間章:お義姉さま……(Side:アンジェラ)
「王様の容態は一向に良くならないぞ! 意識を失ってからもうすぐ一日だ!」
「非常に強い毒に
「ポーションの専門家を連れてきました! 先生、こちらにお願いします!」
衛兵や医術師たちの激しい声や足音が、扉の向こうから聞こえる。あたくしはお母様、お義父様と一緒に小さな部屋に
ここは王宮にある収容
あろうことか、あたくしたちサンデイズ家は王様を殺そうとした罪に問われているのだ。あり得ないでしょ、いい加減にしなさいよ。
「アンジェラ、どうにかしなさい。私たちをここから出すの。全ての罪はあなたが
「そうだ、そうだ。罪を
「罪を被れって、子どもをなんだと思っているの!」
「親の言うことはちゃんと聞きなさい、アンジェラ」
「そうだ、そうだ。言うことを聞くんだ、アンジェラ」
「……ぬあああああ!」
「「こ、こら、やめなさい! 引っ
「「おい! 王様に何を食べさせた!」」
内側からは開かない小窓が、バンッ! と激しく開けられた。衛兵たちのキツイ視線が突き
このお調子物がぁ!
仕方がないので、
「た、たぶん、〈ハザードフグ〉って魚かしら?」
「「たぶんってなんだ! よく分からない食材を食べさせたのか!」」
「早くここから出しなさい! あたくしたちは
怒鳴り返してやると、衛兵たちは静かになった。やれやれ、この人たちは叫ばないとわからないんだから。
「出すわけないだろ! お前たちは王様の殺人
「今すぐ
「もし王様が死んだら、
告げられた言葉はあたくしの……いや、あたくしたちの胸に
さ、殺人未遂罪……? し、死刑……?
あまりの
「ア、アンジェラ、さすがに死刑はまずいわ。このままじゃ殺されちゃうじゃないの。どうにかしなさい……」
「そ、そうだ、そうだ。し、死刑になったら私たちは死ぬんだぞ。アンジェラ、どうにかしろ……」
「そんなこと言ったって……あたくしにも、どうにもできませんわ……」
いつものように怒鳴り返す気力もなく、呟くように言うことしかできなかった。
□□□
もう何時間、何日経ったのだろう。あたくしは
死刑になるんじゃないのか……死ぬんじゃないのか……あたくしの人生はここまでなのか……。
そんなことばかり考える時間を送る。
こんな時間がいつまで続くの? いっそのこと殺してほしい……。
「「王様が回復されたぞー! 意識を取り戻したー!」」
……え? 今……なんて言ったの?
「お、お母様、お義父様。今の聞こえました?」
「え、ええ、もちろんよ。回復したってハッキリと」
「王様が回復……つまり……治ったってことか!?」
暗い気持ちは徐々に打ち消され、心の中に光が差し込む。あたくしたちの顔にも
「ねえ! 王様が回復されたってほんと?」
「ああ、本当だ」
……
やっぱり、さっきの歓声は王様が復活したことを祝う声だったらしい。悩みが
「
「……レベッカ嬢?」
「ああ、そうだよ。王様の毒を消して治してくださったのは、お前の
レベッカ・サンデイズ嬢だ……サンデイズ嬢だ……嬢だ……。
衛兵の言葉が頭の中に
「お、お義姉様が……? 治した……王様を……?」
呟くように聞き返すも、衛兵が
つまり、あたくしは家から追い出したお義姉様に……外れスキルだと馬鹿にしたお義姉様に……助けられたってこと?
「…………ぬあああああ!」
まさか、お義姉様にこの
こんなことあってはならない。絶対に認めてなるものか。屈辱と
「王様は無事回復されたが、これからお前たちの処遇を決める」
その言葉とともに扉が開かれ、さらに何人もの衛兵が部屋に入った。
「ちょ、ちょっとやめてよ。痛いじゃないっ」
「
「私は当主だぞっ。離せっ」
□□□
「これからお前たちの処遇を決める」
「「ぐっ……」」
あたくしたちは、縄で後ろ手に
ここは裁きの間。
罪を
「アンジェラ・サンデイズ、サンデイズ
怒りで取り乱すこともなく、淡々と告げる。不気味な落ち着きが逆に
「レベッカ
王様が健康だと正式に言われ、ホッと胸を
「
さらに大臣からありがたい言葉が。どうやら、命だけは救われたらしい。死の
そう、安心していたけど、次に告げられた言葉はかつてないほどの衝撃をあたくしたちに
「お前たちは……
大臣が言い終わったとたん、静寂が訪れた。
終身刑……。
頭と心に
「ま、待って……それはあんまりで……」
「会議の結果、お前たちの処遇は終身刑と決まった。死ぬまで
大臣たちはさっさと席を立った。同時に、周囲に
「お、お待ちください! 今一度考え直しを! 終身刑はおやめください!」
お母様とお義父様も、あたくしと同じように声を張り上げる。
「ま、待って! お金をあげるから
「そ、そうだ、そうだ! サンデイズ家の資産を全てやるから見逃してくれ!」
衛兵たちはピタリと立ち止まる。よかった……考え直してくれたのね。
「金なんか
「王様を殺そうとした人間だぞ! 一生
「せいぜい死ぬまで自分の行いを反省することだな! 命があっただけ感謝しろ!」
見逃してくれるはずもなく、あたくしたちは引きずられる。彼らに連行されてきたのは、暗い地下牢獄。ここだけ
「「さあ、さっさと入れ! ここがお前たちの家だ!」」
「「うぁっ!」」
ドカッと
「ア、アンジェラ、なんとかしなさい……。一番若いんだから……」
「そ、そうだ、そうだ。お前がどうにかするんだ……。私たちよりずっと若いんだから……」
二人の声など耳に入らない。あたくしの頭も心も胸も、ある思いでいっぱいだったからだ。
一人の
いつもおいしい食事を安く作って、サンデイズ家の家計を助けてくれた。
あたくしの義姉、レベッカ・サンデイズ。
――お義姉様を追放したりしなければ、こんなことにはならなかったのに……。あたくしはなんて
後悔に後悔を重ねる。お義姉様の追放に反対すればよかった……もっと食堂を手伝えばよかった……。
しかし、いくら