17 冒険者ギルド

初めての町の中はとても興奮した。並んだ家屋、朝早くに忙しく行き交う人々、馬が引く荷馬車。今までいた集落とは違う光景を見て、ワクワクが止まらない。

難民たちが列になって歩いているのに、好奇な目は向けられなかった。早いうちから外に出ている人が少ないのもあるが、難民に向ける厳しい目がなくて安心する。

そのまま進んでいくと、大きな建物が見えてきた。それは三階建ての建物で他の家屋とは比べ物にならないくらいに大きい。その中に一部の難民たちが入って行く。

「お姉さん、これが冒険者ギルドですか?」

「えぇ、そうよ。大勢の人が行き来する建物だから、こんなに大きいのよ」

「なんか、ちょっと入るの躊躇しちゃいますね」

「ふふっ、そんなのはじめだけよ。慣れてくるわ」

こんな大きな建物に入り慣れるとか、本当かな。変に緊張してきちゃった。

お姉さんが先に建物に入り、私は追うように後についていく。中に入ると、目の前には大きなホールが見えた。その隣には同じくらい大きなホールにテーブルやイスが並べられた場所があり、少ないながらも冒険者らしき人たちが座っている。

ホールの奥は長いカウンターが並んでおり、そのまた奥にはギルドの受付の人が十人程度並んで座っていた。

「あの、私はどこに並べばいいんでしょうか」

「リルちゃんはこの行列の隣にいる人のところに行けばいいわよ」

「えっと、誰も並んでないんですけど……いいんですか」

「いいの、いいの。あそこは冒険者登録専用の場所だからね。リルちゃんが行くべき場所よ」

行列のある中で行列じゃないところへ並ぶのは、ちょっと勇気がいる。本当にここに並んでいいのか不安になってしまうからだ。お姉さんは背中を押してくれるけど、中々足が進まない。

「詳しい話は私じゃなくて、あの人がなんでも話してくれるから大丈夫よ。しかも、そのまま仕事の斡旋もしてくれるから安心してね」

「……はい、分かりました。私、行ってきます」

「そうそう、その調子よ。私は新しい仕事を取らないといけないから、この行列に並ぶわ。頑張ってね」

「お姉さんも頑張ってください」

覚悟を決めて歩き出すと、お姉さんが優しい言葉でまた背中を押してくれた。私は行列の横を歩き、受付のカウンターまでやってくる。すると、目の前の受付のお姉さんが柔らかく笑ってくれた。

「冒険者ギルドへようこそ。こちらは新規の冒険者登録の場所ですがお間違いないですか」

「はい。冒険者登録に来ました。よろしくお願いします」

「はい、お任せください。どうぞ、イスにお掛けください」

言われるままイスに腰掛けると、受付のお姉さんは話を続ける。

「冒険者について説明させていただきます。冒険者はランクによって受けられる仕事が違います。高い順からS、A、B、C、D、E、Fと七段階にランク分けされております。請け負った仕事をこなしていくとランクが上がるシステムになっています。初めての方はFランクからになりますね」

なるほど、市民権を貰えるBランクには四段階のランクアップが必要なんだね。

「またギルド員の推薦があれば一つ上のランクの仕事を請け負うこともできますので、その時はご相談ください。次は規則や仕事を請け負った際の注意点になります」

受付のお姉さんは丁寧に規則の話をしてくれた。その規則は他の冒険者たちへ危害を加える行為は禁止する、と言ったもの。あとは普通の生活態度で過ごしているのであれば問題のない話ばかりだった。

「では、次に冒険者登録をします。登録手数料の一万ルタを出してください」

「はい」

硬貨袋を取り出して、中から様々な硬貨を出していく。うぅ、こんなに一杯の硬貨を出して迷惑じゃないかな。

「すいません、硬貨が一杯で」

「大丈夫ですよ。えーっと……うん、一万ルタ丁度お預かりしますね。ちゃんと計算できるのはすごいことですよ」

「ありがとうございます」

お姉さんの笑顔は崩れることなく、しっかりと数えられた後に褒められてしまった。良かった、難民の子供だから可笑しいとは思われていないみたいだね。だったら、計算できるのが私の武器になるのかな。

「では、こちらの水晶に手をかざしてください。これは鑑定の水晶と言って、手をかざした人の情報を映す特別な物となります」

「へー」

「手をかざして、情報を受け取り、その情報を基に冒険者登録をしていきますね。ここで抜き取った情報はギルド本部にあります大水晶の中に記憶されて、どこのギルドでも情報が見られたり管理できたりします」

ファンタジーなのかSFなのか分からない超技術ってことなのかな。おそるおそる水晶に手をかざしてみると、ボヤーと薄く光り出す。しばらくすると光が収まり、代わりに水晶の中に文字が浮かびだした。どうしよう、全然読めない。