「あ、あの~、これはいったい……」

『私の領地で採れたダイヤの原石だ。君たちに対する正直な気持ちだ。……受け取ってくれるか?』

 グリゴリーさんの瞳はダイヤモンドのようにんでいる。……いや、大変に澄んでいるのだけど、なおに受け取ってしまうのははばかられた。だって、この石ころ一つで人生何回分遊んで暮らせるのだろうか。

「も、申し訳ございません。お気持ちはありがたいのですが、さすがにもらいすぎなので……っ!」

「お気持ちもダイヤもありがたくちようだいします! ありがとうございます!」

 へんきやくしようとした瞬間、ロールちゃんが光の速さで回収してしまった。ぎゅぅっとダイヤモンドを固く抱きしめる。

「はわわ……」

『喜んでくれて何よりだ』

 グリゴリーさんは嬉しそうに笑ってらっしゃった。も、もっと適したおはらいで良かったのですよ? また新たな、はわわ……要素が増えてしまった。これからはもっと気をつけねばと決心しつつ、グリゴリーさんをげんかんまで見送る。いよいよ、最後のお別れだ。

「レベッカさん」

 外に出たとき、すずのような美しい声で呼ばれた。晴れて愛するグリゴリーさんと結ばれた、天使のようにキレイな女性だ。

「フランソワーズさん、今日はありがとうございました」

「お礼を言うのは私ですわ。お料理、とっても美味おいしかったです。この日のことを私はずっと忘れないと思います。そして……あなたに出会えたことがとても幸せです」

 フランソワーズさんは私の手を握り、お礼を言ってくれた。感動で目がうるうるしちゃう。また会えたらいいな。

『さて、私たちはそろそろおいとましよう』

「ええ、グリゴリー様」

 グリゴリーさんはフランソワーズさんをそっと抱く。森へ向かおうとした二人を見て、心配になった。月明かりは出ているけど、まだまだ夜は深い。

「あの、歩いて帰るんですか? 夜の森は危険ですから、もしよかったらまっていただいても……」

『心配ありがとう。だが、問題ないさ』

 グリゴリーさんがマントを広げると、黒くて大きなつばさに変身した。おおお~、カッコいい。そのまま、さつそうとフランソワーズさんを抱きかかえる。

『では、また会おう!』

「今日は本当にありがとうございました!」

「「お元気でー!」」

「お前たちならどんな運命にも勝てる!」

『また来てニャー!』

 月夜に飛び立つグリゴリーさんとフランソワーズさんに、いつまでも手をる。

〝カフェ・アンチドート〟初のプロポーズは、大成功で終わった。