地獄の訓練がスタートした。
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ファナシアが訓練をしている間、ノーボは遊んでいるわけではなく、様々な仕事を行っていた。
訓練を行うのは、住民の全員というわけではなく、戦う才能がありそうなものを選んで、訓練をしてもらっている。
戦いには数が重要ではあるが、弱い者が戦に出ると、足を引っ張ってしまい、かえって弱くなってしまう可能性が高い。
兵士以外の者は何をしているのかというと、畑仕事をしたり、建築の作業を行ったり、外の森に行き食べられそうなものを得てきたりとさまざまである。
ノーボの主な仕事は、住民たちに何の仕事を行うべきか指示を出したり、トラブルが起こった時に解決を図ったりすることである。
拠点の規模が狭かった時ならまだしも、今は規模が大きくなりすぎて、かなり大変になってきていた。
「ノーボ様!」
エルフの住民が焦った様子で、ノーボに訴えかけてくる。
「息子が手を負傷してしまいまして……大怪我なんです!」
「怪我ですか。大丈夫です。治しましょう」
ノーボはエリーほどではないとはいえ、非常に知力が高い。
魔法を使った際の効力も高く、大抵の怪我ならヒーリングで治癒可能だった。
ノーボは急いでエルフと共に、息子のいる家へと向かう。
巨人のノーボは通常の家には入れないので、扉の前まで行き、息子を連れて来てもらった。
数秒後、目を赤く腫らしている男の子エルフが、母親に連れられて来た。
手の傷を早速見る。
(これは……かすり傷ですね……)
どう見ても大怪我という怪我ではない。
血が出ているが、治療をしなくても数日で完全に治癒しているくらいの、小さい傷である。
「もう大丈夫よ、ルッカ。ノーボ様を連れて来たからね」
まるで重症患者を元気付けるように、母親エルフは言った。
彼女と自分とで傷の見え方が違うのではと、ノーボは思う。
暇ではないので、この程度の傷で呼んでほしくはないとノーボは呆れたが、来た以上何もしないで帰るのは流石に薄情だ。
ノーボは、
「ヒーリング」
と魔法を使い、男の子の怪我を完全に治した。
「あ、あんな大怪我が一瞬で……! ノーボ様、凄いです! ありがとうございます! ほらルッカもありがとうって言うのよ!」
「ありがとうございます」
「あの今のはそんなに大怪我ではなかったですよ。あの程度の怪我ならば、魔法を少し使えれば治せます」
ノーボがそう言うと、母親エルフが笑いながら、
「またまたー。私なんか才能ないんで、魔法は使えませんよー。とにかく本当にありがとうございました!」
と言って息子を連れて、家の中に戻っていった。
ヒーリング自体は、八等級の極めて簡単な魔法である。
使おうと思えば誰でも使える。
先ほどのようなかすり傷を治すのくらいなら、誰でも可能だ。
ノーボの場合はヒーリングで重傷も治せるが、そこまでになるには長年の修行が必要になる。
(拠点の住民たちの魔法に関する知識は、正直低いですね。ペペロン様がお戻りになられたら魔法教育を推進するべきだと、進言した方が良さそうです)