第一章 いつかは必ずだ
俺はいつも自分自身に言い聞かせていた。これは『仕方の無いことだ』と。
人々から侮辱されるのは仕方の無いことだ。石を投げられるのも仕方の無いことだ。不良に殴られるのも仕方の無いことだ。
俺に出来ることは何も無い。
しかし美しい金髪の少女と出会ったあの日から、俺は変わった。俺は……怒りを
いつかは全員まとめてぶっ殺してやる! 俺を侮辱したやつらの口を裂いてやる! やつらの家族も一人一人なぶり殺してやる!
怒りが俺の中を満たした。だが……怒りに身を任せたところで、返り
どうすればこの世に
「こいつ、気持ち悪いんだよ!」
不良たちに殴られるのもこれでもう何回目なんだろう? 身体が頑丈じゃなかったら俺はとっくに死んでいる。
「今度その面見せたら、二度と歩けないようにしてやる」
やっと暴力が終わって不良たちが去った。俺はボロボロになった身体で立ち上がり、ふらつきながら歩いた。口の中から血の味がする。
「おい、お前」
いきなり
「何で泣かないんだ?」
老人が俺に向かって質問した。俺は無視しようとしたが、老人がもう一度口を開く。
「そんなに殴られて、何で泣かないのかって聞いてるんだよ」
「……泣いても誰も助けてくれないから」
「へっ、分かってるじゃないか」
老人は気持ちよさそうな
一体何なんだ、このクソみたいな
「お前、それでいいのか?」
「何言ってんだ……?」
「殴られてばかりでいいのか? やつらに仕返ししたくはないのか?」
その質問を聞いた
「いつかは……」
「ん?」
「いつかはやつらをぶっ殺す! 必ず……!」
俺の答えを聞いた老人がまた笑顔になる。しかしそれはさっきの気持ちよさそうな笑顔ではなく、冷たい
「そりゃ、ずいぶんちっぽけな復讐だな」
「……何だと?」
俺は老人を
「仮にお前がさっきのやつらをぶっ殺したところで、結果はお前が殺人犯として
「そ、それでも……」
「それでもいいのか? お前は貴族でもお金持ちでもない。殺人罪で捕まったら
老人の言葉が俺の胸に
「仮に運良く捕まらずに
「あんた、一体何が言いたいんだ……?」
「そんなちっぽけな復讐に満足するな、と言っているのだ」
老人の小さい目が……
「一人か二人を殺したところで、お前の現実は何も変わらない。百人? 二百人? それでも足りない」
「あんた……」
「お前の現実を変えるためには……この王国を
こ、この老人は一体何なんだ? みすぼらしい貧民のくせに、王国を滅ぼす……?
「そもそもお前は
「それは……」
俺の肌が赤いからだろう……。