
あの後の身代金の話し合いはやや
身代金の値段についてよくわかっていなかったので、適当に金貨一万枚を提示したところ、ラジュオール
半分の金貨五〇〇〇枚にまけたが、帝国側に反対が出なかったので、そこまで低い金額ではないのだろう。
しかし、それでも子爵側は高すぎて払えないと言ってきた。ではいくらなら払えるのか、と逆に
これに対し、帝国側がふざけるな、と
「んじゃぁ、払える分だけ返したらいいんじゃないの?」
ミーシャが、まさかの人質の
このままでは
これ以上やっていては本当に分割返還されかねん、とでも思ったのか、子爵側は大人しく証書を
「当たり前でしょ。それは、子爵のみの返還金額なので、間違いはありませんよ? ですが、ご安心を。払う意思がある限りこちらは客人としてお子様たちを
「ふっ、ふざけるな! そんな話、信じられるわけがないだろう!」
人質を分割返済しようとした奴の話なんて、
「信じていただかなくても結構です。私は、きちんとそちらの要求に
せっかく引き下げた身代金が再び増額しそうになると、子爵側は一気に
「金が
金が惜しく、という言葉で子供たちの顔に不安の色が差す。そしてすぐに、父であるラジュオール子爵を見た。
そりゃそうだ。自分たちの命が金でやり取りされているうえ、その金額が高く親の足かせになっているのだから。貴族として生まれたのであれば、子供でも理解できる話だ。
見たところ、長男は俺より少し年下くらいだから、貴族としての立場は理解しているだろう。理解しているからこそ、自分の価値と身代金の金額の
この世界では、一応養子をとって後を継がせることもできる。しかし、その場合は、名前は残るが血統という貴族的価値は無くなってしまうので、子爵的にはそれは
そして、子爵はすぐに返答した。子供四人分の金貨一八〇〇枚の分割払いを。
□
空を見上げて、流れる雲を見る。
季節は完全に冬となり、これからどんどんと寒くなっていくだろう。
ミーシャは、戦死したララークルを故郷の土──ダルエナの元へ送ると言って、モナークと共に帰っていた。
ラジュオール子爵の子供たちは、皇都からマシューへ送り出した。山はまだ
ラジュオール子爵から受け取った身代金は、半分を
帝国軍が
そして、俺が貰った残りの半分は子爵邸襲撃の際に命を落とした兵士の家族へと渡した。
あまり多くても先方が困るし、国からも少しではあるが支払われるので、
国のために戦争の行方を決める作戦に
たぶん、こういったことは今回で最後になるかもしれないと思う。これから、人が多く死んでいくだろうし、戦死者は数字でしか見なくなっていくだろう。
人を踏み台にしてでも、自分の願いを
ストライカー
今回の作戦が成功したことで、未来に向けて大きく前進する一手となった。
ロベリオン第二皇子が新設した
俺の名と存在は、帝国に大きく知れ渡ることとなり、ストライカー侯爵もそう簡単には手を出せなくなるだろう。
そうそう、後で聞いた話なのだが、騎馬騎士本部のクーデター事件は、ロベリオン第二皇子が言う通り、ストライカー侯爵が一枚
騎馬騎士本部に所属する貴族が自分たちへ攻撃してきたときは、このクーデターを誘発させてその貴族を政界だけでなく物理的に消す手はずだったらしい。
それが、関係のない人間に使ってしまったために、
「ロベール様、お
ボケッ、としすぎてしまったからか、ミナが近づいてくるのに気づかなかった。そのミナの顔は、冬の
その理由は恩賞のせいだろう。子爵邸襲撃時は
そしたら、ミナはとんでもないことを言ってきたのだ。
──もしお許しいただけるのなら、ロベール様の騎士となり、働きたいと思います──
もちろん、奴隷なので騎士とは形だ。それでもメイドとしての仕事もしっかりと行ったうえで、騎士としても働きたいとのことらしい。
その理由を問うと、無茶な作戦を思いつき、そして成功させる能力と、兵士一人一人に敬意をもって接していたので、俺のために死にたいと思ったんだそうだ。
騎士も形だけなら、今までのままで良いだろうと思ったのだが、騎士を目指していたミナとしては、形だけでも俺から
俺にはよく分からなかったが、こういった区切りというのは戦う者として重要なのだろうと思い、許可をした。
その代わり、俺がヴァンデスと
そして、すぐに剣を買いに行った。騎士の叙任は、前世と似たようなやり方で、肩を
トランペットを見る少年のように、ミナが欲しがっていた剣を買い、それで叙任の儀式をした。聖句も無ければ様式もない、映画でしか見たことがない叙任の儀式を思いだしながら。