第十章:〝カフェ・アンチドートのパンケーキ〟



「き、緊張してきたね、レベッカ」

「う、うん、胸がドキドキするよ」

『ネッちゃんは昨日よく眠れなかったニャ』

 王様を助けてから数週間後、私たち〝カフェ・アンチドート〟一同はドキドキしながら食堂で待機していた。なぜなら今日、王様がお食事をしに来られるから。《毒消し》スキルで〈ハザードフグ〉の毒を消したとき、ぜひ一度訪問したいと約束されたのだ。もろもろの下準備は済んだ。あとは来るのを待つだけ。終始ドキドキしている私たちを見て、キャンデさんが呆れたように言った。

「お前たち、もっとシャキッとせんか。そんなんじゃ自信なげに見えてしまうぞ」

 キャンデさんだけはだん通り落ち着いていた。変に気負うこともなく堂々としている。こ、これがSランク冒険者……。この平常心は私たちも見習わなければならないね。

「レベッカ、料理の準備はしなくていいの? 王様来たらすぐ知らせるよ?」

「ありがとう。でも、大丈夫。もう準備はできているから」

 準備が大変だから、フルコースみたいなおおかりな料理は作らなくていい……と王様には言われていた。ちなみに、メニューのご希望もすでに聞いている。こんな料理が食べたい、と伝えられたのだ。みんな(ロールちゃんとネッちゃん)で深呼吸をしていると、シュウン! とかわいた音が外から響いた。王様は転送魔法で来るらしい。きっと着いたのだ。

「行こう、みんな!」

「うん!」

 急いでお店の外へ出る。あの日と同じように数人の衛兵さんがいた。私たちを見るとしやくしてくれる。そして、彼らの後ろからは……。

「レベッカ嬢、久しぶりじゃの。元気にしておったか?」

「お、王様っ! はい、元気でございますっ。王様はいかがでしょうかっ」

 フリーデン王国の王様がゆったりと現れた。長い白ひげと長いはくはつ。ローブも相まって、だいほう使つかいみたいな雰囲気だった。前にお会いしたときは具合が悪かったこともあるためか、以前よりずっと元気に見える。

「お主のおかげで完治したぞよ。その節はまことにありがとのぉ……ホッホッホッ」

「治ったと聞いて安心いたしました、王様」

「あのときはワシもこれまでかと思った。お主ががみのように見えたぞ」

 王様はひげを撫でながらおだやかに笑う。衛兵さんもがおだった。国のトップが回復して、本当に安心したのだろう。先にみんなをしようかいしておくことにした。

「王様、〝カフェ・アンチドート〟の仲間をご紹介します。こちらは宿屋を一人で切り盛りしているロールちゃんです」

「ほぅ、お主があのロール嬢とな。一人で宿を切り盛りとは素晴らしい」

「よよよ、よろしくお願いいたしますっ!」

 ロールちゃんは緊張した様子で、王様とあくしゆわす。王宮に行った日、みんなのことも話していた。

「こっちは猫妖精のネッちゃんです。いつも一緒にいます」

『ネ、ネッちゃんだニャ』

「キレイな毛並みじゃのう」

 ネッちゃんも王様と握手する。毛並みをめられ嬉しそうだった。

「そして、あちらにいらっしゃるのがキャンデさんです。Sランク冒険者で、私たちじゃるのが難しい食材を狩ってきてくれます」

「キャンデだ」