エピローグ


 私たちは今、アルの案内で、王都で街歩きをしている。

「ねえ、アル。あれはなあに?」

 そして私が指差した先には、良い匂いのする屋台のようなものがあったのだ。

「ああ、あれは獣の肉を金属の串に刺して焼いた、屋台料理だな」

 やはり、あれは焼き鳥の屋台のようなものだったらしい。

「食べてみるか? 美味いぞ?」

 アルが懐から袋を取り出す。

 多分、奢ってくれると言うのかなあ?

 でも自分で言い出しておいてどうなのかな、と思って自分も懐からお金の入った袋を取り出そうとした。

「こら、チセ。ここでは全部奢ると言っただろう」

 つん、とアルに額を人さし指で軽く押された。

「だって、自分で言っておいて奢ってもらうなんて、『奢って欲しい』ってねだっているみたいじゃない」

 ぷうっと私は頰を膨らませる。

「ねだるくらいでいいんだよ」

 アルがそう言って私の膨らんだ頰をつん、と押す。

 私は、頰が熱くなるのを感じながら、押された方の頰を手のひらで隠す。


 ──なんか、これってデートっぽくないかな?


 そう思ったら、途端に頰が熱くなったのだ。

 そうして歩いているうちに、屋台の前に到着した。

「ほら、どれにする? ピグ豚に、コック鶏、珍しいな、こっちはカウ牛だ」

 何だか、前の世界で聞いたのと似たような獣の名前をアルが説明してくれた。

 私はコック鶏、アルはカウ牛を選んで、近くにある噴水のそばのベンチに並んで座る。

「ん! 美味しい!」

「だろう?」

 私たちは顔を見合わせて笑う。二人とも、目は美味しさにまんまるになって、お揃いだ。

「んーー!」

 横からもう一切れ嚙み取って、その肉を咀嚼しながらアルの方に顔を向けた。

 すると、私と同じように口を動かしているアルが目を細めた。

 当たり前かもしれないけれど、アルのその表情には、髪の毛が赤かった時と同じような少年っぽさが残っていた。

 空はどこまでも澄んだ青空。

 そして隣には、多分、大好きな人。


 ──ずっと、仲良く一緒にいられたらいいな。


 神さまの思惑はどうであれ、私はこの世界で大切な人を見つけだした。

 もし神さまが天にいるのだとしたら、任務を達成した私たちには、このあと幸せな人生を揃って送らせてくれてもいいんじゃない?

 私はそう思って、微笑みながら空を眺めるのだった。