その瞬間、微かにだけど力が注がれるような、心地よい感覚を覚える。これが神様の力になるってことなのかな。まだ見習いだけど。
「ぴぴっ!」
「お、なんか元気になりましたね。……え?」
「ぴ!?」
話している途中でシュヴァルツがほんのりと光った。周りが明るいからか、かなり淡い光だけど。でも決して気のせいではない。
そして、その光はすぐにぽわっと消えてなくなった。
「──まおー!! とうさま~!!」
ぴぴぴっとシュヴァルツを連れて二人のところまで走る。
すると、すぐに気付いた魔王が私を両手ですくい上げてくれた。
「どうした」
「しゅ、シュヴァルツがてんとうむしになった!」
「ヒヨコ様、それを言うなら蛍です。いえ、蛍にはなってないんですけど」
「それ!」
「……混乱しているようだな」
落ちついた魔王が言う。
ヒヨコとしたことが、蛍とてんとう虫を間違えちゃった。魔王の言ってる通り混乱してるみたい。
「一旦落ち着け」
そっちが先決だと思ったのか、魔王がニワトリ姿の父様の背中に私を乗せた。ふわふわ羽毛にぴよっと埋もれる私。
……落ち着く。
「こらこら寝るな。なにか話があったんじゃないのか?」
「──ハッ!」
落ち着き過ぎて寝ちゃうところだった。父様の毛は魔性だね。
このままじゃリラックスし過ぎて話せないから父様の背中を下りる。
「慌ててたけど何があったの?」
「シュヴァルツがひかったの!」
「ああ、それで蛍か」
納得する父様。
「シュヴァルツは急に光ったのか? その前に何かしなかったか?」
魔王がシュヴァルツに聞く。
「ええと、ヒヨコ様の神殿にお菓子を供えたら光りました」
「ああ、そういうことか」
「なるほどねぇ」
「「?」」
魔王と父様はなにやら納得してるけど、私とシュヴァルツは揃って首を傾げる。
「どういうこと?」
「よかったねヒヨコ。シュヴァルツはヒヨコの信者になったんだよ。それも本物のね」
「ぴ?」
信者?
「心から神を崇拝する者が神殿で祈りを捧げた時は、信者として認められた証拠に淡く光るんだ。だから光ったってことはシュヴァルツはヒヨコの信者第一号になったってことだね」
「ヒヨコよかったね~」と父様が羽で私を撫でた。
魔王も穏やかな微笑みを浮かべて私を撫でる。
「おめでとうヒヨコ」
「まおーありがとう」
あ、そういえば肝心なシュヴァルツの反応を見てない。
そう思って私はシュヴァルツを見上げた。
「しゅ、シュヴァルツ……?」
シュヴァルツは目を見開いて固まっていた。
これは……どっちの反応だろう……。
こくりとツバを飲み込んでシュヴァルツの反応を待つ。
「──ぃやったあああああああああああ!!!」
「!?」
大声と共に両こぶしを天に突き上げるシュヴァルツ。
「私がヒヨコ様の信者第一号ですか!?」
「そうだね」
父様が穏やかに答える。
「ヒャッハー!!!」
「「「ひゃっはー?」」」
シュヴァルツらしからぬ奇声に三人そろって反応する。
その後、喜びが収まらないシュヴァルツは暫くの間奇行を繰り返していた。