花音の髪を留めている一つと、花音が詩穂の髪に留めてくれた一つ──二つのヘアピンがまばゆいばかりの光を放ち、花音と詩穂をみ込んだ。

 せんれつな光はイロウスのしようき飛ばし、詩穂を失った闇の砦をもしようめつさせる。

 すべての闇を消し去らんとするかのように。

「詩穂……ありがとね……」

 目も開けていられないせんこうの中、詩穂は確かに花音の声を聞いた。

「大好きだよ、詩穂……」


 光がはじけた。

 花音におおかぶさるようにしてたおれていた詩穂がそっと目を開ける。

「こ、これって……」

 その身は星衣に包まれていた。

 星守の証であるせいに。

「神樹様が……?」

 つぶやく詩穂に、もちろん答える声はない。

 だがきっとそうなのだろうと信じた。

 花音を強く想う気持ちが神樹に届いたのだろうと──

「か、花音ちゃんは!?

 急いで起き上がった詩穂が見下ろす先で、彼女もまた星衣となっていた。

「ない……キズが、ない……」

「ん……んんっ……」

 もぞもぞと身じろぎした花音がそっとまぶたを開く。

「あ、あれ……?」

 急に痛みから解放された花音がとんきような顔で、自分を見つめる詩穂と視線が交差する。

「詩穂……? なにがどうなって……」

「花音ちゃんっ!!

 起き上がろうとした花音に詩穂がきつき、強く抱きしめる。

「痛くない? どこかケガはない?」

「だ、だいじようみたい……」

 心地ここちよい息苦しさにボーッとしながら花音が答える。

「どうして私たち、星衣になってるの?」

「分からない……でも今はそんなことどうでもいいっ! 花音ちゃんが目を覚ましてくれた、それだけで、それだけで、私は……」

「ぐ……ぐるじい……」

 ようしやない詩穂のほうように花音がもがく。

 でもその目にヘアピンが──詩穂の髪に留まったヘアピンが映った瞬間、安心したように詩穂が小さく微笑むと、彼女の背中をそっとなでた。

「もうっ、なーにやってるのよ、二人とも!」

 そんな二人にうららが声をかけた。

 花音と詩穂がり返ると、そこには星守クラスの仲間たちがいた。

「みんな……イロウスの相手をしてたんじゃ……」

「消えちゃったわよ!」

 詩穂が元に戻ってくれたこと、花音が無事であったこと、そのあんからちょっと涙ぐんでいたが、うららはそれをさとられまいとじように振るっていた。

「消えた……?」

「はい、お二人が光りかがやいた直後に……」

 心美が首をかしげていた。

あとかたもなく消えちゃったんです」

「アタシたちもなにがなんだか……」

「ええ、あんなにいたのに……」

 みき、昴、遥香も急展開についていけていなかった。

「でもでも、詩穂せんぱいもどってきてくれて良かった!」

「花音せんぱいもいっしょで、ミミ、安心したよっ」

「うむ、なによりじゃ!」

「カノン! シホ! おかえりっ!」

「ようやく終わったのですわね……」

 中学生組が花音と詩穂の無事を心から喜んでいた。

「これで一件落着だな! のぞみ、くるみ、おつかれ様!」

「ゆりもね」

「うん……がんった……」

「は~ん♡ かわいい二人が戻ってきてくれて、れんげもしあわせ~♡」

「これからどうする、明日葉?」

「まずはくも先生にれんらくしよう。二人が神樹様に選ばれたことを報告しないと……」

 そう言って明日葉が通信たんまつを取り出した時──向こうから通信が飛び込んできた。

『星守クラスに伝達します……』

 どこかきんちようと不安をはらんだ樹の声だった。

『七嶋葵の……居場所をき止めたわ』

 その一言に、それまでなごやかだった空気がこうちよくした。