
「マーガレット。僕とデートをしませんか?」
ルイスのお父様とお母様もいるディナーの席で、何の
「ルイス? 突然どうしたの?」
「次の僕の
「……お
「僕達は
「……言葉の定義はそうだったわよね」
「では僕とデートをしてくれますか?」
「ありがとう。私ももちろんルイスとデートが出来たら
あまりにルイスが
「ルイスってばデートに誘うのが苦手なところも
ワインを飲みながら私達を見守っていたルイスのお母様がからかうようにルイス父子に笑いかけた。
「王立図書館は久しぶりで、ついゆっくりしてしまったわね」
ルイスとのデートの当日、ついつい王立図書館で思い思いの時間を過ごしすぎてしまった私達は、夕暮れの中でのんびり庭園を散歩していた。
学生時代のルイスとの思い出はそのほとんどが図書館だった。出会った最初の
どんなに時が
そろそろディナーの時間だからもう帰らなくちゃいけない時間だけど。……もう少し二人でこうしてゆっくりと時間を過ごしたいわ。妖精さん達は、今日は王宮でレオナルド
「帰るのは少し
思わず照れてしまいながら自分からルイスをお茶に誘ったけれど、ルイスは困ったような顔をした。
「すみません。お茶は今度にさせていただけないでしょうか?」
「あっ。そうよね。もう帰らないといけないものね。
ルイスからお茶を断られて、私は顔には出さなかったけれど、もうすぐルイスとのデートが終わってしまうのだと悲しい気持ちになった。
「いえ。帰る時間はまだ
ルイスが申し訳なさそうに言った。
「ディナーなら、またシェフにお願いして量を調整してもらえばいいんじゃない?」
今までにもルイスが仕事の関係で軽食をとってしまった時や、私の体調が
「今日はレストランのコースなので量の調整は出来ないかもしれません」
「……レストラン……?」
「はい。今日はディナーの準備は不要ですとシェフには伝えてあります」
「そうなの?」
「マーガレットを
「……今聞いてしまったけれど……」
私の言葉にルイスは分かりやすく
「マーガレット。どうか聞かなかったことにしてもらえないでしょうか?」
思いっきり聞いてしまったのにいくらなんでも聞かなかったことにするだなんてさすがに無理があるわ……と思いながらも、あまりに真剣なルイスの勢いに私は思わず
「良かったです」
心から安心したようにルイスが息を
「ではこれから一緒に行きたい場所があるのですが、ついてきてくれますか?」
「えぇ。もちろん」
ルイスが私を連れてきてくれたのは、王立図書館から馬車で二十分
「……ここにも下見にきたの?」
初デートの前にはルイスが事前にすべての場所を下見してくれていたことを思い出して私は聞いた。
「いいえ。僕とマーガレットにとって初めての場所を、一緒に初めて楽しみたいと思ったので今回は下見はしていません」
まっすぐに私を見て言うルイスの
「料理はコースで予約しています。……飲み物は、白ワインをボトルで
ルイスの提案に私は驚いた。確かに先日オルタナ
「ありがとう。ルイスに任せるわ。だけど、ルイスの
私の言葉にルイスは、ほんの少しはにかんだ。
「飲みすぎには注意します」
ルイスが『予約の通りでお願いします』とウエイターさんに声を
二人で
「とっても美味しいわ!」
ワインはもちろん、次々と運ばれてくるお料理も、前菜からデザートまでが不思議なことにすべてその白ワインととてもよく合った。すべてがとても美味しくて、私は一口飲んだり、食べたりするたびに感動した。
「マーガレットに喜んでいただけて嬉しいです」
「こんなに
「両親に聞きました」
「ルイスのお父様とお母様に?」
「はい。結婚記念日に毎年行くレストランはどこが良いかと」
「……結婚記念日?」
「僕達が結婚式を挙げてちょうど今日で丸一年なので、マーガレットと
ルイスの言葉に私は顔から血の気が引いていくのを感じた。
「……私……。こんなに大切な日だって気づいてなくて……。本当にごめんなさい」
私は、オルタナ帝国のことやソフィア様のこと、それにスピーチのことがあってルイスとの大切な記念日を忘れてしまっていた。ルイスはしっかりと覚えていてくれて、素敵なレストランを調べて予約までしてくれていたのに……。
「いいんです。記念日はこれからも僕が覚えています。僕がしたことでマーガレットが喜んでくれることが
ルイスはなんでもないことのように言った。
「ルイス。ありがとう。……それに、もしかして最近お休みのはずの日にも出勤していたのは……」
「どうしても今日という日にお休みをとりたくて」
私との記念日をこんなに大切にしてくれていたなんて……。
「……ありがとう。これからは私も絶対に忘れたりなんかしないわ」
「僕は、マーガレットと一緒に過ごせるだけで幸せなんです」
ルイスは白ワインで赤くなった顔を
「マーガレット。両親が僕達にこのレストランを
「……一年先まで?」
「はい。両親は、毎年記念日にこのレストランでディナーをした後で、次の年の予約もして帰るのだと教えてくれました」
「次の年の予約をもうするの?」
「はい。絶対に来年も一緒に過ごせるという
「とても素敵ね。ルイスのお父様とお母様はとても仲良しだものね」
「マーガレット。僕達も今日、来年のディナーの予約をしていきませんか?」
ルイスはそう言って、どこか
「ありがとう。とても素敵な
私の返事にルイスはとても嬉しそうに微笑んだ。
「では、結婚した年のワインも予約しますね」
「……ワイン?」
「はい。このレストランでは事前に予約しておくと、そのワインに合わせたコース料理を提供してくれるのです」
「……だからどのお料理ともワインの
「今年予約していたのは去年製造されたワインです。これから一年ごとに時を重ねたワインがどんな風に変わっていくのか楽しみですね」
私との未来を想像して顔を
来年も、その先もずっとルイスと大切な記念日をこうやって楽しく過ごせたら、それだけで私はとても幸せだと思う。ルイスは必ず約束を守ってくれる。
その信頼で、これからの未来が

くっきー、しょこら、みんとに過去に連れてきてもらった私は、二年前の新入生
(マーガレットが私たちとお
(一緒にパタパタダンスするー?)
(羽の生えたマーガレットも
すごいわ!
妖精さん達と同じ大きさで、羽の生えた妖精さん達とお揃いの姿になって飛んでいる事実に思わず感激している私を見て、妖精さん達もとても楽しそうだった。
(過去の私たちがいるよー)
(この日もいっぱいいたずらして楽しかったねー)
(現在に戻ってから実行するいたずらを考えながら今日もたくさん
妖精さん達の視線の先では、過去の妖精さん達がダンスホールをパタパタと楽しそうに飛んでいた。彼らが言っていた通り過去の妖精さん達にもここにいる私達の姿は見えていないのね。妖精さん達が二人ずつ存在して近くでパタパタ飛んでいるだなんてとても不思議な気分だわ。
私は、妖精さん達と同じように羽をパタパタと動かして会場高くまで飛んでみた。なんて気持ちが
そういえば、
私がそんなことを考えている間にもライリー様が見つめる先に、満面の
良かった。シンシアとライリー様はこれが初対面のはずだけれど、どうやらライリー様がシンシアに一目ぼれしたということはなさそうだわ。
「シンシア。ファーストダンスは婚約者の義務としてマーガレットと
エスコートを終えた後で、キース殿下は申し訳なさそうにシンシアに告げた。
「キース様。もちろんです。私はキース様をいつまででも待っています」
シンシアはその
キース殿下が私とのダンスを義務のように思っていたことはさすがに気付いていたけれど、実際にシンシアにそんな風に断言されているところはいくらなんでも初めて見たわ。『キース殿下を支えてソルト王国を発展させていきたい』と努力していた当時の自分を思って、さすがに少し悲しくなった。
シンシアを背にして、ほんの少し
そうだわ。確かこの時、シンシアから
ライリー様は、キース殿下がシンシアから離れたのをきっかけにゆっくりとシンシアに近づいた。
「えっと……?」
「初めまして。俺は、
「ライリー様? 私は、
「キース殿下からとても
「えっ!? キース様から!?」
ライリー様の言葉にシンシアはとても
「俺は、キース殿下の側近なので、キース殿下の周りにいる女性がちゃんとした女性であるか確かめる使命があるんですよ」
ほんの少し意地悪く、
「ライリー様はキース様の側近なんですね? すっごーい! 私もキース様とお友達なので、これからは私ともぜひ仲良くしてください!」
シンシアはとても
「おっ、俺と仲良く?」
「はいっ! キース様のお友達なら私のお友達です! キース様は、お姉様から意地悪されている私を心配してくれるとっても
シンシアは先ほどキース殿下に向けていたのと同じ、うるうると潤んだ瞳でライリー様を
……シンシアの行動にこんなに
(マーガレットがクソ王子と踊ってるよー)
(現在に戻ったらクソ王子やっちゃう?)
(二年
だめよ! 今の王宮を爆破したらレオナルド殿下が悲しむわ!
(みんとだめー! レオが困るなら爆破しちゃだめー!)
(レオが好きだから爆破はあきらめるー)
(我もレオは好きだが、念願
……私ってキース殿下と
だけど、どんなに私が無表情だとしてもキース殿下は私を見てすらいないからその表情になんて気付いていないわ。……この時の私はダンスを上手に踊ることに
公爵家では私だけ家族として認めてもらえなくて、婚約者には信じていただけなかった。苦しくて
その時、女性達に囲まれている過去のルイスと目が合った。いえ、ルイスから今の私は見えていないから正確には目は合っていないのだけれど、過去のルイスは女性達と会話をしながらも、キース殿下と踊る私を時々、心配そうに見ていた。
こんなに前からルイスは私のことをずっと心配してくれていたのだわ。
そのことに気付いて、冷えてしまっていた私の心がじんわりと温かくなるのを感じた。
(めがねはいつもマーガレットを見てたよー)
(だから僕たちはめがねと遊んだのー)
(ドヤ顔と眼鏡ふきふきが
えっ? そうなの?
(めがねのこと最初はマーガレットに意地悪言ったから
(でもめがねはいつもマーガレットを見ていてマーガレットの幸せを願っていたのー)
(そんなめがねだからこそ我々も遊んでいて楽しかったのだと教えてやろうか)
だけど、くっきーもしょこらもみんとも、当時はそんなこと一言も……。
(決めるのはマーガレットだからー)
(マーガレットが自分で選んだ人が一番なのー)

(自分を見つめてくれる人間が必ずしも自分が好きになる人間ではないのだと教えてやろうか)
くっきー、しょこら、みんと。まさか
……それにしても、さらっと恋愛の達人のような言葉が出てくるだなんて、貴方達ってもしかして恋愛に
(私はレオが好きだもんー)
(えっへん。今までの
(恋愛とは考えるものではなく感じるものだと気づかせてやろうか)
恋愛について得意げに語って、ドヤ顔で飛び回る妖精さん達がとても
それにしても過去の愛し子達の恋愛ってすごく気になるわ! いつかこっそり教えてくれないかしら。
「ソフィア様! この方が
私の耳に過去のカナン様の大きい声が
そうだったわ。キース
「あっあの、お願いします」
カナン様の後ろには、顔を真っ赤にしたまま手を差し出す男性がいた。当時はよく見ていなかったけれど、この方は一学年下のアルバート様よね? 確かロバーツ
ソフィア様がほんのり赤い顔で差し出されたその手をとった時に、アルバート様は真っ赤な顔のままとても嬉しそうににっこりと笑った。
「……ソフィア様に一緒に踊っていただけるなんて、夢のようです」
赤い顔をしたままソフィア様とダンスを踊りながらアルバート様は
「……」
だけど、ソフィア様はなんだか上の空のように見えた。……ソフィア様一体どうしたのかしら?
「……ソフィア様?」
心配したように問うアルバート様の声に、ソフィア様は我に返ったようだった。
「すみません! 私ったら……」
「何か心配事ですか?」
「いえ。……先ほどマーガレット様が着けていたブローチに見覚えがある気がするのですが、どこで見たのかどうしても思い出せなくて……」
そう言った後で、ソフィア様はまっすぐにアルバート様を見た。
「アルバート様。ダンスをしている最中に考え事なんてしてしまって申し訳ありません。せっかくのダンスなので、もう考え事はしません」
そう言ったソフィア様の
「あっありがとうございます。僕はこんな体形なのでダンスが得意ではなくて、ソフィア様にご不快な思いをさせていたらどうしようかと……」
「こんな体形? ですか?」
「ふっ、太っているので見苦しいのではないかと……」
「そうでしょうか? 確かに少しぽっちゃりされていますが、シルエットが愛らしいですし、手が温かくて
ソフィア様はごく自然に言った後で、
「すっ、すみません。男性に愛らしいだなんて失礼でしたね。それにぽっちゃりしているだなんて……」
「いえ……。そんな風に言われたことなんてなかったので……とても……
お
「……僕は、ソフィア様の笑顔を見ているだけで幸せな気持ちになります。……ソフィア様には、いつでも笑顔でいていただきたいと思っています」
ダンスが終わった後で、アルバート様はソフィア様に
「ありがとうございます。私も、アルバート様の笑顔を見ていてとても楽しかったです」
ソフィア様も嬉しそうに答えた。笑顔で別れたソフィア様を見送りながら
「……そのために僕にできることは……」
……ソフィア様からアルバート様のお話を聞いたことは一度もないけれど、もしかしてこのダンスパーティーでソフィア様を
だけど、私の着けていたお母さまの形見のブローチが
(わ~いシンシアがジンジャーエールを
(過去の僕たちのいたずら成功ー)
(祝いのシャンパンタワーにはちみつをたらして
「キース様ぁ。ごめんなさい」
そこにはグラスを持ったまま
「シンシアは何も心配しなくて
キース殿下は
「ライリー。タキシードの
ライリー様がキース殿下のタキシードの替えを用意している間、キース殿下とシンシアは学園が用意した
「シンシア。ライリーが
「私は大丈夫です。私なんかよりキース様こそ
「こんな時まで僕の心配をしてくれるだなんて、本当に君は……」
キース殿下は、
「シンシア。もう二年以上も前になるけれど王宮でのお茶会で僕が
「はい! あの時はキース様が本当に死んでしまったらどうしようと、とっても
「……あの時、僕のために
キース
「シンシア。君こそが聖女だ」
キース殿下の
「……私が、聖女……?」
「ああ。すべてはシンシアの聖女の
そう言ってキース殿下は、とても
「だけど今はまだ僕の願望に過ぎないから、このことは
「はい。誰にも言いません」
……シンシアこそが聖女?
このダンスパーティーの時点では、私かシンシアのどちらかが聖女である可能性が高いとしか王宮では思われていなかったはずだわ。だけど、キース殿下はこの時からすでにシンシアが聖女であると確信していたのね。しかもそれをご自分の心の中で
私のそんな複雑な気持ちとは裏腹に、シンシアは、私が今まで一度も見たことがないようなうっとりとした
……これは……なんだかこのままキスでもしちゃいそうな
「キース殿下! お待たせして申し訳ありません! 新しいタキシードのご用意が出来ました!」
勢いよく飛び込んできたものの控室の異様な雰囲気にライリー様は首を
「ライリー。僕が着替えで不在にしている間、シンシアを
気を取り直してキース殿下は着替えのために控室を後にした。その際に当たり前のように扉を閉めたキース殿下の行動を見て、私は
学園の外では、キース殿下の
ライリー様は、キース殿下が退室して少しした後で、そっと扉を開けていた。……ライリー様のその常識的な行動に私はほっとした。
「ライリー様? どうしたんですか?」
シンシアは、男性と密室で二人きりでいることが悪いことだとは思っていないようで、ライリー様が扉を開けた意味にもまったく気付いていなかった。
「シンシア様は、
「私、また何か失敗しましたか? お姉様にもいつも
「……マーガレット様にですか?」
「シンシアは何にも出来ない
悲しそうに顔を
「そんな
「はぁっ!?」
ライリー様の意外な言葉と敬語も取り
……もしかしてライリー様がシンシアに
「マーガレット様なんて、入学してしばらくの間、格下の
ライリー様は馬鹿にしたように言った。……その様子は、完全に私を見下しているようだった。
「ライリー様
くじけないシンシアは、先ほどよりもうるうる多めでライリー様を見つめた。
「ライリー様ぁ。信じてください」
「俺は、よく知りもしない女のことを簡単に信じるような甘い人間じゃない」
「そんな……。ひどいです」
「ひどい? シンシア様はもう少し他人を
「ライリー様は
「言葉でならなんとでも言える」
「……じゃあっ! これからライリー様のことをもっと教えてください! それに私のこともこれから知っていけばいいじゃないですか! そしたらライリー様も、私がお姉様に意地悪されているのが本当だって信じてくれるはずです!」
「……俺のことを知りたい?」
「はいっ! 私は、ライリー様のことをもっと知りたいです!」
「どうして?」
「どうしてって? だってライリー様と仲良くなりたいからですよ?」
シンシアにじっと見つめられたライリー様は、しばらく観察するようにシンシアを見つめた。そして、
「ははっ。俺がこれだけきつく言ってもめげなかった女性は初めてです。シンシア様は
楽しそうにそう言ったライリー様は、シンシアに向けて初めて
「失礼な発言をしてしまい申し訳ございませんでした。俺は、キース殿下の側近ですが、これからはシンシア様のことも全力で守ります」
シンシアはそんなライリー様の笑顔を見て、とても
「ありがとうございます! ライリー様に守っていただけるなんて
えっと……。急展開すぎて何が起きたのかよく分からなかったのだけど、いつの間にかライリー様はシンシアに恋をしたということ? えっ? なぜ? 今の会話のどこに恋に落ちる要素があったのか私にはまったく分からなかった。……もしかしてルイスのことを言えないくらい私も
「シンシア。
ライリー様とシンシアが見つめ合っているところに
「キース様。さっきも
嬉しそうにすぐにライリー様から離れてキース殿下に
「ありがとう。シンシアにそう言ってもらえるととても嬉しいよ」
キース殿下は
「ライリーもせっかくのパーティーなのにすまなかったね。会場に戻って
「いえ。俺はキース殿下の側近ですから、キース殿下とシンシア様の近くにいます」
「ライリー様がいてくれるなら私も心強いです!」
キース殿下とライリー様に囲まれてシンシアはとても嬉しそうに
そんな三人の様子を見ていた私は、思わずため息を
(マーガレットとめがねが踊っているよー)
(僕たちも
(過去の自分達と比べて、この二年でのパタパタダンスの上達度を
(マーガレット行こー)
(早く早くー)
(この二年で成長した我らのパタパタダンスを
はしゃぐ妖精さん達に連れられて、パーティー会場に戻った私の耳にカナン様の声が
「聖女ですわ!」
会場中の
そして、楽しそうに踊る私達の周りはキラキラと
……私達って客観的に見るとこんなに目立っていたのね……。ルイスとのダンスが終わった後に皆様から向けられた輝く視線の意味を、二年
……きっとまだ自分でも気付いていなかったけれど、本当はこの時から……。私にとってルイスは特別な存在だったのだわ……。
(マーガレットも私たちと踊ろー)
でもこの体で踊るってどうやって?
(自由に羽をパタパタさせればいいんだよー)
羽をパタパタさせて飛んでいれば
(自分がダンスだと思えばそれこそがダンスなのだと教えてやろうか)
妖精さん達に連れられて、私は過去の自分達の近くまで飛んで行って、夢中で羽をパタパタさせた。これで踊っているといえるのかしら? と疑問に思いつつも、妖精さん達がとても楽しそうに飛び回っていたので、私も自由に飛び回った。
五人でダンスをしていた過去のルイスも妖精さん達ももちろん私だって気付いていなかったけれど、あの時は姿は見えなくてもきっと今と同じように未来の妖精さん達と私が、近くで踊っていたんだわ。過去の自分達の周りで現在の妖精さん達と一緒に笑いながら羽をパタパタさせて飛び回る。それはまるで九人でダンスをしているみたいで、私は初めてルイスとダンスをした二年前と同じように今回もとても楽しかった。