セルヴェスは喜び勇んで腕を高くばしては、高速で縦横にマグノリアを振り回す。最後は空高く……数メートル程放り投げられて、無事キャッチされた。ぜつきようマシンのようである。

 リリーが何やら顔を青ざめさせていたが……なんともごうかいな遊び方だ。

「……父上、その『たかいたかい』は幼児にはきようですよ?」

 あきれたような声でため息をつくクロードは通常運転だ。

 これは『たかいたかい』なのか。そう、リリーとマグノリアは心の中で疑問をていすると。

「して、マグノリア。料理長とトマスに言っていた『めんえき』に『乳酸菌』、『抗酸化作用』と『抗炎症作用』……とはなんだ?」


 マグノリアはくらくらする視界に朱鷺とき色の垂れ目をまばたかせながら、何だか訳もなくおかしくて声を立てて笑った。


 そして。

 伝書鴉を見送ったトマスは、ふむ、と頷いた。

「マグノリア様……本当に不思議なお子様でしたなぁ」

 色とりどりの花々が揺れる庭に青い瞳を向けては、トマスがしみじみとつぶやく。

「素晴らしい知識と行動力でございますわねぇ。そして何より、とーーーーってもお可愛かわいらしい♡」

 侍女はトマスの言葉に頷きつつ、天使かようせいのような見目の小さな主をおもかべては夢見るように両手を合わせた。

 それを見てトマスは、おだやかに、それでいてどこかふくんだように微笑ほほえんだ。

「あれだけの知識がりならば、きっと他にも沢山のそれらをちなのでしょう。問題は山積しておりますからな……まあ、それはが領内に限ったことではありませんが」

「ウフフ♡色々と忙しくなるかもしれませんねぇ」


 アゼンダ辺境伯領もタウンハウスも。

 そして何よりセルヴェスとクロードがと思いつつ、老家令と熟年侍女は大きく頷いたのであった。