(あれが、女神イクシュナーゼ……)
離れているので、顔立ちまではわからない。
だが、イフリートの攻撃で城が無傷でいたことを考えると、あれを作ったイクシュナーゼ本人に傷を負わせることはほぼ不可能だろうと思われた。
(目的は足止めだけど……いつまでもつかしら)
女神の体がふわりと宙に浮かんだ。そして──
(悪夢だわ!!)
女神が腕を軽く振った瞬間、城の周囲を囲うように、真っ黒な鎧の軍隊が生まれたのだ。
その数、万を超えている。
「行くぞ、イフリート!!」
鎧の軍勢にひるむどころか駆け出して行ったエドワルドに、イリスは覚悟を決めた。
「ウンディーネ、行くわよ! 相手がただの鎧なら、躊躇する必要なんてないもの!!」
兄や姉のように剣を使うことはできないけれど、ウンディーネがいればイリスだって戦えるのだ。
「お兄様たちが戦いやすいように敵軍を分断するわ!! 右斜め四十五度に、ウォーターウォール!!」
「了解!」
イリスの指示に合わせてウンディーネが魔法を展開する。
(シャーリー、こっちは意地でも何とかするから、頼んだわよ!!)