第二章 再会


「さっさと起きろ!」

「うっ……」

 腹部に衝撃が走り、その痛みで俺は目を覚ました。

「いつまでも寝てんじゃねぇ。さっさと仕事しやがれ」

「がっ……」

 目を開いたところで、今度は顔に蹴りを入れられてしまう。

 大した痛みではないが、寝起きに攻撃されたのではさすがにたまらない。

「ここは……」

 俺は慌てて上半身を起こし、周囲を見渡す。

 そこはごつごつと岩肌がむき出しの、薄暗い洞窟のような場所で、周りにはガタイのいい、よろいなどを身に着けた男たちが立っていた。

「死ぬのは初めてじゃねーだろーが! いつまでもほうけてないでさっさと起きろ!」

 団子っぱなの人相の悪い男が髪をつかんで、無理やり俺の体を引き起こす。

「くっ……」

 この男は、確か……

 薄ぼんやりとだが、自分の状況を思い出す。

 一万年前。そう、俺が《最弱の攻略者》と言われていた頃のことを。

「すみません」

 やられてることは理不尽極まりない暴力だ。

 だが俺はこの男──パーティーのリーダーであるぶすじまに謝罪する。

 時間の巻き戻った今の俺に、エターナルダンジョンをクリアした力はない。

 一応、ライフストリームとエクストリームバーストは使えると思うが、状況をハッキリさせるまではおとなしくしていた方が利口だ。

「ちっ、いいからさっさと進め」

「わかりました」

 俺は毒島の命令に素直に従い、ダンジョンの先頭を歩き出す。



◆◆◆



 レジェンドスキル【不老不死】。


 それは絶対に死なず、ダメージや異常を瞬時に回復する効果のあるスキルだ。

 メリットだけ見るなら、それは最強クラスのスキルと言っていいだろう。

 何せ、何があろうとも、本人が死を望まない限り絶対死なないスキルなわけだからな。

 ただし、このスキルは、というかレジェンドスキルに分類されるスキル全てではあるが、効果が強力な分、それに対応する強烈なデメリットがあった。

 俺の【不老不死】デメリット。


 それは──レベルアップ不可と、スキル取得不可である。


 絶対に死なず、どんな病気や状態異常をも無効にする【不老不死】。

 だが同時にこのスキルは、俺のあらゆる変化をも禁じてしまう。

 そう、成長もだ。

 それこそが強力すぎる【不老不死】の、あまりにも大きすぎるデメリット。


 レベルアップとスキルの取得は、攻略者にとって伸びしろの全てと言っていい。

 そのため、その二つが制限されてしまうのはあまりにも致命的だった。

 ……不死身という特性があっても、成長できなければただの死なない人でしかないからな。

 そんな俺についた二つ名が、最弱の攻略者というわけである。


「ぐっ!?

 前方から飛んできた岩が直撃し、俺の腹部から右肩にかけてが吹き飛んだ。

 普通の人間なら、即死のダメージである。

「トラップだらけだな。ほんと、メンドくせぇダンジョンだぜ」

 俺から少し離れた後方を歩いていた毒島たちが、遅れてやってくる。

「おい、さっさと起きろ」

 気絶していると思い込んでいる毒島が、俺を殴ろうとする。

 俺はそれを、手を上げ制した。

「大丈夫です」

「んあ? 死んだのに気絶してねーのか?」

「慣れてきました」

 かつての俺なら、痛みで意識を失っていたことだろう。

 だが、エターナルダンジョンで一万年間ひたすら死に続けた今、上半身が一部吹き飛んだぐらいの痛みで意識が飛ぶようなことはない。

「はっ! だったら休んでないでさっさと歩け!」

 毒島に蹴り飛ばされ、俺は再び歩き出す。

 俺のこのパーティーにおける仕事はトラップの処理と、魔物による奇襲への備えだ。

 【不老不死】によって不滅の肉体を持つ俺は、トラップにかかろうが、魔物に奇襲されようが死ぬことがないからな。

 おとりとしては一級品というわけである。


 ちなみに、トラップや奇襲に対する対策アイテム、スキルというものはちゃんと存在している。

 だがこのパーティーはそれらを利用しない。

 なぜなら……そういった関係のスキル持ちは比較的貴重で、代替えとなるアイテムも値の張る消耗品となっているからだ。

 まあ要は、俺を雇って安上がりで済ませてるってわけである。


◇◇◇


「うおおおぉぉぉん!」

 ダンジョンを進んでいくと、おおかみの雄叫びが聞こえてきた。

 それとほぼ同時に、物陰から二足歩行の狼。ワーウルフが三匹姿を現す。

 魔物だ。奴らは獲物である俺たちを見つけると、迷わず突っ込んできた。

 ワーウルフの強さのランク分類はEと低めだが、それでも魔物であるため、熊すら一撃でほふるほどの力があると言われている。

 つまり、攻略者でなければ到底対処不能な化け物というわけだ。

「……」

 俺はとっに身構えそうになったが、それをめ、あえてそのまま抵抗せずにワーウルフの爪によって引き裂かれることを選択する。

 命の力を使えば戦えはするだろう。

 だが、レジェンドスキルの制約で強くなれないはずの俺が急に強くなったら、毒島たちに勘繰りを入れられてしまうのは目に見えていた。

 時間が巻き戻ったばかりで正確に状況を把握できていない今は、とにかく、目立たずおとなしくしておくのが吉だ。

「へっ! !!

 毒島たちとワーウルフたちとの戦い。

 一般人から見れば、化け物じみた力を持つEランクモンスターではあったが、数的有利を取っている毒島のパーティーにとって、それほど恐れる相手ではなかった。

 彼らは上手うまく連携し、ものの数十秒で魔物たちをせんめつしてしまう。

「ちっ、魔石だけかよ。しけてんな」

 死んだワーウルフは、まるで空気に溶けてしまったかのように肉体がさんし、ドロップアイテムである魔石へと変わる。


 魔石は魔物が落とす最もポピュラーなアイテムだ。

 産出数はかなり多いが、現代社会を支えるクリーンエネルギーとして利用されているため、需要が高く、決してそれほど安い物ではない。

 まあ他のマジックアイテムや、装備のドロップに比べると確かに価格は低めではあるが。

「おら、いつまでも突っ立ってないでさっさと行きやがれ」

 ドロップが気に召さなかったのだろう。

 八つ当たりと言わんばかりに、不機嫌な毒島が俺に蹴りを入れてくる。

 理不尽極まりない行動に少々腹が立つが、め事を起こす気はないので俺はぐっと堪えた。


 ……とにかく今は堪えて、仕事を終わらせることだけを考えよう。


「ちゃんと見張ってろ」

 その後もトラップにはまったり、魔物の奇襲を受けつつ進む。

 しばらく進んだ所で、毒島たちは俺に見張りを命じ、自分たちだけ休憩を始める。

 ……そういや、もう一つ仕事があったな。

 不死身の俺に休憩は必要ない。

 睡眠も。

 まあ眠れないわけではないんだが、少なくとも疲労回復としては必要なかった。

 そのため、パーティーの休憩中は俺が見張りをする決まりとなっていた。

 休みもなく。

 暴力も恒常的に振るわれ。

 しかも死にまくる。

 職場としては確実に最悪と言えるだろう。

 それでも一万年前の俺が我慢してこの仕事を続けていたのは、報酬が良いの一言に尽きる。

 俺には金が必要だった。普通に職に就いて働いていたのでは、足りないレベルで。だから最弱呼ばわりされても。過酷な環境だったとしても。俺はこうして攻略者として不遇な環境にもめげず働いていた。

 全ては妹を守るために。

 

 妹の名は顔憂。

 二年前に十四歳で覚醒し、そしてそのせいで今、こんすい状態に陥ってしまっている。

 覚醒不全と呼ばれるもののせいだ。


 今から三十年前。千九百九十九年七の月。この世界に未知の空間が突如姿を現した。

 後にダンジョンと呼ばれるようになるものだ。

 ダンジョンは危険な場所だったが、まるでそこを攻略しろと言わんばかりに、人類の中から特殊な力に覚醒する者が次々と生まれ始める。

 彼らはゲームのようにレベルを持ち、スキルと呼ばれる特殊な能力を習得することができた。

 そして覚醒によって力を得た者たちは、危険とわかりつつもダンジョン攻略へと、続々と乗り出していく。

 魔物を狩ればレベルが上がり、さらに強くなれること。

 そして魔物から得られる未知の品々が、富となりうることを、本能的に理解していたからだ。

 それから三十年。覚醒した人々はダンジョンを攻略する様から、いつからか攻略者と呼ばれるようになっていた。


 さて、覚醒すると人類は魔物と戦える力を得るわけだが……果たしてその状態を、純粋な人間と呼べるのだろうか?

 結論から言うと、彼らは厳密には人類とは言えない状態となっていた。

 覚醒は肉体を遺伝子レベルで作り変えてしまうようで、旧来の人類とは大きく違うと研究でもハッキリと答えが出ている。

 まあ一応、交配自体は可能なので、便宜上は人類と同種という扱いにはなっているが。


 ──つまり覚醒とは、一種の生まれ変わりなのだ。


 覚醒が根幹からの作り替えである以上、当然そこには、一定の確率でエラーが起こりうる。

 そして覚醒時にエラーが発生し、肉体が崩壊していく現象を覚醒不全と言うのだ。

 覚醒不全を起こした者に待っているのは、基本的に〝死〟のみである。

 基本と言ったのは、たった一つだけ回復させる方法があるからだ。

 それはあらゆるダメージや状態異常を治すと言われる奇跡の霊薬。エリクサーと呼ばれる物だ。


 ──そしてそれが妹の憂を救うための唯一の手段。


 だが超が付くほど有用なエリクサーは、求める者も多い。

 しかも大量入手できないレアアイテムであるため、その価格は高騰し、軽く数億を超えていた。

 当然、それは普通に働いていたのでは決して手に入らない額だ。

 だからどれだけ理不尽で苦しかろうが、それでも歯を食いしばって俺は今の仕事を続けなければならなかった。

 妹を救うためのお金を稼ぐために。



◆◆◆



「今回は結構稼げたからここまでだな」

 ダンジョン内部には、所々に外部へとつながる転移ゲートがあった。

 道中、そこそこレアなアイテムがドロップして稼げたため、パーティーはそこで探索を切り上げ、転移ゲートへと向かう。

「ほらよ、今回の報酬だ」

 ゲートを通ってダンジョン外へ出た所で、俺への報酬が毒島から手渡された。

 その金額は三十万。

 俺は日当十万と高額で雇われているため、通常の労働に比べればはるかに実入りが良い。

 まあそれでも、他のメンバーと比べれば基本的に半分以下ではあるが……まあ戦闘能力がないので、そこはある程度仕方のないことではある。

「おっと、経費を引き忘れてたな」

 毒島が経費として、俺に渡した金から七万円抜く。

 経費というのは、ダンジョン探索で消耗したアイテムや、装備の修理費用のことだ。

 実際ダンジョン探索には金がかかるので、経費の額自体は妥当と言えるものだった。

 ただし……俺が日当で雇われてなければ、ではあるが。

 日当の俺に経費などと言われても、納得できるわけもない。

 だが当時の俺は、それに文句をつけることなく受け入れていた。引かれても、通常より遥かに稼ぎが良かったからだ。

 それに、モメて次から呼ばれなくなっては困るというのもあった。

 だが──

「経費ってなんの経費だ?」

 俺は毒島が抜き取った七万円を、その手から素早く奪い返す。

「俺は一円たりとも経費は使っていないぞ。日当で雇われている額から引かれるいわれはないな」

 急な態度の変化に、毒島が驚いて目を白黒させる。

 今の俺には力がある。もうこいつらに頼る必要がない以上、ご機嫌取りをする必要などない。

「は……てめぇ、ふざけてんのか? 誰のおかげで今まで稼げてきたと思ってんだ?」

「ピンハネされてなきゃ、多少は感謝してたかもな。額面通りでない時点で、お前らに恩義を感じてやるいわれはない」

「てめぇ! ぶっ殺されてぇのか!!

 俺の態度に青筋を立て、毒島が怒りをあらわにする。

 他のメンバーも同じような感じだ。

「俺が死なないのはよく知ってるだろ? だからダンジョン内でも、あんだけ遠慮なく俺のことを殴ってたんじゃないのか?」

 俺は意図的に挑発する。

 一万年以上前の恨みなんて、さすがに抱えてはいない。

 が、今日やられた分だけでも普通に憤慨物である。ある程度仕返しをしてやらんと、気が済まない。

「ああ、そうだな。てめぇは死なねえ。それにも一瞬で治る。つまり……ここでぶち殺しても、俺は大した罪には問われねぇってことだ」

 攻略者だろうがなんだろうが、他人を傷つければ傷害だし、殺せば殺人だ。

 大手ギルドならある程度もみ消せるのかもしれないが、そうでないなら、人前で暴力を振るえば問答無用で法の裁きを受けることになる。

 だが毒島の言う通り、殴っても相手が無傷なら大した犯罪にはならない。悪くて、数日拘置所にぶち込まれる程度だ。

 なので奴は、気に入らなければ俺を遠慮なくぶん殴ってくるだろう。

 ま、それがわかってるからこっちも挑発してるわけだが。

 堂々とぶん殴る大儀名分ができるわけだからな。

「ふーん? それで?」

「この雑魚が! 調子に乗ってんじゃねぇぞ!!

 俺の挑発でキレたのか、毒島が殴りかかってくる。

 以前ならそのまま吹き飛ばされ、一発ケーオーだったことだろう。

 この頃の俺は、冗談抜きに死ぬほど弱かったからな。

 だが、時間を回帰して戻ってきた今は違う。

 俺は素早くライフストリームを発動させる。

 自らの命を燃やし、そのエネルギーを身体能力へと変える秘技。これにより、俺の能力は爆発的に上昇する。

 まあ命を十二個まで増やし、極限まで体を鍛えた時間回帰前の俺からすれば、微々たるレベルだが、それでも──

「なっ!?

 毒島相手ならこの程度で十分だ。

 俺は片手で悠々と、奴の拳を受け止める。

「なんで無能のてめぇが……」

 毒島の驚愕の顔。

 こっちはレベル一固定で、スキルも【不老不死】以外ないくそ雑魚だ。

 そんな死なないだけが売りの相手に、手加減不要と全力で殴りかかったら軽く片手で止められてしまったんだから、そりゃ驚くよな。

「いつまでも、弱いままだと思ったのか?」

 俺は毒島の、隙だらけの脇腹にお返しとばかりに拳を叩き込んでやる。

「ぐぅ……このパワー……てめぇどうやって……」

「そんなもん、いちいちお前に教えるわけねぇだろ」

「てめぇ!」

めんな!!

 毒島が殴られたのを見て、他のメンバーが一斉に殴りかかってきた。

 さすがに六対一の状態だときつい。

 なので、俺はエクストリームバーストを発動させ、身体能力をさらに跳ね上げる。

 命を爆発させたことで全身に強い痛みが走るが、もうこの痛みにも慣れっこだ。問題なく戦える。

「がっ!?

「ぐわっ……」

「ぐぅ……」

 殴りかかってきた五人を、俺は軽く返り討ちにする。

「くそ……」

「さて? どうするんだ? このまま続けるか? 絶対負けない不死の俺との殴り合いを?」

 毒島たちを徹底的に叩きのめすことはやすい。

 とはいえ、だ。このままけんを続けると、最悪やり過ぎて俺が豚箱行きになる可能性が出てくる。

 さすがにそれは困るので、ある程度のところで抑えておかないと。

「毒島のパーティーが、最弱の攻略者相手に六対一で完敗する。さぞ面白いうわさが広まるだろうな」

 そんなことになれば、当然毒島たちのメンまるつぶれである。

 こういう奴は実力が大したことないくせに、プライドだけは高かったりするからな。

 さぞ屈辱的なことだろう。

「なんだったら武器を使ってもいいんだぜ? まあその場合、お前らはムショ行きだろうけど」

 怪我さえしなければ重罪にならないとはいえ、さすがに武器を使って相手を切り飛ばせば話は変わってくる。

 そんな真似をしておいて、回復したから大したことがなかったなんて通じるわけもないからな。

 なので使ってくることはないだろう。

 ま、仮に使ってきても俺が勝つけど。

「くそが……てめぇ、覚えてろよ……」

「それは宣戦布告か? 言っとくけど……俺はダンジョンでお前たちが通りそうな所を延々待ち伏せすることだってできるんだぜ? 何せ不死身だからな。その気になれば、何カ月だって潜んでられる。今までやられた恨みを考えたら、それぐらい余裕だ」

 もちろん、そんな真似をしたりはしないが。

 俺は覚醒不全で寝たきりになっている妹を救わなければならない。そんな無駄なことに使う時間などないのだ。

 とはいえ、奴らはこっちの事情など知らない。

 なので脅しとしては十分有効だろう。

「うっ……く……そ、そんなつもりはねぇよ」

 俺の言葉に、毒島が顔色を変える。

「そうか? だったら二度と俺の前に顔を出すな」

「……わかった。行くぞ」

 毒島がメンバーを連れて、そそくさとその場を去っていく。

「本当は、今まで俺からピンハネしてきた経費分を返せって言いたかったところだけど……」

 回収しようにも、そもそもどの程度取られたのかを覚えていないからな。

 それに、揉め事をあまりこじらせすぎると面倒くさいことになりかねない。

 これくらいが落としどころとしては妥当だろう。

「……憂と母さんに会いに行こう」

 一万年ぶりの家族との再会。

 しかも生きている家族との。

 そう考えるだけで、胸の奥から熱いものが込み上げてくる。


「母さん。憂。今度は絶対二人を守ってみせるから」



◆◆◆



「憂……」

 ベッドで昏睡している妹の憂。

 その姿はガリガリに痩せこけており、チューブなんかのいろいろな物が体中に繋がっている痛々しい姿だった。

 その姿を見て、俺は思わず涙を流す。

「ぐっ、う……憂、兄ちゃん帰ってきたよ。今度こそ……今度こそお前を目覚めさせてやるからな」

 眠る憂からしたら、目の前で泣きながら俺に帰ってきたと言われても、きっとなんのことかさっぱりだろう。

「そしたら……一緒に、父さんの墓参りに行こう」

 父は妹を救うため、自殺していた。

 覚醒不全を起こした憂は内臓の多くが駄目になっており、そのままの状態では持って数日だと医者に告げられる。

 生き延びるにはエリクサーを使うか、移植しかない状態。

 だがエリクサーは高すぎて、とてもすぐには手に入れられない。

 そして移植でなんとかするにも、あまりにも余命が短く、また必要とする部分が多すぎた。

 だから医者は、諦めてくださいと俺たちに告げたのだ。

 確かに諦めるしかない状態だったと思う。でも、父さんは諦めなかった。

 移植する臓器がないのなら、自分の物を使えばいいと。

 そして……

「父さん……俺が絶対憂を助けるから、天国から見ててくれよ」

 父さんの遺書には、『ない父親ですまない。どうか憂を二人で守ってやってくれ』と書いてあった。

 俺はその遺言を、父の願いをかなえることができなかった。

 だけど、だけど今度こそ……

「あら、悠じゃない。来てたの?」

 俺が妹を見ていると、ふいに病室の扉が開く。

 振り返るとそこには母さんがいた。

 一時はもう、二度と会えないと思っていた母さんが。

 その顔を見ると、堪えきれずに涙があふれ出してしまう。

「どうしたの悠!? 何か仕事でつらいことでもあったの?」

 涙を流す俺を見て、母さんが慌てる。

「ち、違うんだ母さん。逆だよ……」

「逆?」

「うん、逆さ。ほら、俺って強くなれなかっただろ?」

「ええ。だから危ない仕事をしてお金を稼いで……憂のことを思う気持ちはわかるけど、貴方あなたが無理して苦しんでも憂は決して喜ばないわ。エリクサーのことは全部お母さんに任せてくれればいいのよ」

 母さんが心配げに俺の顔をのぞき込んでそう言う。

 仕事に複数のアルバイト。

 それこそ休む暇もなく、母さんは身をにして働いていた。

 だが、それでも母さんの稼ぎだけでは到底エリクサーには手が届かない。

 もしそれだけに頼ってしまったら、それこそ手に入れるのに何十年もかかってしまうだろう。

「ははは、だから違うって。逆って言っただろ」

「逆って、何が逆なの?」

「強くなる方法が見つかったんだよ。これからは俺も、普通の攻略者としてガンガンお金を稼いでみせる。だから母さんは仕事を減らしてくれていいんだ。なんだったら、もう働かなくても大丈夫なぐらいさ」

 かつては力がなかった。だが今は違う。二人を守るだけの力が、今の俺にはある。

 まあ現状は回帰前に比べて相当弱くなってしまってはいるが、それもすぐに取り戻せるだろう。

 そうなればエリクサーを手に入れることも、母さんに楽をさせてやることも容易い。

「強くなれるのはおめでたいことだけど……あんまり無理はしないでね」

「大丈夫だよ、母さん。何せ俺は不死身なんだから」

「それはそうだけど……痛みや苦しみがなくなるわけじゃないんでしょ?」

「強くなれば、そういうのからも自分を守れるから安心してよ」

 弱いから苦しめられたり、死ぬことになるのだ。

 強ければその心配はなくなる。

 そこにうそはない。

 とはいえ、強さとは相対的なものだ。

 こちらがいくら強くなっても、それよりも強い相手と戦えば当然殺されてしまう。

 まあ高難易度のダンジョンには行かず、自分より圧倒的に弱い敵だけ狩るのならそれを避けることもできるだろう。

 時間があるならそれも悪くない。

 だが、そういうわけにもいかなかった。

 俺は急がなければならないのだ。

 そう──


 崩壊型ダンジョンが発生する前に、エリクサーを手に入れるために。



◆◆◆



 今から一年後。旧来のダンジョンからは、魔物が出てこないという常識を覆す事態が起きる。

 それが崩壊型ダンジョンだ。

 既存のものとは違い、崩壊型ダンジョンは内部から魔物が飛び出してくる。

 これによりダンジョンが一般人にとって危険がないという安全神話は崩れ去り、そこから世界は激変することとなった。


 憂や母さんが死んだのも。

 俺が二人を守れなかったのも。

 全てはこのダンジョンのせいである。


 ──なぜなら最初の崩壊型ダンジョンは、今憂がいるこの病院の地下で発生したからだ。


 動けない憂を守るため、魔物によってきょうかんの地獄となった病院に母さんは勇敢に突入し……そして魔物によって二人とも殺されてしまう。

 だが、今回はそんなことは絶対に起こさせはしない。

 憂を目覚めさせ、二人を崩壊型ダンジョンの脅威から守り抜いてみせる。

 守るだけなら、妹をさっさと別の病院に移せばいいだけ?

 残念ながら、今の憂を別の病院に移すことはできない。

 現在症状が安定しているとはいえ、下手に動かすと肉体の崩壊が起きないとも限らないからだ。

 だから崩壊型ダンジョン発生前に、なんとしてもエリクサーを手に入れなければならない。

 まあエリクサーを手に入れても、崩壊型ダンジョンへの対応はするが。いや、していくというのが正解か。

 崩壊型ダンジョンによる世界への影響を抑えることは、巡り巡って家族の安全に繋がるわけだから。

 そのあたりのことは、今は母さんには伏せておく。

 まだ先のことだし、今言っても余計な心配をさせるだけだから。

 話すのは憂を目覚めさせて、心労を少しでも軽くしてからだ。

 とにかく、今はきゅうてき速やかに力を取り戻してエリクサーを入手すること。

 そして一年後に発生する、崩壊型ダンジョンの出現に備える。

 それが目下の目的だ。

「それならいいんだけど……」

「まあ見ててよ。そのうち攻略者ランキングに載るぐらい大活躍するからさ」

「それはすごいわね。でも……本当に無茶はしないでね」

「わかってるよ」

 母さんごめん。

 無茶だろうがなんだろうが、俺はやらなきゃならないんだ。

 二度と失わないために。

 崩壊型ダンジョンが世界に及ぼす影響は絶大だった。

 世界中でパニックが発生し、既存の社会が劇的に変貌してしまうほどに。

 まあ回帰前の俺は、そのあたりには全く興味がなかったんだけどな。最初の崩壊型ダンジョンの出現で家族を失った俺は、何も考えられず抜け殻のような状態だったから。


「素晴らしい素質を持っているね……」

 ただ死なずに生きているだけの、生きるしかばねのような日々。

 公園のベンチに座って空を何時間もぼーっと見上げていると、突然ある人物が俺に声をかけてきた。

 中性的な顔立ちと、透き通るような声。

 ぱっと見、女性とも男性ともとれる美しい姿をした黒髪の人物。

 その人こそ、俺の師匠となる、命を武器として扱うすべを伝授してくれた人だった。

「君は強くなれる」

「……」

 最初、師匠の言葉に俺は反応を示さなかった。

 自分が強くなれるなどという話を信じられなかったというのもあるが、何より、全てを失った俺にはもう強さなど必要なかったというのが大きい。

「生きる気力が湧かない……か。まあその気持ちはわかる」

「あんたに……何がわかる」

 俺の気持ちなんてわかるはずがない。

 絶望に浸る俺に、当然だが師匠の言葉は響かなかった。

「家族を失い、生きる意義を見失ったのだろう? 私はそういう人間を、腐るほど見てきた」

「セラピスト気取りかよ。うっとうしいから消えてくれ」

「私の話を聞いて損はないよ。何せ……君の失った家族を取り戻す唯一の方法を、私は知っているのだから」

 家族を取り戻す方法。

 一瞬その言葉に飛びつきそうになったが、すぐにバカバカしいと頭からその可能性を振り払う。

 死んだ人間が生き返るわけがない。

 それは絶対の真理であり、それこそ神でもなければそれを覆すことなどできやしないのだ。

 無気力ではあったが、それくらいの判断は当時の俺にもできた。

 だから俺には、師匠がさんくさい宗教の勧誘にしか見えなかった。

「……くだらない」

「君はエターナルダンジョンを知っているかい?」

 そんな俺の冷めた反応などお構いなしに、師匠は言葉を続ける。

「……」

 攻略者としては底辺をいずっていた俺だが、エターナルダンジョンのことは知っていた。

 覚醒当時、攻略できるのは不老不死の俺だけなんて言われてもてはやされてたからな。

 まあスキル効果の鑑定で、成長できないことが判明して一瞬でそんな話は飛んでいったが。

「実は最近……鑑定スキルによって、ダンジョン最深部にいるラスボスのドロップが判明したんだが……それが何かわかるかい?」

「知るかよ」

「クロノスの懐中時計。時を巻き戻す、神器級のマジックアイテムさ」

「時を、巻き戻す……」

 死者は生き返らせられない。

 それと同じで、時間を巻き戻すことなど物理的に不可能だ。

 それはわかっている。

 だが、かつて現実になかったダンジョンという謎の空間。

 その中でも、攻略不能と言われるほどの超難易度を誇るエターナルダンジョン。

 そこのボスドロップならば……

 ひょっとしたらというかすかな期待から、俺の心が揺れたのを今でも覚えている。

「まあ公開されてないから、確認はできないんだけどね。なんだったら、私が君の目の前で鑑定してあげようか? 私にも鑑定スキルがあるから」

「……」

 目の前の相手が言う言葉が、本当ならという気持ちと。

 いくら攻略不能と言われているダンジョンの報酬でも、そこまででたらめな効果が本当にあり得るのかという冷静な考え。

 そんな気持ちのせめぎ合いから混乱し、その時の俺は言葉を返すことができなかった。

「そうだな……明日いっぱいまで、エターナルダンジョンのゲートで君を待つことにするよ。気が向いたら来てくれ」

 そう俺に告げると、師匠の姿は一瞬で消えてしまう。

 恐らく転移魔法だったのだろうと思うが、見たことのなかった俺には、その様子がひどく神秘的なものに映った。

 ひょっとしたら、今の人は不幸な俺にチャンスを与えに来てくれた神様なのではないか?

 馬鹿げた考えだったが、そう思いたかった俺はいてもたってもいられず、エターナルダンジョンへと向かった。

 そしてそこで師匠の鑑定から、クロノスの懐中時計が本当に実在することを知る。

「君は不死身だが、今のままではエターナルダンジョンをクリアすることはできないだろう。だから私が、君に強くなる術を与えてあげよう」

 師匠から学んだのは、命のコントロール方法。

 普通の人間なら瞬く間に命を燃やし尽くす危険な力だったが、不死身の俺の命には終わりも限界もない。

 それは正に、俺のためにあるような技術だった。

「諦めず、最後まで頑張るんだ」

「はい。今までありがとうございました、師匠」

 師匠と出会ってから一年後。基礎訓練を終えた俺は、エターナルダンジョン攻略へと向かう。

 そしてそれから一万年の時を経て、俺はついにエターナルダンジョンをクリアし、家族が生きている時代へと戻ってきた。


 失った家族を、今度こそ守り抜くために。



◆◆◆



「結局、師匠は何者だったんだろう……」

 自宅のベッドで座禅を組みながら、俺はつぶやく。

 一年ほど行動を共にしたが、俺は師匠のことを何も知らない。

 わかっているのはでたらめに強いってことだけで、結局その名前も性別も教えてもらえていなかった。

 本人は自分のことを神とか言っていたけど……

 まあとにかく、本当に不思議な人だった。

「強かったはずの師匠の情報って、全く出てないんだよな」

 ダンジョンに電波等は入ってこない。

 だから普通のスマホなんかじゃ、外の情報を得ることはできなかった。

 ただし、スマホと似たような携帯端末型のマジックアイテムなら話は別だ。

 どういう原理かはわからないが、外のネット回線に繋げることのできる特殊端末をエターナルダンジョンで手に入れた俺は、外の様子をちょくちょく確認していた。

 まあ距離に限度があったせいか、数年という極々短い間でしかなかったが。

 端末から入ってくる情報は、崩壊型ダンジョンの影響で世界がどんどん悪い方向へと向かっていることを俺に伝え続けた。

 そんな世界で、師匠のような強者が目立たないわけがない。

 だが師匠っぽい人物の活躍は、ネットのニュースなどに上がってくることはなかった。

「まさかとは思うけど、俺が端末を手に入れる前に亡くなってたとか……」

 手に入れるまでに数年ほどかかっていたので、当然、その間の情報は入っていない。

 なので、その間にという可能性もゼロではなかった。

 まあ師匠のでたらめな強さを考えると、少々考えづらくはあったが。

「まあいいさ。時間は巻き戻ったんだ。またいつかどこかで、きっと師匠と再会できるはず。今は命を増やすことに集中しよう」


 裂命──ライフディヴィジョン。


 師匠から学んだ、命のコントロール方法の一つである。

 命を裂いて二つにする方法で、本来一つしかない命を裂くと、普通の人間なら高確率で死ぬことになる危険な技だ。

 まあ仮に死ななくても、命の総量自体は変わらないので、そもそも分裂させる意味自体ないのだが……俺だけは違う。

 不死身の俺は、裂いた命が瞬く間に修復されるのだ。

 それも二つとも、別々のものとして。

 そのため裂命を行えば、俺の中で命を丸々増やすことができた。

 そして俺の力の源は命。

 つまり、裂命をすることで俺の力は大幅に増していくというわけだ。

 まあ正確には、増やしただけでは駄目で、命を体に繋いで初めて力になるわけだが。

 車のツインエンジンなんかと同じだ。ただ積んだだけでは意味がない。

 機能するよう上手く繋いで初めて、二つ目のエンジンの意味が出てくる。

 そして単純に命を増やすより、こっちの方が難しかったりする。

 しかも繋ぐ数が増えれば増えるほど、その難易度は劇的に上がっていく。

 その上、繋いだ後は体の慣らしも必要だ。

「ぱっぱぱっぱ進められたらいいんだけど、繋ぐのも慣らすのも時間がかかるんだよなぁ……」

 回帰前。限界である十二個にするのに、俺は一万年近くかかっていた。

 すでに一度、極限状態にした経験があるので、今度はそこまではかからないだろう。

 とはいえ、それでも数年はかかるはずだ。

「取りあえず、最初の一年で六つを目指して頑張るとしよう」


◇◇◇


「ふぅ……」

 命の複製自体はものの数時間で終わった。

 だがそこから命を肉体と連動させるのには、三日ほどの時間が必要だった。

 その間、全く動かない俺を心配して母さんが何度か顔を見に来たが、強くなるためには必要なことだからとだけ答えて、納得してもらっている。

 早速心配をかけたことは心苦しくあるが、まあこれは必要なことだから仕方ない。

「取りあえず、万一に備えて命をもう二つ増やしとくか」

 この二つは自分に繋ぐ用ではない。

 増やした命は、実は他人にも分け与えることができた。

 そして分け与えた命は、相手にとってのストックとなり、死んだ際に失われた元々の命と替わって新たな命となる。

 要は、死亡時に一度だけ即座に蘇生できるってことだ。

 当然、渡す対象は母さんと妹だ。

 万一命を落とした場合の保険として、増やした命を二人に分け与えておく。

 まあ回帰前は、崩壊型ダンジョンが発生する以前に二人の命が脅かされるようなことはなかったわけだが……

「大丈夫だとは思うけど、念には念を入れとかないとな」

 俺の行動が変われば、それが周囲にも影響を及ぼす可能性がある。

 そしてその結果、二人の命がなんらかの危険にさらされる可能性も否定できない。

 だから万一の保険をかけておく。

 ちなみに、俺の命を分け与えたからといって、相手が不死身になったりはしない。

 不死身はあくまでも、俺の持つレジェンドスキルの効果で、俺の体から出たものは普通の命になってしまう。


 それから俺は数時間かけて命を増やした。


「母さん……」

 時刻は深夜。母さんは布団でぐっすりと眠りについていた。

 その額にそっと触れ、俺は自分の中から命を一つ、母さんの体内へと流し込む。

 これで万一何かあっても、一度だけは大丈夫だ。

「次は妹だけど……」

 今は深夜だ。病院は開いてないし、忍び込むというのもあれである。

「病院が開くまで、体を動かすか」

 繋いだ命を体に慣らすには、体を動かすのが一番だ。

 理想は戦闘のような激しい運動なんだが……

「今からダンジョンに行くわけにもいかないし、まあランニングだな」

 俺はジャージに着替えて家を出る。

「さて……ダッシュするか」

 俺の肉体の疲労は、不死身の効果で瞬時に回復する仕様だ。

 そのため、俺にとってのダッシュは実質軽いランニングと同じだったりする。

 街中で深夜延々走るのは不審極まりない行動なので、取りあえず少し離れた場所にある山の方へと俺は向かう。


 山に入って勾配のきつい道を小一時間ほどダッシュしていると──

「なんだ!?

 突如遠くで爆音が鳴り響いた。

 そしてその直後に、すさまじい衝撃波を受けて俺は派手に吹き飛ばされてしまう。

「いったい何が……っ!?

 立ち上がって音のした方角を見ると、遠くで山が丸々吹き飛んでいるのが目に飛び込んできた。

「マジかよ……」

 ガス爆発なんかにしては、規模があまりにも大きすぎる。

 まあそもそもそれ以前に、こんな山中でガス爆発なんかが起きるとは思えない。

 つまり、これは何者かによる破壊行為ということだ。

「攻略者だとしたら、とんでもないパワーだぞ」

 パッと思いつくのが、攻略者ランキング五位のエリス・サザーランドだ。

 彼女はレジェンドスキル持ちで、その魔法による一撃は攻略者屈指と言われている人物である。

 その彼女ならば、このレベルの破壊もきっと可能だろう。

 だが、エリスはイギリスの攻略者だ。わざわざ日本にやってきて、こんな場所で強力な魔法を放つ理由などあるとも思えない。

 そもそも──

「こんなの俺は知らねーぞ?」

 山が一つ丸々吹き飛んだ。

 こんな大規模な破壊が起これば、間違いなく大ニュースになるはずである。

 だが俺はそんなニュースを知らない。

 いくら一万年前とはいえ、これだけ衝撃的な事件を忘れるなんて考えられないことだ。

「いったいどういうことだ?」

 回帰前とは明らかに違うと考えていいだろう。

 俺の行動が原因? 

 そんなわけはない。毒島たちをやり込めたら山が吹き飛びましたなんて、バタフライエフェクトのはんちゅうを超えすぎている。

 もし本当にそうなら、おけも真っ青だ。

「とにかく、離れた方が良さそうだな」

 君子危うきに近寄らず、である。

 俺は急いで家に帰るべく道を引き返そうするが──突如、俺の目の前でごうおんと共に大量の土煙が上がる。

「くっ!? 今度はなんだってんだ!?

 一瞬、何かが目の前に落ちてきたように見えた。

 土砂などのふんじんで視界は利かないが、取りあえず敵と仮定し俺は身構える。

「ふむ……なかなか力のコントロールが利かんな」

 土ぼこりが収まると──


 そこには長い黒髪の、赤い瞳の美女が立っていた。


 女性はメリハリの利いた肉感的な体をしており、首元にファーの付いた黒いライダースーツのような衣類を身にまとっている。

「あんた……誰だ?」

 見たことのない女性だ。

 少なくとも、攻略者ランキングなんかで名前の載っている人物に、こんな女はいなかったはず。

 まあランキングに載っている人物だけが、強者ってわけではないが……

「我がわからんか?」

 俺の問いに、女が口の端を歪めて挑発的に笑う。