21 小さいことからコツコツと

朝の配給の時間。スープと芋を受け取ると、地面に座って食べ始める。町のスープに比べるとちょっと物足りなく感じちゃうのは贅沢かな。でも、ボリュームはあるのでとても助かっている。

そういえば、朝の配給の食材は働きに出ている人が買い足していると聞いたことがある。私も働きに出たから、食材を買い足した方がいいよね。んー、何を買い足した方がいいんだろうか? こういう時は女衆に聞いてみた方がいいかな。

芋を頬張り、スープで流し込むと早速聞いてみる。

「あの、すいません」

「あぁ、なんだい。おかわり希望かい?」

「おかわりは大丈夫です。あの、食材を買い足しているって話を聞いたんですけど、私も買い足そうかなって考えてます。どんな食材をいくらぐらい買い足しているのか聞いてもいいですか?」

おかわりがあるんだ、朝の配給はすごいな。じゃなかった、話を聞かないと。

「まだ小さいのに食事のことを考えてくれて助かるよ。そうだね、買い足す食材は野菜、芋、肉だね。買い足す金額は一週間で一人千ルタくらい、みんなで出し合っているよ」

「じゃ、私も千ルタくらいの食材を買って食料庫に入れておけばいいんですね」

「いや、リルちゃんの場合はその半額くらいでいいよ。食べる量が大人と同じじゃないしね、子供に同じ料金を支払わせるのは心苦しいよ」

一週間で五百ルタだったら無理なく続けられそう。何を買おうっかな、お店に行くの楽しみだな。あ、でもお店の場所知らないな。んーどうしよう、カルーに聞いてみよう。

それからいつもの後片付けをして、町へと向かった。

今日も朝早くに来ているからか冒険者ギルドの賑わいは落ち着いている。どれくらいの時間になったら、冒険者ギルドは混むのかな?

とりあえず、列に並んで自分の順番を待つ。前に並んでいるのは三人くらいだから早く終わりそう。そういえば、大人の人ってどこで働いているのかな。そのうち、仕事が増えていくのかな。

「次の方どうぞ」

「……はいっ」

いけない呼ばれちゃった。駆け足でカウンターに近寄る。

「冒険者証です」

「お預かりします……Fランクですね。リル様が受けられるクエストは庭の草むしりと害虫駆除、四千ルタ。馬車の洗車、四千ルタ。第一区画のゴミ回収、六千ルタ。以上となりますが、ご希望はありますか?」

「ゴミの回収でお願いします」

「はい、承りました。それではあちらの札の下に待機していてください。後ほど、担当者が参ります」

前回と同じような案内をされた。お辞儀をしてから札の下に行くと、見知った姿を見かける。カルーだ。

「カルー、おはようございます」

「ん、あぁリルおはよう。今日も一緒だね」

「はい、よろしくお願いします」

にっこりと笑うとにっこりと笑顔を返してくれる。ふふふ、なんだか嬉しいな。

「そういえば、昨日は早く着いたお陰か穴の掃除のクエストを受けられました」

「え、そうなの? いいなー、でも早い者勝ちだから仕方ないよね」

そんなにあのクエストって人気あるんだ。やっぱり、拾った硬貨を自分のものにできるからかな。まぁ、悪い気はするけど拾えると嬉しかったからな。

「で、いくら拾えたの?」

「え、えっと……四百三十二ルタほど」

「えぇ~! そんなに拾えたのね、私もそんなに拾ってみたいわ」

すごく驚かれて、こっちが驚いちゃった。そっか、結構拾えた方なんだ……毎回小銀貨が四枚も落ちているはずないもんね。あんな幸運きっと一回きりだよ、っていうか私の運が減っちゃったりしないか心配だ。

あ、そうだ。カルーに聞きたいことがあったんだ。

「ねぇ、カルー。教えてほしいことがあるんですが」

「ん、なに?」

「野菜とか買える場所を教えてほしいのですが」

「あー、あるよ。仕事が終わったらご飯食べにいくついでにその場所まで連れてってあげるよ」

良かった場所を知っているみたいで。カルーと知り合えて本当に良かったな、一人で黙々と仕事するよりも誰かと一緒だと楽しくなっちゃう。他愛もない話をするだけで元気になっちゃうから不思議だよね。

「待たせたな、ゴミ回収に行くぞー」

話に夢中になっていて、役人の担当者が来たのに気づかなかった。担当者が先導するとその後をクエスト受注者がついていく。私も遅れないようについていかないと。

「カルー、今日も頑張りましょう」

「もちろん、一緒に頑張ろうね」

一人で何かをするよりも誰かと何かをしたほうがとても楽しい。さて、今日のゴミ回収も頑張ろう!

「すいません、四千ルタ預かりをしてもらってもいいですか」

「はい、少々お待ちください」

ゴミ回収の仕事が終わった。今日も色んな人に話しかけられながらゴミの回収をしていたから、カルーより遅かったな。今度はカルーよりも早く終わらせられるように頑張らないと。

そうこうしている間に受付のお姉さんから冒険者証が返ってきた、これで一万二千ルタ貯金できたね。えへへ、お金が貯まっていくのも楽しいな。

私はカウンターを離れて出入口で待っているカルーのところまでやってきた。

「じゃ、行こうか。先に野菜を売っている商店に連れてってあげるわね」

「はい、お願いします」

カルーが先頭で私が後をついていく。冒険者ギルドの外へ出ると、昼過ぎの活気のある風景が広がっていた。人通りが活発な中をカルーと二人でおしゃべりしながら歩いていく。

しばらく歩いていくと、商店が立ち並ぶ通りにやって来た。

「えっとね、ここだったらいいんじゃないかな」

手を引っ張られてついていくと、一つの商店に辿り着いた。そこには様々な野菜が並んでいて、どれも新鮮そうに見える。黙って見ていると、女性から声がかかった。

「へい、らっしゃい」

「ほら、リル」

「は、はい。あの五百ルタ分の野菜を買いたいんですが」

「いいよ、どれがいいんだい?」

おどおどしながら前に出ると、女性は笑顔で接客してくれている。ふー、焦らないでどれがいいか決めないとね。ここで一番値段が安いものはどれかな。

「あの、ここで一番安い野菜ってなんですか」

「安い野菜ねぇ……そうだ、そろそろ見切りをつけないといけない野菜があってね、それなら安くできるけどどうだい?」

見切り品、それだったら量を買えるから良さそうだね。早めに使ってもらえれば、普通の野菜と変わらないで食べられるはずだよ。

「じゃ、それを五百ルタ分ください」

「はいよ。あ、そうそう。野菜を入れる袋って持っているかい?」

「あ、しまった……持ってないです。あの買っても良いですか?」

「もちろんだとも。一袋百ルタだけどいいかい」

「はい、大丈夫です。では、全部で六百ルタ支払います」

六百ルタを渡すと、女性は店の奥へと消えていった。しばらく待っていると、野菜の詰まった麻袋を持ってきた。結構入っているように見える、やったね。

「はいよ、おまち。ニンジンと芋が入っているよ」

「ありがとうございます」

「またごひいきに!」

えへへ、買い物できちゃった。袋を担いでお店を離れる。

「沢山買えてよかったね」

「はい。カルーのお陰です、ありがとうございます」

「ふふふ、いいのよ。さて、今日もご飯食べにいこうか」

「行きましょう」

今日はカルーの行きつけのお店でご飯。昨日違った店に行ったら七百ルタも取られてしまったので、カルーの行きつけのお店が安くて美味しいのが分かった。オススメなだけはあるね。今日も一日、お疲れ様。