今日の戦闘はかなりやばかった。

もしあのまま続けていても、負けはしなかっただろうが、朱莉たちに怪我を負わせていたかもしれない。

次会う時は向こうが有利な場所になるだろう。

そうなれば勝てるかどうかは微妙なところだ。

それに、もっと力があれば美香さんを怖い目にあわせることもなかったかもしれない。

「明日から、Dランクダンジョンに潜らないか」

「私もそれがいいと思います」

正直、Dランクダンジョンは避けていた面がある。

朱莉はまだ盗賊のジョブに上がったばかりだし、Eランクダンジョンに潜れば十分な稼ぎが出せた。

それに、金田たちの件もあり、敵が来ても負けないと思っていた。

だが、今日の三人は金田たちと別格だった。

このままではダメだ。

一刻も早く強くならないと。

「アカリちゃんには私から連絡しておきます」

「頼む」

俺たちは明日Dランクダンジョンに潜ることを決意した。

◇◇◇

「それで、負けておめおめと戻ってきたってわけか?」

「いや、違うんだ! 竜也!」

「そうだ。あいつらがずるい手を使ってきたから」

「……」

充と悟、恭平の三人は有村家から逃走して、竜也の下に戻ってきていた。

警察から逃げることは充たちにとって特に問題はなかった。

ダンジョンに潜ればそれだけで一般人である警察の目からは見えなくなるのだ。

自分たちを発見できない警察など恐れる必要はない。

事前の情報通り、近くにEランク以下のダンジョンはなかったが、ないならあるところまで行けばいいのだ。

ノロマな警察から駅一つ分逃げることなど、彼らにとっては造作もないことだった。

だが、帰ってくると、竜也はたいそうご立腹だった。

充たちがおめおめと逃げ帰ってきたからだ。

後ろ盾となる大きな組織がない半グレは舐められたら終わりだ。

一度舐められれば周りの同業者からも攻撃されるし、仕事にも支障をきたす。

そのため、竜也は自分のパーティメンバーである三人が逃げ帰ってきたことを重く受け止めていた。

「言いたいことはそれだけか?」

「「!!」」

悟と恭平は竜也の睨みに震え上がる。

悟と恭平は竜也と同じパーティではあるが、二人と竜也の実力は隔絶していた。

竜也はセカンドジョブを失ったが、それでも二人がかりでも竜也には勝てないと思っている。

特に、竜也は探索者である部下たちを今まで何度も粛清してきたので対人戦に特化した成長をしていた。

戦闘になれば敗北するのはどちらか目に見えている。

「充! お前もなんとか言ってくれよ!」

「僕はー逃げてきたんじゃなくてー。少し気になることがあったからー帰ってきただけだからねー」

「気になること?」

一人だけ余裕の表情だった充が話し始めると、竜也は興味深げに充の方を見る。

探索者になってから仲間になった悟や恭平と違い、充は竜也が探索者になる前からの知り合いだ。

そのため、竜也は充にだけは気を許していた。

そんな充が気になることがあると言い出したので、竜也は一度矛を収めたようだ。

悟と恭平はホッと胸を撫で下ろす。

「……なんだ。言ってみろ」

「あの探索者さー。剣と魔法のー両方を使ったんだよねー」

「「そういえば」」

悟と恭平もそのことを思い出したようだ。

サグルと呼ばれていた探索者は剣で充とやり合いながら、魔法で悟の火球を撃ち落とした。

これは本来起こり得ないことだ。

ジョブは基本的に物理特化か魔法特化に分かれている。

魔法使いは剣を使えないし、戦士は魔法が使えない。

魔法と剣の両方を使える見習い手品師マジシャンというジョブもあるにはあるが、所詮は手品師だ。

戦闘にもサポートにも使えないゴミジョブだと聞いたことがある。

「もしかして、魔法剣士みたいな派生ジョブだっていうのか?」

「まさかー。そこまで強くはなかったよー」

例外的に、魔法使いと戦士の派生ジョブである剣士のジョブランクを一定以上にすると魔法剣士というジョブが発生すると広く知られている。

魔法と剣の両方が使える強ジョブだ。

発生条件が厳しいため、かなり強力なジョブだと言われており、Cランクのダンジョンに潜っている上級探索者の中に何人かいると言われている。

竜也たちも前に一度だけダンジョン内でそれっぽい探索者を見たことがあるが、竜也たちが手こずるであろうDランクのモンスターを一人でほふっていた。

だが、今日戦った探索者はそこまで強くなかった。

「じゃあ、なんでそいつは魔法と剣の両方が使えたんだ?」

「竜也はーわかるんじゃないかなー? 元最速ダンジョン踏破者の竜也ならさ」

「……」

一つのジョブでは魔法と剣とを使うことができない。

だが、魔法使い系のジョブと戦士系のジョブの両方を持っていればどちらも使うことができる。

そこまで考えて、竜也は充が何を言いたいのかやっと理解した。

「そいつが新しい最速ダンジョン踏破者だって言いたいのか?」

「それはーわからないかなー。でもーもしそうだったらー竜也は自分で殺したいでしょー?」

「……」

「「ひぃ」」

竜也がニヤリと笑い、殺気が膨れ上がる。

殺気の矛先ではない悟と恭平が震え上がってしまうほどの殺気だ。

笑顔は本来、攻撃的な表情だと言われているが、竜也の表情はまさにそれだった。

充は久しぶりに本気になった竜也を見てニヤリと笑う。

「幸子も呼び戻せ。俺が直々に引導を渡してやる」

「りょ〜かーい」

充は軽く返事をすると、竜也の下を後にする。

悟と恭平もそんな充を追いかけるように部屋から出ていった。

倉庫内には他のメンバーもいたのだが、竜也の殺気を恐れてどこかへいってしまったらしい。

竜也の倉庫には竜也以外誰もいなくなっていた。

「くくく。見つけたぞ。これまでの落とし前をつけてやる」

竜也は誰もいなくなった倉庫で、一人、笑うのだった。

◇◇◇

【ダンジョンは】探索者情報共有掲示板381【成長期!】

1:名前:名無しの探索者

ここは『ダンジョンGo!』ユーザーの情報共有掲示板です。

謎パワーによって一般ぴーぽーは見つけられないので、安心して書き込みましょう。


称号の取得方法や効率的なモンスターの倒し方など有益な情報の情報共有をしましょう。


ここで嘘や煽りなどはお控えください。

こう言っても、嘘や煽りをする探索者はたくさん出るので、話半分で聞くように心がけてください。


185:名前:名無しの探索者

誰か良い鍛冶師と防具職人知らない?

前にお願いしてた人が企業所属になっちゃったらしくて、新しい職人さんを探さないといけないんだけど。

ちなみに、パーティ編成は戦士、魔法使い、僧侶、商人、見習い盗賊。

Dランクダンジョンへの挑戦を考えてる。


186:名前:名無しの探索者

>>185

最近東京周辺のサポート職が企業所属になることが多いんだよな。

っていうか、なんで盗賊だけ見習いなんだよwww


187:名前:名無しの探索者

>>186

あれじゃないか、前に掲示板にいた調子乗って盗賊のメンバーを追い出したってパーティ。

よく新しい見習い盗賊が見つけられたな。


188:名前:名無しの探索者

>>187

そうだよ! その通りだよ!

あれはマジで失敗した。

あのやろう、良い具合にハーレムパーティに収まりやがって。

しかも、レベリングもうまく行って、今はDランクダンジョンに潜ってるらしい。

それを聞いて、俺たちも負けてられないってなったんだよ!

だから、見習い盗賊用の装備を新調してはやくDランクダンジョンに挑む予定。

Eランクダンジョンでの戦闘は結構余裕があるし、Dランクダンジョンでも大丈夫だろ。


189:名前:名無しの探索者

>>188

作ってやりたいんだが、ダンジョンの適正攻略レベル以下の攻略はお勧めしないぞ?

Dランクに潜るなら、盗賊のランクⅤになってからの方がいい。


190:名前:名無しの探索者

>>189

おぉ! あなたは!

いつも頼りになる生産職先輩!

大丈夫だ。他のパーティメンバーがランクⅥを超えてるから、対処可能なはずだ。

ダンジョンも、影響が一番出にくい色欲のダンジョンに潜るつもりだ。

俺たちは男ばっかだし、見習い盗賊のやつは彼女もいて、帰ったら彼女に甘えるから大丈夫って言ってる。

だから、お願いします。

このまま負けっぱなしじゃ悔しいんだよ!


191:名前:名無しの探索者

>>189

ダンジョンの適正攻略レベルってなんですか?


192:名前:名無しの探索者

>>190

Dランクからは盗賊職が大活躍するからな。

他の職はともかく、盗賊のジョブランクは最低でも一次職のⅢ以上ないと厳しいと思うぞ?

挑戦してみるのは止めはしないが、誰か一人は腕や足を失う覚悟をしておいた方がいい。

パーティメンバーが大怪我をした時に逆恨みされたくないから、装備を作るのは却下だな。


>>191

適正攻略レベルは『ダンジョンGo!』のヘルプに載ってるぞ。

自分が突入したことがあるランクの一つ上のランクまで適正攻略レベルが表示されてるから、見てみるといい。

まあ、かなり厳しめに書かれてるから、これ通りにしているやつはほとんどいないけど。

だいたい、ヘルプに書かれてる適正攻略ランクのマイナス5ランクくらいなら命の危険なく探索できると言われてる。

Fランクが見習い職のランクⅦ、Eランクが一般職のランクⅢ、Dランクが一般職のランクⅨだ。

見習い職っていうのは、『見習い』とついているジョブで、見習い戦士とか、見習い僧侶とかだな。

一般職っていうのは『見習い』がとれたジョブで、戦士とか僧侶とかになる。

あと、ヘルプには結構有用な情報が載ってるから、ちゃんと読んだ方がいいぞ。

結構厳しめに書かれてて、あまり参考にならないって言ってるやつは多いが、一つの指標にはなる。


193:名前:名無しの探索者

>>192

そうなんですね。

生産職先輩、ありがとうございます。

ヘルプ読んでみます。


194:名前:名無しの探索者

>>192

そうなのか。

流石に、手足がなくなるのはきついな。

確か、手足をはやそうと思ったらDランクダンジョンでドロップする中級ポーションが必要だったよな?


195:名前:名無しの探索者

>>194

手足の欠損は上級ポーション以上のポーションじゃないと治せないぞ。

上級ポーションもDランクダンジョンでドロップすることはあるが、一億分の一とかの超超レアドロップだったはずだ。

まず手に入らないと思っておいた方がいい。

手に入ったとしても相当もめると思うぞ?

上級ポーションはアプリのショップの売却で一億とか余裕で超えるからな。

探索者たちが開いているオークションとかに出すともっと高くなるらしい。


196:名前:名無しの探索者

>>195

上級ポーションって一億もするのか!

というか、オークションとかあるんだな。


197:名前:名無しの探索者

>>196

企業系探索者主催のオークションだ。

新興宗教の会合に偽装されてるらしくて、一般人とかもたまに参加してるらしい。

そこで、上級ポーションは目玉商品らしい。

足の動かない少女の足を治すとか、いい感じの奇跡だからな。

医学的にも奇跡的に回復したってことで流されるらしいし。


198:名前:名無しの探索者

>>197

なんだよその怪しげなオークションwww


199:名前:名無しの探索者

>>198

怪しげに聞こえるかもしれないが、大元の企業は財閥系の企業だから、安心して参加できるぞ。

ランクが上がって不要になった装備とかもオークションに出されるから、普通の探索者にも旨みは多いし。

まあ、最低落札価格が億を超えるんだけどな。


200:名前:名無しの探索者

>>199

億超えとかマジかよ。

まさに、オークションだな!


201:名前:名無しの探索者

>>200

……


202:名前:名無しの探索者

>>200

……


203:名前:名無しの探索者

>>200

……


204:名前:名無しの探索者

>>200

……さむ


205:名前:名無しの探索者

>>200

俺は優しいから突っ込まないでおいてやるよwww


>>186

話は戻るけど、俺のパーティがそろそろDランクダンジョンに挑戦したいから生産職の探索者探してるんだけど、みんな企業所属になっちゃってんの?

全然見つからないんだけど。


206:名前:名無しの探索者

>>205

東京周辺は企業所属になった生産職が多いな。

金龍会っていう組織が、片っ端から勧誘してるみたいだ。

結構高待遇らしいし、勧誘がめんどくさいから企業所属になる生産職は多いらしい。

企業所属にならなくても、地方に拠点を移しちゃったりな。

俺の知り合いも、地方に拠点を移したみたいだ。

他の地方は普通に生産職の探索者がいるらしいぞ?


207:名前:名無しの探索者

>>206

そうなんですね。

生産職先輩。ありがとうございます。

生産職先輩は東京にいるんですか?


208:名前:名無しの探索者

>>207

俺はまだ東京にいるな。

それに無所属だ。

作ってやってもいいが、メンバーとランクはどんな感じだ?

あと、斥候職の探索者のジョブランクも教えてくれ。


209:名前:名無しの探索者

>>208

メンバー構成は戦士、戦士、魔法使い、僧侶、盗賊。

メンバーのジョブランクの平均の一般職のランクV、盗賊職は盗賊のランクⅤです。


210:名前:名無しの探索者

>>209

それならDランクでも大丈夫そうだな。

念のためステータスは確認させてもらうけど、大丈夫か?

確認するのはランクとレベルだけでいい。


211:名前:名無しの探索者

>>210

ランクとレベルだけなら問題ない。

よろしくお願いします。


212:名前:名無しの探索者

>>211

じゃあ、来週の土曜日に秋葉原駅前待ち合わせでどうだ?

材料はちゃんと持ってきてくれよ。

何かわかりやすい格好をして待っていてもらっていいか?

こっちはSOXのキリヤの格好をして話しかけるから。


213:名前:名無しの探索者

>>212

同族さんでしたかwww

じゃあ、俺たちはSOXの花鳥風月の格好でもしておこうかな。

ちょうどあの五人組と武器が一緒だし。