異録 僕の夢
SIDE:Eric
僕は昔から人と話すことが好きだった。僕のお話で、皆が笑っているのを見るのが好きだった。だから屋敷に人が来たら、どんなお話をしようか、どんなお話が聞けるのかとわくわくした。
屋敷には、いろいろな大人たちが出入りする。中でも商人のおじさんの話は面白い。おじさんはお仕事でいろいろな国を回っていて、そこで見てきたこと、聞いてきたことを僕に話してくれる。僕はお返しにおじさんへ本で読んだ騎士の話や、庭園に住んでいる猫が木に登った話をした。僕の話を聞くと、おじさんはいつも笑っていた。
でも、ある日のことだ。
庭園で遊んだあと屋敷に戻ると、広間で大人たちが集まっていた。中には商人のおじさんもいて、そういえば今日はお母さんが、お父さんの仕事の人がたくさん来るから広間に来ちゃ駄目って言っていたな、なんて思い出して僕は慌てて物陰に隠れた。
今日はおじさんとお話してはいけない日。でも、挨拶はしても大丈夫かな? 挨拶はお話に入るのかな?
悩みながらも商人のおじさんがいる方へ歩いていくと、大人たちの声が聞こえてきた。
「伯爵はまだなのか。会合の時間は過ぎているぞ」
「ふむ、前の取引が難航しているのでしょう。ハイム伯爵は公平な交渉を望む方ですからね」
「はっ、それも今回は茶番のようなものでしょう。そちらのお方は、エリクぼっちゃんにとても気に入られていますから」
「精神年齢が近いのでは」
「ハハ、子供の話ですから、聞いていても楽しくはないですよ。これも利益のためです」
商人のおじさんは、今まで見たことのない冷たい顔で話をしていた。
おじさんと会話をした記憶が、頭の中でぐるぐると繰り返される。
おじさんは笑っていたけれど、楽しくなかった? 僕のお話が、駄目だった?
じゃあ、今まで僕はなにをしていたんだろう。
考えると怖くなって、僕は後ろに一歩下がった。物音を立ててしまって、大人たちは一斉にこっちを見た。そして困ったような顔をした後、皆笑顔を作り始めたのだ。
どうしてまた笑うの、なんで? なにがおかしいの?
「エリクぼっちゃん……」
大人の一人がこちらに近づいてきて、手を伸ばしてきた瞬間背筋に悪寒が走った。怖くて、気持ち悪くて、僕は広間を飛び出し自分の部屋に逃げ込んだ。早く鍵をかけたいのに、手が震えてドアノブが手の汗で濡れていく感触は、今でもはっきりと残っている。
さっきの大人たちは、なにがおかしかったのだろう。僕を見て笑っていた。僕はおかしいのかな。僕はつまらなくて、おかしい人間なのかな。
部屋でただ呼吸をしていると、どんどん自分がすごく恥ずかしくて変で、嫌な奴な気がして、それから段々みんなとなにを話していいのかわからなくなった。どんな言葉も嘘に聞こえる。お母さんにもお父さんにも使用人にもなにもされていないのに、僕はどう接していいのかわからなくなって、お話ができなくなってしまった。
昨日、一昨日、一週間前、一か月前、前にできていたことがどんどんできなくなってくる。
段々人と目を合わせただけで気持ちが悪くなってきて、隠れて吐いてしまうようになっていた。
こんな姿誰にも見られたくない。
精一杯隠しているけれど、明日はなにができなくなるかわからない。ある時、僕は部屋から出ることをやめた。
お母さんは、毎日扉に向かって「出てきて」と泣いた。心が痛かったけれど、それでも僕はおかしい自分を皆に知られることが嫌だった。僕は、僕が気持ち悪い。同じように皆に気持ち悪いと思われることが嫌だった。
それから、半年。食事は毎日、毎食部屋の前に置かれていて、誰もいない隙を見計らって食べた。
はじめはお腹が空いて食べるけれど、食べているうちに罪悪感が湧いてくる。部屋から出ることができない、ちゃんとできないのに、僕はお腹が空いてしまう。生きていたくなんかないのに、もういなくなりたいのに。でもいなくなるのも怖くて、毎日泣く日々の繰り返しだった。
部屋にいることが楽しいわけじゃない。ただ、そこにしかいられない。でも一人で籠っているのは辛くて、僕は布を被り外に出ることにした。
布を被ったのは見つからないように、見つかっても僕だとわからないようにと始めたけれど、布を一枚隔てていれば世界から守られている気がした。それからは部屋にいても布を被っていた。
僕は人がいる時は部屋に籠り、人がいない晴れた日は窓からそっと部屋を抜け出して、緑蘭の庭園で過ごしていた。
だから、彼女と出会ったその日も、いつもと同じように過ごしていた。
お母さんは僕がお茶会が好きだからと、同じ季節に間隔も空けずに何度も何度もお茶会を開く。本当はお茶会に近づかないよう部屋の中にいたかったけれど、人を連れて部屋の前に来られることも怖かった僕は噴水の傍でしゃがんでいた。しゃがみながら、僕は助けを求めていた。
このまま誰でもいい。助けてほしい。
もう生きていたくないから、誰か迎えに来てほしい。いつも僕は、噴水の水面を見てお願いする。前に読んだ絵本で、泉から女神様が出てきてお願いを叶えていたからだ。でも、絵本の中では皆誰かに助けてもらえるのに、僕を助けてくれる人はここにはいない。毎日お願いしても誰も出てこない、助けてくれないことに落胆していたけれど、その日は違った。
「あの、体調がよくないのですか? 人を呼びましょうか?」
頭の上から突然声が降ってきて、驚きながら振り返ると同い年くらいの女の子が立っていた。彼女は自分をミスティア・アーレンと名乗った。僕はその名前に聞き覚えがあった。アーレン家、お父さんに商人のおじさんが、宝石をあんまり買ってくれなくなったと言っていた家だ。娘が産まれてからと話をしていたから、その娘はこの子だとわかった。
おじさんの言葉を思い出している間にも、彼女は僕の体調を心配していて、どうしてここにいるのかを問いかけてきた。僕は「かくれんぼをしていた」と、
一方彼女はそのまま立ち去ろうとしていて、僕はこのまま逃してはいけないと腕を掴み、庭園の案内を申し出た。
なんとなくだけれど、彼女が僕を助けてくれると思ったからだ。
そして、庭園の案内の申し出を受け入れた彼女に、僕はエリーと名乗った。エリーという名前は「エリク」の「ク」を言えなかった僕が、四歳くらいまでお父さんやお母さんに呼ばれていた名前だ。違う名前を教えたのは、布を被ることに近かったからなのかもしれない。
エリクに、「エリー」という布を被せれば、少しは僕は治ることができるのかもしれないと、その時はそう思った。
でも、庭園を案内するとしても、なにを話したらいいのかわからない。会ったばかりのアーレン家の女の子にお父さんとお母さんの話をすると、彼女は普通に僕の話を聞いていた。
笑うわけでも、興味がまったくないわけでもない。ただ自然に当然のように話を聞いてくれていることに安心した。
彼女の瞳は、なにかを求めてこない瞳だ。笑わないし、ちょっとぼーっとしているようにも見える。なにかを押しつけるものでも求めるわけでもなくて、僕は心地よさを感じた。
彼女とならば、あの部屋にいても寂しくないかもしれない。そう考えた僕は、彼女を屋敷に案内した。部屋で彼女は僕に質問をしてくれた。人に興味を持ってもらえて、久しぶりに嬉しいと思った。
そして嬉しい気持ちのまま、広間を案内しようとするとお母さんと出くわしたのだ。僕はアーレン家の女の子を放って部屋に逃げ込むと、急いで扉を閉めてしまった。さっきまであんなに楽しかったはずなのに。もう駄目だと思って胸が苦しくて痛かった。お母さんはきっと僕が部屋から出てこないことを彼女に説明して、僕が変であることを知られてしまうと思った。
緑蘭の庭園の案内をちゃんとして、あのまま別れていればこんなことにはならなかったのに。
僕はその日、ずっとベッドでうずくまっていた。
次の日。庭園に行く気も起きず部屋の隅で座っていると、アーレン家の女の子が屋敷に来た。
廊下から彼女の声が聞こえてきて、もしも部屋に来てくれたのなら、急いで引っ張り込もうと床にクッションを敷き詰めた。やっぱり彼女は来てくれて、部屋の中へ引っ張るとしっかり着地した。
彼女がいる。嬉しい。来てくれたお礼を言わなきゃ。お母さんに言われて来たのだろうけど、まずは挨拶をしなきゃ。それとも昨日のことを謝るのが先かな? そもそも彼女は、僕のことをどれくらい知っているんだろう? 気になって「お母さんに言われて来たの?」と聞けば、彼女は僕のお母さんにはそう言われたけれど、僕に会いに来たと話す。そして、僕を外に出す気はないと言った。
彼女は、一生懸命伝えようとして僕を気遣い、考えながら話をする。その姿が僕に似ていると思った。やがて一緒に遊ぶ話になってなんの遊びがしたいか聞くと、彼女は不安げに瞳を揺らして言ったのだ。「なにも思いつかない、どうしよう」と。
その表情は、僕だった。
僕がなにかを話すとき、思うこととまるで一緒だった。謝る彼女になにかできないかと考えて、人形遊びを思いついて一緒に遊んだ。
誰かのためになにかをしたいと思ったことは久しぶりだった。
僕は、僕を助けてほしい。でも、彼女を助けてあげたい。
それから彼女と人形遊びをした。彼女の着せ替える人形はどれも珍しい組み合わせで、面白かったけど普通とはちょっと違うと思ったし、変だなとも思った。
僕も設定を一生懸命考えて、彼女に伝えた。あれだけ怖かった自分の気持ちを伝えることが簡単にできた。彼女は僕の話を聞くだけじゃない。聞いて、考えて、答えやすいように尋ねてくれる。
僕が話すのを手伝ってくれているみたいだと思った。
一通り遊び終わって、ふと彼女は人形を眺めながら笑った。他人の笑顔なんて大嫌いだと思ったけれど、この子の笑顔なら見ていてもいいと感じて、ずっと遊んでいたいと街づくりを提案した。
……いや、あれは提案じゃない。お願いだ。僕と一緒にいてほしいと、彼女へのお願いだった。
彼女から了承を得ると、自然と笑みがこぼれた。笑ったのは久しぶりだ。商人のおじさんがみんなと一緒に僕を笑っているのを見た時から、僕は笑えていなかった。彼女といると今までできなかったことが嘘みたいにできてしまう。彼女といれば、僕が無くしてしまったもの全部を取り戻せる気がする。そんな気がしていた。
それから一か月が経った、夏真っ只中、アーレン家の女の子──ミスティアは屋敷に毎日来てくれた。僕がいつも去り際に明日も来てほしいとお願いしているからだ。
でも僕は嬉しいのに、大きな不安の中にいた。街がすでに完成していたからだ。街づくりを理由にして屋敷に誘っているのに、完成してしまえば誘う理由がなくなってしまう。僕は完成しているのを悟られないよう、なにが足りない、あれがほしいと作るものを増やしていた。
でも、限界だった。
増えすぎた住人、溢れ始めた家々。
街づくりがなければ、人形遊びがなければ、ミスティアとなにを話せばいいのだろう。どうやって遊んだらいいんだろう。どうやって傍にいればいいんだろう。
僕にはなにもない。話すことも得意じゃない。
その日は、朝から二人で遊んでいた。お昼の時間になり、彼女はお昼を取りに部屋を出た。僕は外に出ることができない。お母さんが僕の部屋の前に食事を置いてくれるけれど、彼女は自分の分まで運んでもらうのは申し訳ないと運ぶことを申し出ていて、お昼ご飯は彼女が取りに行くことが決まりみたいになっていた。
僕は、外に出られない。
なのにそんな僕のためにミスティアが頑張っているのを見ることが辛かった。謝罪すると、彼女は気にしないでいいよと言った。
でも、その日のごめんは、それだけじゃなかった。
彼女に、僕から離れていってほしくない。だから、街は完成しちゃ駄目だ。部屋に一人になったのを確認した僕は、びりびりと、さっきまで井戸を描いていた紙を引き裂いた。二人の繋がりがこうならないように、ぐちゃぐちゃに、もう二度と戻れないように。
破きながら、僕はミスティアとの思い出を思い出していた。「僕はだめだから」と言うと、そっと否定して僕を褒めてくれようとする一生懸命な顔や、僕が失敗をして、家の大きさをおかしくしてしまった時、「ここは小人の住む部屋にしよう。実は地下室があって……」と言って、楽しそうに笑った顔。屋敷に来ることが辛くないかと僕に尋ねられて、屋敷に来すぎと言われていると思ったらしい、不安そうな顔。
考えすぎだよと僕が言うと、ミスティアは「人の気持ちがわからないから」と言っていた。彼女は、人の気持ちがわからないと思考を止め、諦める人じゃない。わからないから知ろうとする人だ。そんな優しいところが好きだし尊敬もする。
はじめは誰でも良かった。誰でもいいから、僕を助けてほしかった。誰でもいいから、傍にいてほしかった。僕を肯定してほしかった。そんな存在を求めていた。
でも、僕はミスティアじゃなきゃ駄目だと思った。彼女を失いたくなかった。
「え」
突如発せられた声へ顔を向けると、ミスティアがいた。見られてしまった。卑怯者の僕を見られてしまった。嫌われる。ぼろぼろと涙が出た。謝りたいのに、許してもらいたいのになにも言えなかった。
「井戸……嫌だった?」
「ちがうぅ……」
「なにが、なにか失敗して」
「ちがう……!」
今までと変わらずミスティアは僕を責めない。理由を聞いてくれる。僕に事情があるんだと思ってくれている。僕はただ弱くて、卑怯なだけなのに。ミスティアを利用しているだけ。優しさにつけこんでいるだけ。ただか弱いエリーじゃない。僕は変な奴。駄目な奴なんだ。
「だ、だってミスティアがいなくなっちゃう、街が、完成した、ら、やだ、もっとお話ししたいのに。でもなにを話していいかわからない、おそいの、話がでなくて、待たせちゃうのに、うまく話せないから、街が完成したら、友達でいてもらえない!」
ミスティアに傍にいてほしい。傍にいたい。誰かじゃ駄目だ、ミスティアといるのが楽しくて、幸せで。なのに上手く話せない。面白い話ができない。なにを話せばいいのかわからない。苦しい。一緒にいたい。僕はミスティアと一緒にいたい。
はじめは誰でも良かった。でももう無理だ。この先同じような存在に出会ったとしても、もう絶対に満たされることはない。誰でもない、ミスティアと一緒にいたい。
「別に無理に話さなくていいよ」
彼女が僕を見た。そこには軽蔑も嫌悪も怒りもなかった。ただ僕を気遣う、優しい目を彼女はしていた。
「大丈夫だよ、話なんて関係ない。私はずっと傍にいるよ。黙ってても、なにもしなくても、大丈夫。話がしたくなったら話せばいい、したくないならそのままでいい。ずっと友達。いなくなったりしない。約束するよ」
彼女がぎゅっと、思いを込めるように手を握ってくる。そんなに幸せなことが、あっていいのだろうか。卑怯者の僕がそんな幸福を得ていいのだろうか。そんな幸せを、僕に。
「ほんとに?」
「本当」
「ぜったい?」
「絶対だよ」
涙が止まらない僕の傍に、ずっとミスティアはいてくれた。ありがとうと伝えたいのに涙が止まらなくて、僕はそのまま泣き疲れて眠ってしまった。
それから、僕は夜に目が覚めた。目を開けるといつもよりずっと温かくて、隣を見るとミスティアが僕の手を握って眠っていた。その手を握り返すと心の中もあったかくて、ぎゅっとなった。
卑怯者の、こんなどうしようもない僕を彼女は受け入れようとしてくれている。このまま僕だけが幸せになるのなら簡単だ。
でも、僕も変わらなければいけない。ミスティアの優しさに甘え続けるわけにはいかない。
眠る彼女を起さないようベッドから抜け出して、僕は部屋を出る。もう被る布は必要なかった。
今までどうして生まれてきてしまったんだろうと思っていた。自分はどうしようもない存在で、生きていたくないと思っていた。なのに死ねない、死ねない弱虫の僕が大嫌いだった。
でも今は、生きていきたいと思う。生きて、ミスティアと一緒にいたい。僕が、ミスティアを、幸せにしてあげたい。
僕はこっそりお母さんのもとへ向かった。お母さんは僕を見ると驚いて泣いて、それから二人でたくさん話をした。すべてではないけれど、人の目が駄目になっていたこと、ミスティアなら大丈夫だったこと、そしてこれからのことを伝えた。
話が終わるころには徐々に外は明るくなっていて、僕はそのまま我儘を言い、朝一番に髪を切ってもらった。
エリーを脱いで、エリク・ハイムとして彼女と出会うために。
「はじめまして、ミスティア・アーレンと申します、このたびは……」
あまりにもミスティアが起きないから不安になって部屋に向かうと、ちょうど曲がり角で彼女に会えた。起きてきた彼女は目を見開き僕をじっと見つめてくる。まじまじと見ているのに、僕を僕だと認識していない。それどころか初対面だと考えて自己紹介を始めてしまった。そんな姿が愛おしくて、なんだか笑ってしまう。
「はじめましてじゃないよ。エリーだよ、いや、正しくはエリクなんだけど」
「エリク……」
ミスティアが僕を認識する。不思議と怖い気持ちもない。
「そうだよ、エリクだよ」
きちんとミスティアに覚えてもらえるように、念を押すように名前を伝える。だって、これから僕は、彼女の一番になるのだから。
ミスティアの会話にはよく「メロ」という名前が出てくる。屋敷で働く侍女の名前らしい、家族同然の存在なのだといつもその「メロ」を大切そうに語っていた。
その名前を聞くたびに、ミスティアにそんなふうに話してもらえる侍女が羨ましいと思っていた。だって友達よりも、上の存在だろうから。
知り合い、友達、主従、家族その順番を少しずつ、それこそ街を作るように、一つずつ、関係を重ねて、段階を重ねて積み上げていったら、いつか僕もミスティアの一番になれるはず。
……ミスティアに、宝物のように思ってもらえる。
だから僕は彼女を「ご主人様」と呼ぶことに決めた。本当はアーレン家の屋敷で働くのが一番いいけれど、僕にはまだ無理だし。今できることと言えばこれだ。ご主人様って僕が呼んで、ミスティアが思い出すのが使用人じゃなくて、僕になれば僕の勝ち。僕が次に彼女のことを、声に出してミスティアと呼ぶ時は、彼女を僕のお嫁さんにする時だ。これは、おまじないのようなもの。百本の緑蘭の花束と、その左の薬指にはめる指輪を、彼女に贈る時までの、誓い。
「今日から僕のことはエリクって呼んでね。僕もミスティアのこと、ご主人様って呼ぶから、よろしくね」
僕はそう言って、ぽかんと口を開ける彼女に笑いかけたのだった。