「私はそなたが好きだ」
どうして、言ってしまうのだろう。
好きだと言われたら、シャーリーも噓はつけない。
「わたしは……あと何年も、この緑の塔の中にいることになるかもしれないんですよ。緑の蔦の実験に失敗したら、下手をしたら何十年もここにいることになるかも……」
「何年でも待つ。実験に失敗したら次の方法を考えればいい。一緒に考えよう」
国王陛下が、何年も、何十年も待っていていいのだろうか。
どこの国も魔力持ちの確保は最重要案件で、王である以上、世継ぎと、魔力持ちを増やすために、早く結婚して子供を儲けるべきのはずだ。
それに──
「わたしは魔力持ちだから、ローゼリア国王が国外に出してくれないかもしれませんし……」
「それも私が交渉する。だから、無理な理由を並べていないで、シャーリーの気持ちを教えてくれ」
「────っ」
ここで頷けば、未来で傷つくことになるかもしれない。
でも、もう無理だった。
「…………好きです」
ぽつりと、蚊が鳴くような声でつぶやく。
アルベールが、大きく息を吸いこんだ。
「好きですよ。……信じても、いいんですか?」
「ああ……。絶対にシャーリーを迎えに来る」
ホッとしたように息を吐きながら笑って、アルベールがおずおずとシャーリーを抱きしめる。
シャーリーのふわふわした蜂蜜色の髪を何度も梳いて、耳元で繰り返しシャーリーの名前をささやくアルベールを抱きしめ返す。
緑の塔のこともリアムのことも、まだまだ片づいていない問題はたくさんあって、不安は尽きないけれど、今この瞬間だけは、アルベールの胸の中で目を閉じていたかった。