私は思わずガッツポーズした。二人で笑い合っていると、
「オクタヴィー、氷の魔女との内緒話は終わったかい?」
イケメンの人が口を挟んできた。
「師弟で仲がいいのは美しいけれど、その美しさにすら、僕は嫉妬してしまうよ」
おおう、クソキザ野郎だ。あと氷の魔女やめろ。雪だるま作って投げつけるぞ?
「ええ、もう終わりよ。それじゃあね、ゼニス」
ぽんと肩を叩いて追い出された。師匠はあんなクソキザがいいのか。私には分からん世界である。
結婚式を利用した冷蔵運輸のお披露目は、まずは成功だろう。
冷蔵の力を目の当たりにした招待客たちは、ティベリウスさんの言葉通り家族や友人に口コミする。ネットもテレビもない国だから、宣伝と言えば口コミ一択なのだ。
そうして認知度を上げて、本格稼働に備える。
冷蔵運輸が軌道に乗れば、大げさじゃなくユピテルの物流や交易に革命が起きると思う。
中庭を出る時、もう一度宴会を振りかえる。
大きな寝椅子に、ティベリウスさんと花嫁さんが寄り添って座っている。
その仲睦まじい様子に、思わず微笑んでしまった。
たとえ政略結婚でも、幸せになれないわけじゃない。
運輸事業も夫婦の行く末も、幸運の女神様のご加護がありますように。