プロローグ


「やった! 異世界転生したわ!」

 私は両手をバンザイして叫んだ。

 東京では見たこともない、抜けるような青空が木々の隙間から見える。その空を薄い雲が上空の風にどんどん流されていく。

 澄んだ空気。

 風に運ばれ鼻腔をくすぐる土と緑の匂い。

 私の周りは見渡す限りの森。

 柔らかい草の絨毯。

 そして私の隣には、異世界転生お約束のスライムらしい子がいた!

 淡いピンク色の球体で、目らしきものと口がある。頰なのかな? と思える位置のピンクが少し濃い。

 おいでおいでしたら、そのスライム(?)は、警戒もせずにぴょんとジャンプして私の頭の上に乗ってきた。

 私の頭の上に乗ったそこの子に触れると、まあるい形とゼリーのような質感がする。そして私の頭が動くとその動きにつられて揺れて、ぷるんと震えるのだ。


 ──うわぁ!

 なんか異世界って感じだよね!


 それにしても異世界転生だというから、赤子からスタートなのかと思ったけどそうでもないらしい。私はスライムを頭の上に乗せたままじっと自分の手のひらを眺める。

 グーパーをして確認するそれは、十歳はなんとか越えているんじゃないかと思える、子供のそれだった。