね。気持ち良かった?」
「うん、最高」
満足げな彼の笑顔を目にして、喜びが胸を覆い尽くす。もっともっと彼を喜ばせたいという想いが切羽詰まったような欲求として湧き上がってきた。
「じゃあ、次はこっちで楽しんで」
アタシは身を起こすと、膝立ちになって彼の腰を跨ぐ。そして、射精直後の若勃起を掴んで上向かせ、濡れそぼつ秘唇へと宛がった。前戯なんて必要ない。私のココはもう、彼のモノが欲しくて欲しくて、浅ましく涎を垂らしている。
「い、挿れちゃうからね」
「ああ」
ゴクッと生唾を呑みこんで、ゆっくりと腰を沈めていく。柔らかな女の穴へと彼のモノ、その赤黒い先端がずぶずぶとその身を埋めていく。
「んっ、んんっ……」
(ああっ、やっぱりオズくんの……大きいっ!)
狭い膣道を押し拡げられる感覚はいつも通り甘美で、愛する者とひとつになれる悦びに満ちていた。足りない空間を埋められる充足感は何物にも代え難い。
「んんっ、あぁあああっ! はぁ、はぁ、入ったよぉ……はぁあ……」
腰を落としきったアタシは、だらしなく笑み崩れそうになるのを我慢しながら、大きく吐息を漏らす。彼の雄々しさを噛みしめ、あらためて彼の妻になれた悦びで胸をいっぱいにした。少し前までは想像もできなかった性の悦び。子宮口を圧迫される息苦しさでさえ愛おしく思える。
「ザザのは、優しく包みこんでくれるみたいで入れてるだけで安心する」
「うれしい」
私は、ゆっくりと腰を前後させ始めた。
「んっ、あっ、んんっ……」
動きに合わせて、フリルで飾られた夜着の裾が閃く。
(ああっ、擦れる……すごいぃ……)
膣内では雁首によって肉襞が、膣外では恥骨によってクリトリスが擦り上げられ、二種類の異なる悦楽に意識が甘く蕩けた。
「んっ、んぁっ……どう、アタシの腰遣い、気持ちいい? んっ、んあ、んんっ……」
蕩け切った頭。ぼんやりした意識のままに問うと、彼が柔らかく微笑んだ。
「気持ちいいよ。それに、気持ちよさそうなザザの顔、すごくエッチで興奮する」
彼は寝ころんだまま手を伸ばし、おっぱいをむんずと鷲掴みにする。アタシの膨らみがむにゅっと卑猥に歪んで、思わず吐息が洩れた。
「あん、オズくぅん……」
もみもみと指を使いながら、彼が楽しげに口を開く。
「ザザのおっぱいは揉み甲斐があるからいいよね」
「えー? 誰と比べて?」
「う……」
少し意地悪をすると、彼は気まずそうな顔をする。そして、その気まずさを誤魔化すように、彼の手の動きが速くなった。
「あっ、んあっ、んんんっ……」
「ザザ、おっぱい吸わせて」
「うん、いいよぉ……」
彼が胸から手を放し、アタシは上体を倒してベッドに手をついた。眼前に乳房を晒すと彼は我慢できないと言わんばかりに乳首へと吸い付く。
「あぁん……」
乳首を中心に波紋のように広がる快感。ピクン、ビクンと腰が跳ねる。彼は膨らみを揉みしだきながら、右から左、左から右へと交互に授乳器官を舐めしゃぶった。
「あんっ、オ、オズくん、好きなだけ吸っていいからね。あ、あ、あ、あっ、いいっ……このおっぱいも全部オズくんのものなんだからぁ……」
甘ったるい声を上げつつも、アタシは腰の動きは休めない。だって、愛する旦那さまを気持ち良くするのがアタシの役目なのだから。
満足いくまでおっぱいを舐めしゃぶった彼は、アタシを抱きしめると、ゆっくりと上半身を起こして対面座位の態勢になる。
「こうやって抱き合うと、恋人同士って感じがするね」
「恋人同士ぃ……んんっ、れろっ……んふぁ、んむむっ、じゅる、ふぅううんっ……」
恋人同士という言葉には憧れがある。恋人と呼ばれる間もなく彼の妻になってしまったのだから余計にだ。
情熱的なディープキスを交わしつつ、愛し愛される喜びに浸りきる。
「んっ、ザザが可愛すぎて、俺もう我慢できないよ」
悪戯っぽくそう口にして彼は、ベッドの反発を利用して、抱き合ったまま激しく突き上げ始めた。
「ひっ! こ、こんないきなり、ああっ! んあっ、は、激し、あっ、あっ、はぁあんっ!」
胡座を掻いた彼の上で、上気した肢体がゆさゆさと弾む。アタシは彼の腰に両足を絡ませてしがみつき、ぎゅっと目を閉じて真下からの衝撃を受け止めた。
(あぁあっ! 串刺しにされてるみたい……き、気持ちいい)
濡れに濡れた蜜襞を激しく擦り上げられる快感。その上、子宮口へ勢いよく衝撃を与えられては、もはや冷静ではいられなかった。
(ああっ、これ激しすぎる! 何も考えられなくなる。おかしくなっちゃう)
理性がゴリゴリと削られて、目の前がチカチカして頭の中が白く霞む。
「あぁんっ、ダメっ! あっ、すごっ、ひゃぁっ、んあ、ああっ、はぁあんっ!」
必死に彼にしがみついて、アタシはされるがまま。
「あんっ、も、もうっ、あ、あ、あ、あっ、ダメっ、おかしくなっちゃうよぉ!」
「まだまだっ!」
上下運動が止まったかと思うと、彼の腰が緩やかな円を描き出した。
「あぁあああっ!」
先端が子宮口を捏ねるとその動きに合わせて目の前で極彩色が飛び散る。最奥をねっとりと擦り上げられる愉悦に意識が甘く蕩けた。
(なにこれっ、す、すごすぎるぅ……)
「ほら、もっと奥、感じさせてあげる」
「ああっ、オズくんっ! そ、それヤバっ……ダメッ、ダメダメダメ……あぁああああっ!」
桁外れの悦楽に、身体中の毛穴という毛穴が開くかのような錯覚に見舞われる。全身から力が抜けて、全力でしがみつかないと後ろへ倒れてしまいそうになった。
「あ、ほ、ホントにダ、ダメだからぁ……」
イヤイヤと首を振るアタシ。彼がその唇を奪って、ねっとりと舌を絡めてくる。
(ああっ、本当にヤバいんだってばぁ……)
子宮口を責め立てられながらの熱烈な口付け。脳裏が白く霞んで、もはや思考能力はほとんどない。感情の赴くままに舌を絡め続けると、官能のボルテージが急速に上昇曲線を描いていった。
「んあっ! はぁ、はぁ……オズくん、ア、アタシっ、もう……」
唇が離れると、アタシは懇願するように彼を見つめる。もはや自分がどんな顔をしているのかもわからなかった。きっと、すごくいやらしい顔をしているに違いない。
「いいよ、一緒にイこう」
彼は、アタシを抱きしめる腕に力を込めると、再び激しく腰を突き上げ始めた。
「ひぃいいいっ! あ、あ、あ、あ、あっ!
「イくよ、ザザ! くっ!
彼の叫びと共に、アタシの最も深い場所で、熱い飛沫が猛然と噴き上がった。
「ああっ、すごいっ、
高らかに絶頂を歌い上げ、アタシはギュッと両手両足に力をこめて彼を抱きしめる。
(ああ、熱いっ……精液が溢れてるっ……ああ、幸せ……幸せぇ……)
彼のためだけに存在する器官に放出される熱い飛沫、いつもながらこの瞬間は、女に生まれて良かったと思う。めくるめく快感もさることながら、愛する旦那さまの愛を我が身で受け止められるのは何よりの幸せだと思うのだ。
「ううっ、締まる……」
絶頂による不随意の締めつけに彼が表情を歪める。脈打つ怒張からは断続的に精が放たれ、胎内を満たしていった。
「はぁ、はぁ……」
二人の吐息が部屋の内側を埋め尽くし、アタシたちは互いに身を預け合う。
アタシは、四人の妻の一人。
この先、彼はもっと多くの妻を娶ることになるのだろう。それでも、彼のことを一番気持ち良くしてあげられるのはアタシ、そう思いたかった。