開廷していた狂気の宴

翌日、私とジェシー先生は乗馬用品店に来ていた。街の通りは賑やかな屋台や煌びやかな店が混在し、多様な人々が行きかっている。前を向いて歩かないと危険なほどで、店に辿り着くのに苦労した。

そうして入った店内は、鞍から、むち、ブーツなど人間の使う乗馬用品から、馬のえさまで揃っている。お客さんは私たちだけのようで、先生は店内を見渡した後、近くにあった呼び鈴を鳴らした。

「どうもどうもジェイ様! ご注文のお手続きですかぁ?」

呼び鈴を聞きつけ、奥から店主であろうおじさんがこちらに向かってきた。私たちを見て目を輝かせ、嬉々としている。

「ああ。それとこいつ用の鞍が欲しくて……体格に合いそうなものは置いてあるか?」

「もちろん! どんなご年齢の方にも合うとびっきりの鞍を揃えておりますよぉ!」

店主のおじさんは「お待ちくださぁい!」と言って店の奥にまた入っていった。そして箱を持ってきて、いくつか開くと空いている棚に並べてくれた。

「こちらになりますぅ! 色は後でお申し付けくださいねえ」

不思議と人を惹きつける笑顔だ。周囲を見渡すと、鞍を試乗するための等身大らしき馬の模型があった。馬の首には「お試し用!」と派手な赤字のポップが書かれ、とても目立っている。

「それにしてもジェイ様の婚約者様、随分しっかりしていらっしゃいますねえ! これから逢引きですかぁ?」

「ちっ違う!」

「ふふふ、ごまかさなくてもいいですよぉ! ジェイ様のその恰好! 今日は本当にお洒落ですねえー!」

たしかに先生の今日の恰好はいつもと違う気がする。でもそれはいつも乗馬の練習の時会っているからだろう。乗馬の時の先生は軽装で動きやすさを重視していて、今日はどことなく大人の人だなと思う雰囲気だ。

「やめろ、もう構うな」

「ふふふ。婚約者様の鞍はジェイ様が選ばれるのでしょう? では、ごゆっくり」

「だから……! ……案内、ありがとう」

店主のおじさんはお辞儀をして店の奥に入っていった。先生はこちらに振り向き、どこか居心地の悪そうな顔をして私に頭を下げる。

「悪かった。ここの店主はいつもああいう感じで、気を悪くしないでほしい」

「いえ、お気になさらず。それよりどれを選んでいいかよくわからなくて……もしよろしければ、選んでいただけないでしょうか……?」

素人の私はどれを選んでいいのか判断がつかない。一応昨日の夜に乗馬の本を読み、鞍の選び方なるものを読み込んだものの、実物を前にするとなにを選んでいいかさっぱりだ。

ジェシー先生は私の言葉に頷くと、出された鞍からいくつかを選び取り、凝視して戻した。それを幾度か繰り返して、赤、白、黒の三つの鞍を取り出した。

「このどれかまで絞った。あとは乗ってくれ」

「はい」

模型に乗り、一つずつ試していく。赤と白の乗り心地はどちらを選んでも良さそうだ、後は色の好みか、と考えながら最後の黒い鞍に乗った。

「わっ」

「どうだ」

すごいぴったりだ。姿勢を正そうと思わなくても勝手に正されているし、なにより乗っていて楽だ。運命性すら感じる。すごい!

「これすごい、これすごいですよ、ぴったりです。ありがとうございます!」

「なら良かった」

ありがたい、三つまで絞ってくれたことでも感謝してもしきれないのにこんなにフィットするものを選んでくれるなんて。さすがだ。さすがジェシー先生だ。

「どうやらお決まりのようですねえ! ではそちらの鞍は当店からのご祝儀の前お祝いということで」

馬の模型から降りると、店主のおじさんがいつの間にか後ろにいた。そして私が乗っていた鞍をさっと取ると、そのまま店の奥へ向かおうとする。

「いえっ、きちんとお支払いします!」

「待て、俺が払う」

慌てて追いかけると、店主のおじさんがしー、と唇に指をあてた。足を止めるとおじさんは瞬く間に店の奥に入り、従業員用の扉を閉めてしまった。

「……お金は、払っても受け取ってもらえそうにないな」

「でも」

「まぁ、今後その分買えばいい」

「……はい。たくさん買います」

両親の鞍を揃え、あと手綱も揃えよう。御者のソルさんの馬術用品を新しくするときもこの店を使おう。

私は親切に報いることができるよう、購入計画を立てて待った。そして包んでもらった品を受け取り、店主のおじさんにお礼を言って店を出たのだった。


ジェシー先生と一緒に通りを歩く。人通りはお昼時ということもあって、先ほどよりも人の勢いが増していた。買った鞍は先生が持ってくれている。自分で持つと申し出ても却下され続け、思い返せば十八歳の青年と十歳の子供が歩き、十歳の子供だけが大きな荷物を持っていたら世間の目は厳しくなると納得して、今現在お言葉に甘えている。

「……み、店に入るぞ。甘いものは平気か」

「はい」

「なら大通りの先に馴染なじみの店がある、そこ曲がれ」

「わかりました」

ジェシー先生の言葉に頷き、大通りに出た。その直後──、

「いたぞ!」

突然数人の男たちが一斉に私たちを囲み、そしてジェシー先生を取り押さえた。先生は振りほどこうとするけれど、複数で取り押さえられているためかなわない。暴漢だ。とにかく周りに助けを呼ばなければ。そう思ったのも束の間、二人の男が割って入ってきた。一人は拳で何発も殴られたようで、顔を腫らしておぼつかない足取りだ。もう一人は屈強な体つきで、顔の腫れた男の襟首を掴みながら引きずるようにしてやってくる。

「おい、お前ジェイ・シークだな」

屈強な男が先生を睨む。先生は鋭い目つきで睨み返した。

「だったらなんだ」

「よくも店の絵を持ち去ってくれたな!! 俺の弟をぼこぼこにして!」

「は?」

屈強そうな男が兄で、顔の腫れた男が弟、二人は兄弟ということか。屈強な兄は「こいつだよな?」と先生を指で示すと、顔の腫れた弟がゆっくりと頷く。先生はそんな二人を前にため息を吐いた。

「そんな奴は知らないが」

「嘘をつくな! 俺が昼に配達に出かけて、夕方俺が店から帰ってきたら弟がこんなになってたんだよ!」

昨日の昼から夕方の間に変わり果てた姿に……、ということは、私とジェシー先生が一緒にいた時間だ。先生が馬小屋の鍵かなにかを取りに行っていたのは五分程度だったし、それで私は馬との会話を先生に聞かれたのだ。

「……あの、すみません。昨日の弟さんが被害に遭われたであろう時間、彼は私と共に屋敷にいました」

私の言葉に屈強な兄はぎょっとした。目を泳がせ始めたかと思えば、ものすごい勢いで怒り始める。

「お、お前が店に来て、絵が欲しいって駄々をこねて弟を殴ったんだろ! こんな子供に嘘までつかせやがって!」

「私、嘘なんてついてません。それに私を彼の屋敷に運んだ御者も、彼の姿を見ているはずです。おそらくなにか誤解が──」

「この泥棒野郎め!!

私の言葉を遮り、屈強な兄は怒鳴った。悔しいと言わんばかりの言い方だ。弟が怪我をしている。それも誰かに殴られて、冷静でいられないのは仕方がないと思う。それでもこんな突然、たくさんの人を連れて取り囲む手段が許されていいものか。むしろ、無理矢理ジェシー先生を犯人に仕立てようとする悪意すら感じる。

周囲には男たちだけではなく、街行く人々や屋台の店員すらも集まってきていた。

「ここで謝れ」

街の人々も聞いている中、場を収めたさで謝罪なんてしたら、それが自白と取られてしまう。間違いなくジェシー先生はえん罪だ。アリバイだってある。

しかしここで先生が強盗犯として周知されたり捕まれば、貴族学園で教師として先生が現れる未来は訪れない。シーク家の名誉にだって関わる。この事件によっていずれシーク家が没落する可能性も出てきてしまう。

ジェシー先生が強盗なんてあり得ないし、現にゲームのシナリオにもなかった。先生が強盗や冤罪について語ることも、それに近いトラウマもなかった。設定に、「過去に濡れ衣を着せられた」なんて表記もないし、「消せない過去がある」といった意味ありげな描写もない。

つまりゲームでは、強盗や冤罪の騒動なんて起きていなかったのだ。

ゲームで起きていないことが、なぜ今起きているのか。……間違いなく私が原因だ。そうとしか考えられない。

十八歳の精神に、十歳の影響なんてあるはずがないと思っていた。でもなにも影響は精神的なものだけではない。私というイレギュラーがジェシー先生に関わったことで、この異常事態を引き起こしてしまったに違いない。

しかし原因がわかったとして、この状況を打開できなければ意味がない。憲兵隊のもとへ行き無実の証明ができたとしても、街でその事実が広まるとは限らない。「シーク家の令息が強盗をして逃げ、次の日街で断罪された」という悪評に尾ひれがついて回り、シーク家の信頼が破壊される可能性がある。「シーク家の令息が警察に連れていかれた事実」が、今後どう作用するかわからないだけに、今なんとかしなければいけない。

どうすればいい。私の我儘が効くのは両親にだけだ。私になにができるのだろうか。

私には並外れた推理力も、洞察力も、真実を見抜く論理的思考もない。この場で全員抹消するなんてチート能力はない。お金で解決したら後にジェシー先生の名誉が傷つくのは明白だ。ミスティア・アーレンにできることは封殺されている。

「訴えるぞ! 早く謝れ!」

この状況は絶望的だ。ジェシー先生は俺が認めれば……みたいな顔をしている。目を閉じ、じっと考え……冤罪という言葉が頭を過った。

そうだ、裁判だ。私は自分が被告人側で裁判をする時の勉強をしていた。昨日は冤罪による名誉棄損で、逆に相手を訴える法律や手続きについて自主的に勉強をしたばかりだ。

推理で真犯人を捕まえることは不可能でも、相手を揺さぶり、その矛盾を指摘してジェシー先生の無罪をこの場で主張することは可能では?

現に屈強な兄は「私が一緒にいたよ」という子供の発言で一瞬、大いに揺さぶられたのだ。

元々ジェシー先生は無罪なのだ。別に真犯人を見つけなくていい。トリックなんて見破らなくていい。先生が無罪である事実だけを証明すればいいのだ。

ミスティア・アーレンは、己の非道にすら誇りを持ち、自信に満ち溢れ、いつも堂々とした表情、雰囲気を持っていた。中身はド平凡でも、私のこの表情筋は彼女のものであるはず。

ミスティアの怨念の籠った迫力ある睨み、人を責め立てる時の高圧的な声で、相手が矛盾点を現した時に、一気に畳みかけてしまえばいい。

背筋を伸ばし、肩を開いて胸を張る。しっかりと前を見据えた。心なしか周囲は私を見て、押し黙っていく。

よし、私はミスティア。私はミスティアだ。悪逆非道の最凶令嬢。私は高潔なアーレン家の令嬢。

今から私の言うことが、世界のすべて。

「少々、お待ちいただけないでしょうか?」

私は覚悟を決め、その一歩を踏み出した。

すっと目を細め、首を傾げる。ゲームのミスティアの表情を意識して、屈強な兄を見上げた。

「本当に、昨日の昼から夕方の間に弟さんが怪我をされていたのでしょうか?」

「ああ、間違いない!」

まずは、相手の話をよく聞くことだ。ジェシー先生が私とその時間一緒にいたことは確実だし、兄弟が嘘をついているなら綻びが見つかるだろう。本当に誤解ならば、記憶違いに気づいてくれるかもしれない。

「ではその時間、お店には誰も来なかったんですか? 止める方は? 介抱してくれた方は?」

「いなかったよ! 弟は俺が配達に出かけて、一人でいたところを狙われたんだっ!」

お店の位置がどこにあるのかもわからないけれど、目撃者は被害者である顔の腫れた弟だけだ。念押しして、反応を見てみよう。

「では、弟さん以外に目撃者はいない、ということでよろしいでしょうか?」

「う、う、うるさい!」

「すみません。答えられないとなると、弟さん以外の目撃者がいないと判断せざるを得ないのですけれど、それでもよろしいですか?」

目撃者が被害者本人しかいないことがおかしいとでも言うように話をしていく。実際おかしくもなんともないけれど、揺さぶりが聞いたのか顔の腫れた弟は震え、動揺を見せ始めた。

このまま、勢いに任せるしかない。背水の陣だ。というかそれしか方法がない。兄の方は反論できなくなると、「うるさい」と押し通してくる可能性が高い。ならば弟に揺さぶりをかけ続ければいい。

しかし、なにも材料がない。ジェシー先生の方を見ると、先生はこうしている間にも男たちの腕を振り払おうとしていた。殴られたり、怪我をしていたりはなさそうだ。良かった。

そうして、先生の両手が目に入った。うん。打撲も切り傷も無い、綺麗な手だ。

……ん、綺麗な手? 人の顔が腫れるくらい殴れば、綺麗な手ではいられない。皮がむけたり、あざができたりするはずだ。私はすぐさま顔の腫れた弟に声をかけた。

「殴られたのは拳で殴られたのですか? それともなにか武器のようなもので?」

「な、何発も、拳で殴られたんだっ! お、俺が逃げようとすると、もっと酷くっ」

「すみません。ありがとうございます」

次にジェシー先生の方へ行き、先生を取り押さえている男たちに私は頭を下げた。

「すみません、腕だけ離していただけないでしょうか?」

「ああ……?」

「腕だけでいいんです、手が見たくて、すみません」

一礼すると、しぶしぶ男たちは押さえつけていたジェシー先生の腕を離した。お礼を言ってから先生の手を至近距離で確認すると、手の内側に乗馬でできた豆の跡があるだけで綺麗な手をしていた。先生に腕を上げるようお願いして、私は周囲の人を見渡す。

「見てください、この拳を。人の顔を何発も殴ったら、拳の皮はある程度むけるものです。しかしこの手は綺麗なまま、むけた後もない。治った、というのも考えられますが、それだっていくらかの時間がかかるでしょう。どんなに短くとも、昨日今日で治るものではありません」

「それはっやっぱり棒で」

「記憶違いですか?」

ミスティアが主人公に対し質問を投げかける時の表情を作る。これは学園祭のパーティーを一週間前に控えたころ、主人公に「あら、ドレスなんて持っているのかしら?」と問いかけた時の顔だ。

兄弟たちはその表情にひるむ。もう一気に畳みかけるしかない。今一番怖いのは「ガキは黙ってろ」だ。実際私は十歳。そう言われるとぐうの音も出ない。

「先ほど私は彼と一緒にいた、と申しましたよね。私は証言台に立つこともいといませんし、私を屋敷に運んでくれた御者もそうでしょう。彼は私が帰る時、必ず門までお見送りをしてくださいます。その際御者も彼の姿を見ているはず。ですから実際に証言台に立つのは十歳の子供ではありません。裁判に立った時、偽証として罪に問われる覚悟を問われますが、私も御者も、なんの迷いもなく証言をします」

ミスティアは、私の理論が正しい、私が法だと言わんばかりの悪逆演説を展開していた。ある時は怪我をした主人公を前に、またある時はずぶ濡れになった主人公を前に、「お前が悪いから私にこうされるの、お前は虐げられて当然」という内容をだ。その時の言い方、間の取り方、論法をできる限り真似る。声帯も表情筋もすべて同じのはずだ。

「あなたはどうですか? 偽証として罪に問われても、こちらが侮辱を受けたと、アーレン家、シーク家の連名で逆に訴えられる覚悟を持って証言できますか? 本当に、誤解と見間違いの可能性はありませんか?」

兄弟へ威圧的にそう言い放つと、ジェシー先生を押さえていた男たちは「アーレン家だと?」「話が違う」「割に合わないじゃないか」「ふざけるな」と口々に兄弟を責め始めた。その様子に周囲は兄弟に疑いの目を向け始める。

「くそ、ガキは黙って……」

屈強な兄が言いかけるも、不意に停止した。

なにか、集団が近づく音がする。

振り返ると憲兵隊が、こちらを取り囲む男たちの隙間から突入してきた。憲兵隊はジェシー先生を掴んでいた男たちをどんどん取り押さえていき、そして兄弟たちに手錠をかけた。

解放された先生はなにがなんだかわからない、といった顔で私を守るように肩を掴んでくる。

「お怪我は?」

「ない。……とりあえず隅に寄るぞ、お前が危ない」

二人で大通りの隅に寄っていく。中心ではわらわらと憲兵隊が男たちを取り押さえていった。するとその中をかき分けて、シーク伯爵が現れた。

「いやぁ間に合って良かった、ああミスティアちゃんも一緒だったのか。ごめんね怖い思いをさせて」

伯爵は私の頭を撫でて、すまなそうな顔をした。謝られているけれど、なにがなんだかわからない。

「アルゴー家が仕組んだことだよ、全部」

伯爵の言葉にジェシー先生は納得した。私はまだなにがなんだかわからない。

「あの、どういうことですか?」

「結構前からシーク家と仲が悪い家があってな……そいつらが、シーク家をおとしめるために一芝居うったってことだ」

「ジェイ、前から言っているだろう? 仲が悪いんじゃない! 我がシーク家はアルゴー家の不当貿易の摘発の協力をしただけで、全部あっちの逆恨みだ」

先生の説明に、伯爵が怒りを込めて付け足した。

「つまり……冤罪騒動を街で起こして、シーク家の評判を落とそうと仕組んだってことですか?」

「さすがミスティアちゃん聡明だねえ! そうなんだよ! 何日も前から計画してたらしくて、こっちもなにかしそうなのはわかっていたから、憲兵隊と連絡を取り合ってたんだけど……まさかジェイを狙うとは思ってなくてね……」

ん?

ならば先ほどの出来事は元々ジェシー先生に起きていたことで、ミスティアの影響ではない?

ゲームで先生が冤罪の話をしなかったのは、聞かれたくなかったのではなく、取るに足らない、そもそも覚えていないくらいの出来事であったから?

憲兵隊はそもそもアルゴー家をマークしていた。突入したタイミングからも、今日のような派手な逮捕劇が繰り広げられていたと想像できる。街で悪評が立つこともなかったはずだ。

イレギュラーが……私が関わったことによる影響は、なかった?

つまり、私が行動を起こす必要はなかったということだ。

この事件は、ミスティアと会ったことによるイレギュラーで起きたものではない。先生の口から語られなかったのは、今のように真実が明かされ、何事もなかったからだ。ミスティアと関わったところで──、私さえなにもしなければ、異常事態は起きないのかもしれない。

良かった。

ジェシー先生の無実が証明されて本当に良かった。先生に、なにもなくて良かった。

「はぁ、良かったぁ……」

安心感と、そして人に対して高圧的に、攻撃的に接する慣れなさからきた疲労で全身の力が抜け、へたり込みかける。しかし間一髪のところで先生が私の手を取り、がっしりと支えてくれた。