ほぼ適当な儀式だったが、ミナはとても喜んでいた。その笑顔が良かったから、というわけではなかったが、俺が武具屋に作らせた特別製の匕首あいくちもお守りとして渡した。

 柄つか巻まきにも拘こだわった一級品で、そこらの物よりも頑がん丈じようでありながらしなやかなナイフだ。

 女の子にプレゼントするには酷ひどく不ぶ格かつ好こうで実用的な物だが、こちらも叙任の儀式と同じく喜んでもらえた。


 それから、ミナは今までとは比べ物にならないほど表情豊かになり、今まで以上に仕事へ打ち込むようになった。

 無理をしないように言っているが、どうにもミナは体力がありすぎる。働きすぎだと言われている俺よりも、確実に働いている。

 そんなミナに気け圧おされながら──いやいや、元気を貰いながらこれから会うストライカー侯爵との会話を考える。

 状況は上う手まく揃そろったので、一から十まで完かん璧ぺきにはならなくとも、望んだ通りの結果に近い結末まで持っていけることができるだろう。

 ストライカー侯爵には、俺が俺の居場所を作るまで地位を利用させてもらうだけではなく、資金提供もしてもらわないといけないのだから。


 これからが、とてもとても楽しみだ。