こうして、私はおばあさんと笑って別れた。そうだ、私の目標はまだまだ遠いんだから、ここで立ち止まってなんかいられないよね。
貯まったお金を握り締めて、一度集落へと戻っていった。明日は町の中に行くよ。
◇
翌日の朝、私は久しぶりに朝の配給に並んだ。昨日のうちに水浴びを済ませて、町へ行くために身ぎれいにした。服はちょっとボロなのはどうにもできないのが悲しいけど。
ガヤガヤと賑やかな中で具沢山のスープを食べる。その時、声をかけられた。
「あら、リルちゃんじゃない。珍しいわね、朝の配給に並ぶの」
「あ、お姉さん。実はお金が貯まったので、今日から町に行くんです」
振り向くと色々と教えてくれたお姉さんがいた。正直に話すと、お姉さんは少し驚いたような顔をする。
「そうだったの、おめでとう。水くさいわね、貯まったら言ってほしかったわ。一緒にギルドに行きましょう」
「いいんですか、ありがとうございます。一人じゃちょっと心細かったんです」
「そうでしょ。頼ってくれてもいいのよ、ここにいるみんなもそうだったんだから。もちろん、私もね」
お姉さんはどこまでも優しかった。私はその言葉に甘えることにして、一緒にギルドに行くことにした。
一緒に食事をとって、みんなと一緒に後片付けをする。私は今日から町に行くことになると話すと、みんなが温かく迎え入れてくれた。困ったことがあったら相談してほしい、とも言われて嬉しくなった。私もこの一員になるんだと思ったら、やる気が溢れてくる。
そうして、私たちは町へと移動を始めた。町までは一時間、おしゃべりをしながら歩くのはとても楽しい。初めての町だから浮かれているのかもしれないけど、足取りはとても軽かった。
あっという間に町の門まで辿り着く。私は初めて門の前に並び、順番を待つ。手には今まで貯めたお金を持って、その時を待った。
「次の人」
「はい」
ようやく、私の番が来た。おそるおそる前に出ると、鎧を着た門番が話しかけてくる。
「証の確認か通行料二千ルタだ」
「通行料でお願いします」
私は硬貨袋から銀貨二枚を取り出して差し出した。すると、門番が少し驚いた顔をした後に銀貨を受け取る。
「そうか、君は今日が初めてか」
「は、はい。これからよろしくお願いします」
「こちらこそ。ようこそホルトの町へ」
そう言った門番はにこりと笑ってくれた。難民なのに差別なく受け入れてくれて、この町は良い町だなっと思う。町だけじゃない、あのおばあさんも、役人さんも、領主さまもだ。難民のことを考えてくれて、手を差し伸べてくれる。
私は門番に深々とお辞儀をして、門の中に入って行く。上を見ながら入って行くと、奥の方に町並みが見えてきた。この世界で初めて見る立ち並んだ家屋が見えて、胸が高鳴る。
私、ようやく町の中に入れるんだ。そして、これから冒険者になるんだね!