「今まで無敵のような
いつの間にか
「早くやれ!」
「殺せ! 殺せ!」
観客たちの声を後ろにして、俺とデリックは同時に戦闘態勢に入った。そして先に打って出たのは……俺の方だ。
「はっ!」
左右の拳と下段蹴りの連続
「ほぉ」
俺は少し驚いた。デリックの反撃自体は腕を上げて受け止めたけど、結構な衝撃が伝わってきた。
「やるな」
たった一度の
「へっ」
久しぶりに戦う相手が強くて……嬉しい。信じてもいない
「おい、化け物! 力でねじ
観客の
「ぐおおおお!」
「うっ……!」
デリックの慌てる顔を直視しながら拳を出す。強烈な攻撃だが、デリックも
「はあっ!」
今度はデリックの腹を
でも俺はニヤリとした。逃げ回るばかりのやつらを追い込む方法なら、もう心得ている!
「うぐっ……!」
デリックの口から低い悲鳴が
「もう逃げられないぞ」
密着状態、至近距離での
「ぬおおおお!」
俺の拳がデリックの上半身を
「ぐおおおお!」
ふらつくデリックの頭に
「ふう」
倒れた相手を見下ろしながら息を
「……何?」
だがその直後、俺は目を見開いた。デリックが……立ち上がったのだ。
「た、立ち上がったぞ! どうなってんだ!?」
「あいつも化け物かよ!?」
驚いたのは俺だけではない。観客たちも
「こいつは……」
俺はデリックを睨みつけた。こいつの
まさかこいつも『全身全霊の動き』が使えるのか? いや、違う。そんな感じではない。なら……どうやって?
「うおおおお!」
俺が考えている間に、デリックが突進してくる。俺は足を運んで避けてから、デリックの様子を
「はあ、はあ……」
デリックは俺を見ていない。ただ
「おい、デリック」
「うおおお!」
俺の声に反応して、デリックがまた
「……そういうことだったのか」
俺は歯を食いしばった。不本意だが、こうなったら仕方ない。
「うおおおお!」
デリックがもう一度突進してきた時、俺はそれを避けてデリックの首に腕を回した。
「うっ!」
俺が腕に力を入れると、デリックが苦しむ。こいつを倒すためには……意識を完全に
「うぐっ……!」
デリックは必死にもがいたが、やがて気を失ってしまう。
「レ、レッド様の勝利です!」
進行係が驚愕の表情で俺の勝利を宣言する。
「おい、早く医者を呼べ!」
「は、はい!」
俺が
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俺は事務室のテーブルに
しばらくして誰かが部屋に入ってきた。この事務室の主であるロベルトだ。
「レッドさん、医者の検査が終わりました」
俺はテーブルから立ち上がった。
「結果はどうだ?」
「それが……レッドさんの読み通りです」
ロベルトは暗い顔で言った。
「デリックは、
「やっぱりか」
試合の
「薬物の効果は確かみたいですが、副作用も強いらしいです」
「つまりデリックは……」
「はい、彼の命は……後僅かです」
しばらく沈黙が流れた。重い空気の中、俺とロベルトは
「……ロベルトさん」
やがて俺が沈黙を破った。
「この都市の組織は、薬物も流通させているのか?」
「いいえ」
ロベルトが首を横に振る。
「もちろんお金は稼げますが、薬物の流通は
「じゃ、一体誰が?」
俺の質問に、ロベルトは少し間を置いてから答える。
「噂があります」
「噂?」
「この都市の
「まさか……」
「はい、警備隊の誰かが……取り上げた薬物を
なるほど、警備隊の腐敗か。
「そんな
「そうでしょうね」
「心当たりは無いのか?」
「……現警備隊隊長のラズロさんは、欲の強い人でしてね。組織からすれば、そんな人だからこそ利用しやすいわけですが……たまに危険な真似をして、困る時もあります」
「そうか」
第一容疑者は警備隊隊長か……。
「レッドさん、警備隊を敵に回すのは……」
「分かっている。俺だってそこまで
俺は微かに笑った。
「でも、そんな
「そうでしょうね」
「薬物を直接扱っているやつらを
ロベルトは
「可能だと思います。デリックから情報を得ることも出来るはずですから」
「じゃ、そっちを
「レッドさん……」
ロベルトが心配げな顔で俺を見つめたが、俺はもう心を決めた。
「あんたの言う『安定した
「……分かりました。お願いします」
ロベルトも覚悟を決めたようだ。俺はそんなロベルトを後にして、彼の事務室を出た。
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俺の勝利を記念して、
組織員たちはみんな楽しそうな顔だ。俺の試合にかなり
「流石ボスです! 楽勝でしたね!」
「そうだな」
俺は適当に
だが時間が
「その、みんなに話しておきたいことがあります」
パーティーの途中、ふとゲッリトが言った。
「実は俺、
「何だと!?」
「レイモン、その裏切り者を
「はい、ボス!」
裏切り者の処分は大事だ。ゲッリトはみんなに殴られた。
「ボ、ボスはどうなっていますか?
殴られたゲッリトが笑顔で質問してきた。
「俺? 俺には彼女なんていないんだが」
「いや、
その話か。俺は
「何も起きていない。そもそも女の子にとって、俺は
「それはどうですかね」
ゲッリトがニヤリと笑う。
「深く考えずに、『俺の女になれ!』と言えば案外どうにかなるかもしれませんよ?」
「レイモン、そいつをもっと殴れ」
「はい!」
俺はゲッリトが殴られるのを