3 戦争はRPGではありません!……よね?
夜になって、アルベールとエドワルドが戻ってきた。
二人が夕食をどうするのかわからなかったが、念のため四人分の食事を作って待っていたシャーリーは、アルベールの顔色がよかったことにホッとし、そして妙に機嫌のよさそうなエドワルドに小さな警戒心を覚えた。
経験上、悪戯っ子のような顔をしたエドワルドは、ろくでもないことを考えていることが多い。
「シャーリー、腹が減った」
エドワルドがお腹を押さえて言った。
「お城で食べてこなかったんですか?」
「父上はアルベール殿下たちと晩餐を取りたがったんだが、城で出される料理は不味いから、姉上に報告を急ぐと言って逃げてきた」
いいのだろうか。アルベールだって久しぶりに会った母親と積もる話もあったはずなのに。
するとアルベールは、母からは自分がすべきことを優先するようにと言われたと言った。悠長に再会を喜んでいる状況ではないからなと、彼は苦笑した。
「それで、今後の方針について父上は?」
アデルが不安そうに訊ねる。
「姉上、それについては夕食を食べながら話しませんか?」
エドワルドは本当にお腹がすいているらしい。
シャーリーはダイニングに駆け込んで、テーブルの上に急いで夕食を並べた。四人分作っておいて正解だった。これで食べるものがないと言えば、エドワルドは相当機嫌が悪くなっただろうから。
テーブルの上にサラダを並べている間に、スープと煮込みハンバーグを火にかけて温めなおす。
ガーリックバターを塗って焼いたバゲットを並べて、温まったスープと煮込みハンバーグを並べていると、アデルがお茶を入れてくれた。
アルベールとエドワルドがハンバーグを前に嬉しそうにしている。
料理が揃うと、エドワルドが、サラダそっちのけですごい勢いでハンバーグを食べはじめた。
(……これ、足りないかなあ)
いつもならば充分な量なのだが、エドワルドは相当お腹を空かせていたようだ。緊急事態だったから、昼食も取らずに対応していたのかもしれない。そう思うと可哀そうになってきて、シャーリーは席を立つ。
エドワルドは食べながら話をすると言っていたが、腹が膨れるまで食事に夢中になっているだろう。今のうちに、手早く作れるものをもう一品用意してあげた方がいい気がした。
シャーリーは冷蔵庫を開けて、低温発酵させていたパン生地を取り出した。
(このくらいの発酵具合なら、ピザ生地に応用できそうね)
シャーリーはパン生地をガス抜きすると、円形に薄く伸ばして、一番手早く作れるマルゲリータを作ることにした。トマトソースは難しくないのでささっと作れるし、なおかつお腹にもたまるのでちょうどいい。
伸ばしたピザ生地の上にトマトソースを敷いて、バジルとチーズを散らして予熱したオーブンに入れる。
焼けるのを待っている間、食事の続きをしようとダイニングに戻れば、すでにエドワルドが何か期待したようなキラキラした目をしていた。
シャーリーがピザを焼いていると言えば嬉しそうに頷く。やはり足りなかったらしい。