序章 私と婚約者と義理の妹


 それは私とセブランが18歳になった春の出来事──

 私たちはガゼボの中にいた。

いとしのレティ、どうか僕と婚約してください」

 幼馴染おさななじみで子供の頃から大好きだったセブラン・マグワイアが私、レティシア・カルディナに紫色のバラの花束を差し出す。

 セブランが私の前で片膝をつき、婚約を願い出てくれるその姿をどれほど夢見ていたことか……けれど、それはもう過去の話。

 今は悲しい気持ちで彼の言葉を聞いている。でも、それは私が心変わりをしたからではない。セブランを愛する気持は今も変わりはないのだから。

 ただ……変わってしまったのは──

「ありがとう、セブラン。……つつしんでお受けいたします」

 手を伸ばし、差し出されたバラの花束を受け取ると、彼に安堵あんどの表情が浮かぶ。

「あぁ、よかった……君に断られたら、どうしようかと思っていたよ」