15 女神を止めるもの
「アルベール様、本当にこちらに来てよかったんですか?」
ローゼリア国の緑の塔には、シャーリー、アデル、エドワルド、リアム、そしてアルベールが集まっていた。
精霊たちも全員集合していて、当然、ゼレンシウスもいる。
今朝、シルフのテレポートでこちらにやってきたアルベールがシャーリーは心配になったけれど、彼は平然とした顔で頷いた。
「こんな大事な時に、私だけ高みの見物はできない。大丈夫だ。父上に国王の業務は一時的に代わってもらっている。父上も、世界の危機以上に優先されるものはないだろうと言っていた」
アルベールはここに来るために、父親である前王に南の大陸で起こっていることについて説明をし、国に関する全権をゆだねてきたという。もちろん、すべてを語ることはできないので断片的なものにはなるが、女神イクシュナーゼが関わっていることは伝えたそうだ。
(前ブロリア国王陛下も、さぞびっくりしたでしょうね……)
アデルも、夫であるヘンドリックに、エドワルドとリアムはローゼリア国王夫妻に、ともに同じ説明をしている。
説明を受けた彼らもひどく驚き狼狽したというが、最終的には信じたらしい。
実際、南の大陸で起こっていることは、女神が関わっていると言われても不思議に思わないほどの異常事態だからだろう。
「それで、シャーリー、作戦というのは?」
お茶を用意し、全員が席に着いたところでアデルが目の前に広げられた紙を不思議そうに見ながら訊ねてきた。
ダイニングテーブルの上には、シャーリーが物理の教科書を参考にして描いた、星の断面図がある。シャーリーがこくんと頷いて説明を開始しようとしたとき、シルフが待ったをかけた。
「待って。その前にイリスから伝言だよ」
「イリス様から?」
イリスと定期的に文通しているシャーリーが首をひねると、シルフがちょっぴりいたずらっ子の様な顔をして続けた。
「うん。じゃあイリスの言葉をそのままいうね。『シャーリー、わたくしをのけ者にするなんてずるいわ。塔の中には入れないけど、そうじゃなかったらわたくしが手伝ってもいいわよね。これでもわたくし、ゲーマーだったんだから、絶対に役に立てるはずよ。わたくしをおいていったら、一生口きいてあげないんだから!』だって」
「……へ?」
シャーリーはぱちくりと目をしばたたいた。
イリスには、今回の事情はすべて手紙に書いて説明してある。前世の記憶持ちの彼女にも助言を求めたからだ。ゆえに、今からシャーリーが語ろうとしている詳細を、すべてイリスは知っているわけだが──
「……ってことは、イリス様もついてくるってこと!?」
「みたいだね。今朝、かなりやる気満々だったから」
シャーリーは戸惑ったが、それはイリスの姉や兄であるアデルとエドワルド、リアムも一緒だった。けれど、それは一瞬のことで、王族である彼らは、勝手に「イリスも世界の危機を見過ごせないのだろう」と納得してしまった。王族である彼らは幼少期から世界の存続についてと、自己犠牲的な自分たちの役割を叩きこまれて育っているため、少し感覚がずれている気がする。
シャーリーはこめかみを押さえた。
シルフがイリスの言葉をそのまま伝えたのだとすれば、作戦からはずせばイリスが激怒するのは間違いない。
(一生口をきいてもらえないのは嫌だなぁ。……シルフは今回の作戦に欠かせないけど、万能タイプのウンディーネを預ければ大丈夫かな?)
不安は残るが、のけ者にしようとしても、イリスのことだ、シルフを使って無理やり参戦してきてもおかしくない。どうもイリスとシルフは仲がいいようなのである。
(仕方ない)
イリスの姉や兄たちが止めるつもりもないようなのだ、諦めるよりほかはないだろう。
シャーリーは頷き、改めて作戦について説明することにした。
「わかったわ。その時はイリス様もお連れしますって伝えておいてくれる?……じゃあ、今から作戦を説明しますね」
シャーリーは手書きの星の断面図をみんなに見えるように中央に置いた。
「わたしも詳しくないので、少しわかりにくい説明になるかもしれないんですが……、これは、この世界の断面図です。想像で描いたので、少し違うかもしれませんけど、ええっと、この世界の中心には、このような巨大な穴が開いています。世界の循環装置──ゼレンシウスがもともといたのは、この空洞にあたる世界の中心部なんです。ゼレンシウスにも確認したので、これは間違いはありません。地上から中心までの距離も、ゼレンシウスに確認してシルフにも確かめてもらったので大体あっています。およそ六千三百キロメートルです」
地球の半径より七十キロメートル程度小さいが、このあたりは誤差として考えることにする。さすがに星の大きさまで指パッチン魔法で変えることはできない。
「この世界が球体だというのは知っていたが、こんな風になっていたのか。面白いな」
星を見るのが好きなリアムが目を輝かせて身を乗り出した。
「しかしずいぶんと大きな空洞だ。シャーリーの図が正しいなら、この世界の三分の一はこのような空洞になっていることになる」
「はい。イクシュナーゼがここに世界を創造する前からこうだったのか、それとも創造したからこうなったのかはわかりませんけど、この星……世界は、穴だらけなんです。まるっきり空洞というわけではなくて、洞窟みたいに入り組んではいるみたいなんですが、わたしにそれほど画力がないので、わかりやすいように全部空洞で描かせてもらいました。ただ、三分の一くらい空洞なのは間違いないらしいです。そうですよね、ゼレンシウス」
「そうだね」
ゼレンシウスが頷き、面白そうな顔をして星の断面図を指さした。
「このように地下の奥深くが空洞になっているのは間違いない。だが、それがどうしたというんだ? 世界の存続や滅びに、これが何か影響するとでも?」
「はい。その通りです。実際に目で見てもらった方が早いので、……ちょっと待ってくださいね」
シャーリーは一度椅子から立ち上がり、冷蔵庫からペットボトル飲料を持ってきた。
「世界には、本来重力って呼ばれるものが存在しているんです。これがないと人も動物も生きていけないんですけど……、わかりやすく言うと、これです」
シャーリーはペットボトルを宙に掲げて、ぱっと手を離した。
当然、ペットボトルは床に向かって落下していく。
「シャーリー、わかりやすくというが、何がだ?」
エドワルドが怪訝そうな顔をした。
アデルやリアムも同様で、アルベールも床に転がったペットボトルを持ち上げて首を傾げている。
「ものを落とせば落下するのは当たり前だろう」
「その、当たり前だと思っているものが重力なんですよ。でも、おそらくですけど、この世界は、人や動物が生きていく上での重力が足りていないんです。そしてその重力の代わりをしているのが、大地を満たしている魔力だと思います。……実際にシルフにも事前に調べてもらいましたけど、滅びた旧ゼラニア国の上で同じようにペットボトルを落としてもらったところ、このように落下はしなかったみたいです。ゆっくりと、羽が落ちるみたいに、ふわふわとした落下だったって……シルフ、そうよね?」
「うん! こんな感じだよ」
シルフがアルベールからペットボトルを受け取り、魔法をかけて目の前で実演した。
シルフが落としたペットボトルは、先ほどとは比べ物にもならないくらいにゆっくりと、宙を漂うようにしながら落ちていく。
それはまるで、前世にテレビで見た、月の上を歩く宇宙飛行士のようだった。
完全に無重力ではなく、重力はあるが、おそらく月と同じくらいの重力なのだろうと予想できる動きだ。
旧ゼラニア国でシルフに実験してもらって、これを知ったことにより、シャーリーは自分の仮説に自信が持てたのだ。
「詳しくないので、細かい理由は説明できないですけど、この状態では人は生きていけないんです。つまり、この世界は、もともと人や動物、植物が生きていける環境になかったってことです。人が生きていけるように重力の代わりをしているのが魔力なんですよ」
「…………ええっと、エドワルド、わかった?」
「さっぱり」
アデルとエドワルドは、どうやら理解の外にいるらしい。
アルベールは難しい顔で顎に手を当てて、リアムがじーっと紙を凝視しながら考え込んでいる。
「シャーリーの言うところの、重力というものがなければ人が生きていけないというのは、なんとなくだがわかる気がする。だがシャーリーの説明では、単純にその重力の代わりをしているという魔力がなければ、結局、人も動物も生きていくことはできないということの再確認をしているだけではないのか?」
「シャーリーは先ほどこの空洞の話をしたが、この空洞とその重力というのは何らかの関係があるということか?」
さすがリアムとアルベールである。シャーリーのへたくそな説明にも、何とかついてきてくれているらしい。
「そうです。ここからが本題なんですが……、この世界に、人が生きていけるだけの重力を生めば、魔力は必要なくなるんですよ。そして、重力には星の……ええっと、この世界の重さが関係するんです。つまり……」
「この空洞を埋めれば、この世界の重さが増える、ということか?」
リアムがいち早く気が付いた。
アルベールも、なるほど、と頷く。
「なるほど。これだけ空洞ばかりなら、さぞこの世界は軽いのだろうな」
「おおむねその通りです。わたしは、この空洞の部分を埋めようと思います。そうすれば、きっと、必要な重力が発生するはずです」
「シャーリー、埋めると言うが、どうやって……」
「わたしには、指パッチン魔法がありますから!」
試しにぱちんと指をはじいて目の前にチョコレートの箱を出すと、誰もが合点したように頷いた。
重力の話についてこられなかったアデルとエドワルドも、シャーリーが指パッチン魔法で空洞を埋めるというのは理解できたようだ。
「確かにシャーリーのその力ならできそうだね」
「なんたって、女神イクシュナーゼと同じ力だからな!」
「はい。そして、世界に魔力が必要なくなれば、その魔力はそのままゼレンシウスが使えます。世界に残る魔力全部をゼレンシウスが使用できるようになれば、女神は満足なんですよね?」
ゼレンシウスを見やれば、彼は小さく笑って頷いた。
「面白い方法を考えるものだ。本当にそれでうまくいくなら、イクシュナーゼも満足するだろうな」
ゼレンシウスがそう言ったのだ。シャーリーの計画通りに進めば、イクシュナーゼも世界を滅ぼして創り直そうとはしなくなるはずである。
「でも、どうするつもりだ? 下手に地下で作業をしていると、イクシュナーゼに気づかれるぞ。イクシュナーゼはすでにそなたらを自分の計画を邪魔するものとして認識しているからな。この上妙な動きを見せれば、容赦はすまい」
「……ちなみに、イクシュナーゼは話し合いを持てそうな相手ですか?」
「無理だろう。そもそも神が人の話に耳を傾けると思うか?」
予想はしていたが、予想通りの回答が戻ってきてシャーリーは息を吐いた。
「じゃあやっぱり、イクシュナーゼを足止めしてもらうしかないですよね」
「足止め? シャーリー、どうするつもりだ?」
エドワルドがシャーリーが先ほど指パッチンで呼び出したチョコレートの箱を開けながら訊ねた。
シャーリーはきゅっと口を引き結ぶ。
これこそが、イリスがおいていくなとシルフに伝言させた計画だからだ。
(かなり無茶なお願いにはなるけど──)
シャーリーが思いつく方法は、これしかない。
そして、時間が経てば経つほど南の大陸に被害が出るのだから、ゆっくりと代替案を考えている暇もないのだ。
シャーリーは覚悟を決めて口を開いた。
「わたしが、シルフとノームとともに地下に行って作業をしている間……、アルベール様たちには、イクシュナーゼがわたしを追ってこないように足止めしてほしいんです」
精霊たちがついているとはいえ、相手は女神だ。
イクシュナーゼを相手にするのは、かなりの危険が伴う。
でもこれしか方法がないから、シャーリーはまっすぐに彼らを見つめた。
「お願い、できますか?」
「おつかれ、シャーリー」
話し合いが終わり、アデルはヘンドリックのもとに、エドワルドは国王のもとに報告に行くと言うので、シャーリーはアルベールとともにベランダのある部屋にやってきた。
この部屋を作ったのが、まるでずっと昔のことのように思える。
(なんだか不思議ね)
この世界に転生したのだと気づいて、アデルと出会い、アルベールと出会い……、緑の塔の秘密を知って、その理不尽さに腹が立って──そしていろいろあって、あっという間の出来事のようだったけれど、それでいてずっと以前からのことのようにも思える。
記憶を取り戻してからは三年くらいしか経っていなくて、アルベールと出会ってから二年も経っていないというのが不思議だ。
「みんな、あんなにあっさり引き受けて、本当にいいんでしょうか?」
シャーリーがイクシュナーゼの足止めを頼むと、アデルたちはこちらがびっくりするくらいあっさりと頷いた。一切悩むそぶりも見せず、当然のように。
「アデル様たちは王族で……アルベール様は国王陛下なのに」
「どのみちこの作戦がうまくいかなければ、世界がイクシュナーゼによって滅ぼされるんだ。そうなれば王族も何も関係ないし……私を含め、みんなそなたを信じているんだよ」
アルベールがそっとシャーリーの頭に手を伸ばして、優しく胸に引き寄せる。
「そなたは、私たちにたくさんのものをくれた。目に見えるもの、見えないもの、本当にたくさんのものだ。そんなそなたが、一生懸命考えてくれた計画に、私たちが反対するはずはない。たとえそれが命がけなことであっても、そなたのお願いを断ったりはしないよ」
「でも──」
ダイニングで、みんなに計画を話してお願いしたときは夢中だったけれど、今になって怖くなってきて、シャーリーはぎゅっとアルベールにしがみつく。
シャーリーには、この計画しか思いつかなかった。けれど、それはアルベールたちを、本当に危険にさらしてしまうのだ。本気になったイクシュナーゼがどれだけ強敵なのかは計り知れない。
精霊たちがついていても、彼らが無事でいる保証はどこにもないのである。
(もし……アルベール様や、みんなが、死んじゃったりしたら……)
シャーリーがこんな計画を立てたせいで、誰かが犠牲になったりしたら──、そう考えると、足が震えてくる。
もし、シャーリーが地下の空洞を埋めて戻ってきたときに、誰か一人でも欠けていたらと想像すると、それだけで身がすくみそうになる。
そんなシャーリーの不安がわかっているのか、アルベールがぽんぽんとシャーリーの頭を撫でた。
「シャーリー、そなたは優しすぎるからこそ、誰かを心配しすぎる。優しいのは美点だが、今のままでは神経をすり減らすだけだぞ。たまには相手を信じて任せておけばいいんだ」
「アルベール様……」
「不安を抱えていたら、成功するものも成功しなくなるかもしれない。ただ信じて、絶対に大丈夫だと思っていればいい」
「そう……、ですね」
「ああ。そして、全部が終わったら、改めてブロリア国王としてそなたを迎えに来るよ。──結婚しよう」
(結婚……)
その二文字に、シャーリーはゆるゆると目を見開く。
アルベールと結婚するという話は、以前からしていた。
けれどもシャーリーは緑の塔にいて、いつか出られるとは思っていたけれど、明確にはわからなくて──、結婚という言葉は、自分の中で現実味を帯びていなかったのかもしれない。
それが今、明確な区切りを帯びて、ようやく目の前に提示された。
(全部終わったら……)
この世界には緑の塔は必要なくなって、王族はもう、魔力供給という責務から解放される。
世界の滅亡とか、女神とか……、そんな重たい物事を考える必要もなくなって、シャーリーは、自分自身のことを考えてもよくなるのだ。
アルベールと結婚するということは、ブロリア国の王妃になるということで、もちろんその責務は重たいだろう。
それでも、大好きなアルベールの隣で生きていける。
「しましょう、結婚。……絶対に」
大好きな人との未来も、大切な人たちの人生も、全部守り抜いて最後に笑うのだ。
心配も不安も恐怖も全部覚悟に変えて、シャーリーは笑った。

──ゼレンシウス……大好きよ。大好きなの……。
甘く優しい、けれどもすがるようなイクシュナーゼの声を聞いた気がして、ゼレンシウスは目を開けた。
「……夢か。夢なんて、久しぶりに見たな」
地下で循環装置として存在していたときは、ずっと眠っているようなものだったけれど、夢なんて一度も見たことはなかった。
長い時をまどろんで、たまに覚醒すればイクシュナーゼと他愛ない話をする。
その、繰り返し。
「イクシュナーゼ……」
相容れない考えを持つ女神なのに、どうしてか嫌いになれない、自分の伴侶。
神は身勝手で理不尽で、そしてものすごく孤独な生き物だということを、ゼレンシウスは知っている。
数千年前に、そんな身勝手で淋しがり屋なイクシュナーゼの手を取ったことを、後悔はしていない。
ただ──
「この世界を滅ぼしたりしたら、私の数千年が、全部無駄になるじゃないか」
何のために、世界の一部として組み込まれる人生を選んだと思っているのだろうか。
淋しがり屋で身勝手なイクシュナーゼ。
彼女は一度知るべきだ。
人間は、神の前にひれ伏すだけの存在ではないことを──

「気をつけていってきてくださいね」
久しぶりに緑の塔の外に出たシャーリーは、不安をぐっと押し殺して微笑んだ。
塔の前には、アルベール、アデル、エドワルド──そして、イリスとアデルの夫ヘンドリックがいる。イリスが本当についてくるとは思わなかったが、アデルのようにシャツとズボン姿の彼女はなかなか様になっていた。
シルフとノームはシャーリーとともに地下に行くので、イリスにはウンディーネを預けてある。
アルベールがフェンリル、エドワルドがイフリートを連れていた。
アデルの説明を聞いたヘンドリックは、迷うことなく自分も行くと申し出たそうだが、さすがに現実に精霊を見るとしばらく茫然としていた。
時間をかけてようやくこれが現実なのだと理解したようだが、まだ少し目が泳いでいる。
アデルが笑いながら、「そのうち慣れるよ」と言ってヘンドリックの肩を叩いていた。
イクシュナーゼの居場所は、ゼレンシウスが知っていた。
彼女はずっと北にある島──人も動物も植物も、何も存在していない極寒の大地に居城を作っているらしい。
アルベールによると、地図上には存在しているが詳細は不明で、どのような場所であるのかは誰も知らないところだという。
「シャーリーも気をつけて。何かあればすぐに逃げるんだぞ」
「アルベール様も無茶をしたらダメですよ」
「ああ。こちらの目的はあくまで女神の足止めだからな。大丈夫だ」
アルベールはそういうが、シャーリーが地下の空洞を埋め尽くすのにどのくらいの時間がかかるかはわからない。
長引けば長引くほどみんなが危険にさらされることになるのだ。
(って、不安になったらダメよね。絶対大丈夫。アルベール様がそう言ったもの)
誰一人欠けることなく目的を達成して、アルベールと結婚するのだ。
覚悟はもう、決めている。だから、大丈夫。
ここでぐずぐずしていると、なんだか最後の別れのように思えてくるから、シャーリーは笑った。
「できるだけ早く地下を埋めてそちらに合流します。だから、しばらくの間よろしくお願いします」
みんなが頷くのを確認して、シャーリーはシルフを振り返る。
「じゃあ、お願い」
「オッケー。『外気操作』で寒さは感じなくしてあるけど、相手が女神だからね。もし凍えそうになったら、イフリートにあたり一面を火の海にしてもらうといいよ! じゃあ、いってらっしゃい!」
冗談なのか本気なのかわからないことを言って、シルフがアルベールたちをテレポートで極寒の大地に飛ばした。
目の前から全員が消えると、シャーリーはきゅっと表情を引き締める。
心配している暇はない。
シャーリーはシャーリーで、自分ができることをしなくては。
「わたしたちも行きましょう。シルフ、ノーム、お願いね!」