第十一章:世界一の名店に



「ロールちゃん、宝物の世界から戻ってきて。王様からもらった小切手もしまうよ。そんなに握りめるくらいならしまってね~」

『もういい加減にしてほしいニャ』

「へぁぁ~」

 ネッちゃんといつしよに、貴重品の山の中からロールちゃんを引きずり出す。そろそろ隠し金庫もいっぱいになってきた。ロールちゃんはそれがうれしいらしく、えてパンパンになるようにめ込むのだ。せめてせいせいとんしようよ、と何度言っても聞いてくれない。

 はぁぁ~とか、ほぁぁ~とか、呟いているロールちゃんを揺すっていると、キャンデさんが帰宅した。

「お帰りなさい、キャンデさん」

「ああ、ただいま。ほら、今日のしゆうかくだ」

「ありがとうございます! ……うわぁ、〈コブラボア〉ですね! なんて、おいしそう……」

「後で下処理を手伝ってやる」

〈コブラボア〉。見た目はちょっと小型のいのししどくへびにも負けない非常に強力な毒を持っているのだ。ぼうの少ないお肉が特徴的で野性にあふれる。また新しいメニューが作れそう。

 さて、そろそろ営業の看板を出そうかな。そう思って、とびらを開けたときだ。

「『あっ! 開店したぞー!』」

「…………え?」

 お店の前には見たこともない大行列ができていた。いや、お客さんたちは見たことが……。

『レベッカ殿! お久さリスね! あのときの味が忘れられず、また来ちゃったリス!』

「ス、スクアーさん!」

「お久しぶりです、レベッカさん。ぼくたちにまたあのおいしいお料理を作ってくれませんか? 今度はちがうメニューがいいです」

「よっ! またうまい飯食わせてくれ」

「今日は私史上初、星五つ差し上げる日かもしれませんね」

「ロビン君! それにナサリエル君とフィオナちゃんも!」

『こんにちは、レベッカさん。また一族総出で来てしまいました』

「ミレーヌさん! エルフの皆さまがた!」

『レベッカ、メシ食わせロ』

「ガルグさんいつこうまで!」

『あれから、殿でんの料理を忘れたことはない』

「レベッカさん、あなたのおかげで幸せに過ごせています。その節は本当にありがとうございました」

「グリゴリーさんにフランソワーズさん! お幸せそうで何より!」

「レベッカ嬢、お主の料理がどうしても忘れられなくてのぉ。また作っておくれ。まさしく世界一の名店じゃな、ホッホッホッ」

「王様! この前ぶりでございます! 衛兵の皆さんも勢ぞろいですね!」

 今までのお客さんたちがいつせいに再来店してくれたのだ。もちろん、嬉しいのだけどうまくさばけるかな。不安に思っていたら、ズダダダッ! とだれかが駆けてくる音がした。こ、今度はなに!?

「皆さん、どうぞどうぞ! お入りください! さあさあさあ!」