
「イルカちゃん」
呼びかけた先にはイルカの姿がある。黒っぽく見えていたのは背びれだったのだ。イルカは私の呼びかけに返事をするかのように「キュイ」と鳴くと、なんとそのまま浜辺に乗り上げた。その背中には白いなにかが乗っている。水に濡れるのも
「キュイキュイ」
そんな私にイルカが懸命になにかを訴えてきた。
「この白いのを私に?」
私が問いかけると正解だったらしく、とても元気に「キュキュイ!」と鳴く。
『助けてやってほしいそうだ』
クストーデがイルカの意思を言葉にした。偶然なのかなんなのか、どうやらイルカはこの白いなにかを私の元に運ぶためにやって来たようだ。
イルカの前に膝をつき、クストーデを下ろす。そして背中に乗っていたそれを恐る恐る持ち上げる。私が持ち上げたことを確認すると、イルカはそのまま後ずさり始めた。
「大丈夫? ちゃんと沖まで戻れる?」
声をかけるとまるで大丈夫だというようにくちばしをクイっと上げ、そのまま身体を大きくくねらせながら、海へと戻って行く。
そして無事に海の中に戻ったイルカは大丈夫だと立証するように、大きくジャンプをして消えて行った。
「それはなんです?」
私を追いかけてきたルトが白いなにかを指差す。私に抱かれているそれは微動だにしない。胸元に抱き寄せて濡れている毛をそっとどかすと、黒い可愛らしい鼻が見えた。
「生きてるんだよね?」
鼻に耳を近づけホッとする。ちゃんと息はしているようだ。取り敢えずは濡れた身体をなんとかしようと、魔法で乾かしてみる。ペシャッとしていた毛並みは、乾くと緩くカールしてフワッとした姿になった。
「仔犬のように見えるね」
私の背後から覗き込んでいたお兄様が言う通り、見た目はふわふわな毛並みの仔犬のようだ。大型犬の仔犬くらいの大きさだろうか。けれどただの仔犬ではない決定的に違う部分があった。未だ
「大丈夫?」
仔犬のように見えるそれは、呼吸も落ち着いていて外傷もなさそうだけれど目は覚さない。眠っているだけなのかなと思っていると、クストーデがクンクンと白い子の匂いを嗅いだ。