第三話 異界の晩餐
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祖父の家から車で四十分ほどの場所にある、国道沿いの大型ディスカウントストアの片隅においてのことである。咲弥は食材の買い出しのためにやってきたのだが、ついつい立ち寄ったキャンプ用品店のフロアで悩ましいひと品を発見してしまったのだった。
咲弥にうなり声をあげさせているのは、ダッチオーブンである。ダッチオーブンとは、要するに
ダッチオーブンの何がそんなにもてはやされているかというと、やはり
(たいていの料理は、手持ちの道具で対応できるけど……やっぱ、ダッチオーブンって魅力だよなぁ。ミーハー扱いされたって、いいもんはいいとしか言えないよなぁ)
咲弥の心をとらえたのは、国産の
サイズは三種類
(ソロキャンだったら八インチや十インチでも十分だけど、ドラゴンくんって
そんな想念にとらわれながら、咲弥はうんうんとうなり続けた。
もとより咲弥はキャンプギアに関して、余計なものは買わないというスタンスであるのだ。実際に購入しなければ余計かどうかも判断が難しい品は多々あれど、そうであるからこそ高額な商品には入念な
(十二インチだと、重さは十一キロかぁ……これだけごつければ、重いのが当たり前だよなぁ……いくら車で持ち運ぶって言っても、重要なのは現場の使い勝手だよなぁ……)
そうして思い悩む咲弥の
(……これで立派な料理を作ったら、ドラゴンくんは喜んでくれるかなぁ……)
◇
それから、およそ一時間後――祖父の家でキャンプの準備を
新たに買い入れた食材はクーラーボックスとコンテナボックスに収納し、助手席にはそれなりのサイズをした平たい円柱形のバッグがシートベルトでくくりつけられている。
「買ったからには、めいっぱい活用しないとなぁ。待ってろよぉ、ドラゴンくん。今日こそ、キミのおなかとココロをぱんぱんにしてやるからなぁ」
雨天で終わった二回目のキャンプからは、三日が経過している。とはいえ、帰宅したのは二日前の朝であるし、三日目の今日にはまたキャンプに出立しているのだから、丸一日家にこもっていたのは昨日だけであるということだ。なおかつ、最初のキャンプも同じスケジュールであったのだから、咲弥が祖父の家に移り住んでからまだ一週間しか経過していないわけであった。
(だからこそ、贅沢はつつしまないといけないけど……頭数が増えたら、キャンプギアだって増やさないとねぇ)
そうして咲弥は過去の二回で使用した空き地を通過して、さらに愛車を走らせた。本日は、この山道の最果てに存在する最後のキャンプスポットを目指すのだ。祖父の家をスタート地点とすると、時速三十キロの安全運転で五十分ほどかかる見当であった。
まあ、そちらのスポットも何か見どころがあるわけではない。ただ、異界との
そうして咲弥がのんびりとしたドライブを経て、そちらのスポットに
「なんだ、ドラゴンくんはもう来てたんだぁ? お
咲弥が車を降りながら呼びかけると、ドラゴンは遥かなる高みで「うむ」とうなずいた。
「空腹であるのは事実であるが、本日はサクヤにこの者たちを
「は、はじめまして! ぼ、ぼくはコメコぞくのアトルともうしますのです!」
「わ、わたしはアトルのいもうとのチコともうしますのです!」
さしもの咲弥も
どう見ても、五歳ぐらいにしか見えない幼子たちである。きっと立ち上がっても、身長は一メートルにも満たないぐらいだろう。どこもかしこもちまちましていて、とても
明らかに、こちらの世界の住人ではない。そして
「えーと……こちらはドラゴンくんのご
咲弥がそのように問いかけたのは角のせいばかりでなく、彼らが
「この者たちは砂漠の集落に住まう
「にゃるほど……このポージングは、彼らの伝統に
「否。そちらの世界では、これが敵意のないことを示す姿勢なのであろう? 我が、そのように教示したのだ」
「いやいや、わんこじゃないんだから。こんないたいけなおこちゃまたちにこんなポーズを取らせてたら、こっちが何かの罪に問われちゃいそうだよ」