わーんと泣きながら、エレノアが部屋から走り去っていくのを、ウィルやミア達が慌てて追いかける。その姿を呆然と見送っていたクライヴの横で、イーサンが「おやおや……」と呟いた。

「エレノアお嬢様が悋気りんきを起こされるとは……」

「は!? 悋気!?

「ええ。どうやらお嬢様は、私とクライヴ様がゾラ男爵令嬢の事を話し合うのをご存じだったようですね。それが嫌で、あのような行動を取られていたのでしょう。……罪なお方だ」

無表情にそう告げ、クイッと眼鏡のフレームを指で押し上げたイーサンは、赤らんだ顔で口元を覆うクライヴを見ながら、目を細める。

その瞳には揶揄うような色が浮かんでいたのだが、エレノアから初めて激しく嫉妬された事実に軽くパニックを起こしていたクライヴは、その事に気が付く余裕は無かった。