このままワインでも片手にくるくる回しながら、小一時間は眺めていたい……。

 え? 見てるだけなのかって?

 何を言っているんだねチミィ! この芸術品に触るだなんてトンでもない!

 これは触れずに眺めているべき芸術品のたぐいである!

 ――嗚呼、でも、確かに俺だって触ってみたいとは思うのだ。

 エロスとは禁忌の侵害とも言うそうだ。綺麗なものを穢したいという欲望が、こう、フツフツと湧かなくなくなくもないのである。

 と、

「デ、デズモンドさまぁ……、もうすでに十秒経ったのではありませんの?」

「はい、私たちを食い入るように見詰められ、もうすでに一分は過ぎております」

 なん……、だ、と……?

 まだ一分しか経っていないだと? どうやら二人の美女の下着に目覚めた俺の極限の集中力は、走馬灯じみた時間の凝縮を行ってしまっていたらしいのだ。もう一時間くらいは眺めていたような密度だった!

「でももうちょっと、もっと見てたい。それにシャーロット、一分経つまで声を上げなかった君も同じ気持ちなのではないかな?」

「や、やぁあ……、そんなことはぁ……、デズモンドさまぁ、意地悪ですわぁ……」

 そんな発情したような貌と声で言われても説得力ないなー。それに意地悪なのは君の方じゃないのかな? 俺、おち×ちんガチガチになっちゃってるんだけど? って、

「あ、シャーロット、君、濡れてないか?」

「ひぃあああッ!」

 バッ!

 と、シャーロットはスカートを下ろしてしまったではないか。

「お、お終いです。お終いですわ、デズモンドさま」真っ赤な貌でワタワタする彼女が愛おし過ぎた。

 ――しかし、

 終わってしまった……。まるで夏の最後の花火のような、しんみりとした寂寞と寂寥感が、俺の胸の裡へと押し寄せてきたのである。

 これが、侘びであり、寂び――……、

 俺は今の余韻を味わうようにして眼を閉じた。恐らく口元にはまるで悟ったかのような笑みを浮かべ、諸行無常、この世の儚さを噛み締めた……。

「旦那さま、そのように寂しそうなお顔をされないでくださいませ」

 と、一流メイドのフォローが。

「何せ、また夜は訪れるのですから」

 俺はハッとして眼を開けた。するとそこにはまだスカートをたくし上げたままのキャスリンの姿が映り込んだ。

「………………キャスリンも、もう下ろしてもいいぞ」

「はい、それでは失礼いたします」

 なんでスカートを下ろすのまで優雅なんだろうな。お嬢さまなのはシャーロットの方なのに。

 そして先ほどの彼女の言葉、

『また夜は訪れるのですから』

 それは、また今日も奧さまと致されるのでしょう? プレイの続きは寝室でどうぞ。

 という意味だ。

 ――うむ、苦しゅうない。

 その奧さまの方を見れば、顔を赤らめたまま俯いておられた。

 誘ってんのか? 誘ってんだろオイ!

「では、お仕置きは終わりましたので、奧さまはこちらへ」

「はい……」

 消え入りそうな声の奧さまを、一流メイドのキャスリンがお手を取ってソファーへと導いていかれた。それはそこはかとない百合の香を薫らせるものでもあって、

 ――素敵だ。

 くっ、何から何まで完璧じゃないか。

「しかし、君は感じなかったのか?」

 ふと思い立ち、俺は台無しになるようなことを尋ねてしまう。するとキャスリンは、ブラウンの細めの眼をこちらへ向けて、うなずいた。

「奇妙な感覚はありましたが、別段意識するほどのものでは」

「ふぅん、そうか……」

 ってことは、エロスの存在しないこの世界の住人には、やっぱり実際の行為をしないと羞恥心、乃至ないしは性欲を抱くようにならないってことか?

 このメイドがそちらに目覚める姿は是非是非見たいところではあったが、俺は、シャーロットが許可してくれない限りは手を出すつもりはない。

 そもそも俺はシャーロットがいれば、それで十分だ――と、改めて自分のスタンスを確認するのである。

 だが、仕事終わりにたいへんなご褒美だった。

 俺が二人のおパンツの余韻を愉しんでいると、

「しかし、デズモンド様は流石ですの。お仕事がお早いですわ」

 と、妻がねぎらいの言葉をかけてくれる。

 おお、これはなかなかイイ気分だぞ。だったらご褒美として、スカートたくし上げの上にさっきの続きを――、と意気込んだところに、

「奥さま、以前とは言っていることがだいぶ違うのですね」

 有能メイドのストップがかかる。

「どういうことだ? キャスリン」

 俺は抑えきれない期待を籠めて一流メイドに尋ねた。

 彼女の主人は俺ではなくシャーロットだ。しかし、この一流メイドは、奧さまがお悦びになるパスを放ってくれる。敵の敵は味方――ではなく、味方の味方は味方という、上手いことを言えていないのは置いておいて、キャスリンと俺の利害は一致しているのだった。

「いえ、」

 僭越ながら、とばかりにキャスリンは優雅に、慇懃に、奧さまへのパスを投げかけようとして、ついでに、伸びかけた領主さまの鼻を、

 ――ボキリ、とへし折った。

「奧さまは以前、デズモンドはする必要のない仕事をして、貴族の仕事をしない言い訳にしていると仰っていました。

 政務官に任せておけばよい仕事に、必要もないのに手を出し、本来ならば貴族たる者が行うべき仕事、他の貴族の方々との書簡のやり取り、社交の場で交渉事、そうしたものを行わず、その上視察と称して必要のない下々の者と交流を持つ。わたくしは子が産めなくとも、貴族でもない男のもとに嫁がされるとは思ってはおりませんでしたわ。わたくしはこの屋敷の門を潜るとき、いっさいの望みを捨てなくてはならなかったのですわね、と。

 私がデズモンドさまの日常のご様子をお伝えしたところ、そのように」

「「……………………」」

 チラリ、

 と奧さまを見た。

 っ、

 と、眼を逸らされた。

 ――コフッ(吐血)!

「そうか、シャーロットは以前、私のことをそのように……」

 そう思われていても仕方のないことではあったけれど、実際に教えられると凹むものがあるな……、まさかうちの門を地獄の門だと思われていたとは……。しかも今、キャスリンは伝聞形にかこつけて俺のことを呼び捨てにしたな? まあここには俺たちしかいないから、別にいいけれども(いや、よくないか?)。

 これはあれか?

 続けて奧さまに罰を与えろと。話した内容といい、そうとしか思えない極上のパスだ。仕方がないな。器の大きい旦那さまはメイドの意図を汲んでやらないと。

 と、その、メイドから旦那さまへと差し出された奧さまは顔を真っ赤にしてわたわたと慌てられていた。

 ――ウン、可愛い可愛い。

 これではたっぷりネッチリとお仕置きしたくなってしまうではないか。

「た、確かに、そのようなことを言ったことはありましたが、い、今は思ってはおりませんわっ。デズモンドさまの行いは貴族らしからぬものではありますが、ですが……、そのおかげで……(ゴニョゴニョ)」

「なんだ? ハッキリ言ってくれなければわからないではないか」

「うぅう……、わ、わかっていらっしゃるクセにぃ……、デズモンドさまは意地悪ですの」

 そんなことを言われたらもっと意地悪になるしかないじゃないか。

 可愛らしい我が嫁は、頬を初々しいリンゴのように染めながら、ちょっと口を尖らせて、

「デズモンドさまが普通ではなかったおかげで、わ、わたくしは、このように……、可愛がられ、愛されて……うぅう……、し、幸せですわよ、デズモンドさま」

 コフッ(吐糖)!

 さげすんでもなびいても破壊力があるとは、流石は我が嫁だ。

「ですから、デズモンドさまは今まで通りに、煩わしい貴族の社交界に出る必要もありませんし、あなたさまが為したいことを為されれば良いのですわ。そ、その……、わたくしを愛してさえいてくだされれば……」

 うん、愛する。メッチャ愛する。

 ってかシャーロット、

 ――魔性だ……。

 それでは愛するしかないし、それに、このキャスリン、啼かせるのは良くても、もしも俺がシャーロットを泣かせるようなことがあれば、一瞬で懐に入ってきて、こう、あばら骨の隙間からあいくちを挿し込んでくるような気すらするのである。だって、シャーロットの寝室の鍵をもらいに行ったとき、『奥様を玩べば、私が許しません』って、言ってたもんな。

 ――ぶるるっ!

 しかし、シャーロットの煩わしいという言葉にはなかなかに実感がこもっていた。俺は今でこそ男爵という地位があるが、元々はしがない新興貴族の三男だ。ワザワザ社交界に出るまでもない立場だった。だからシャーロット以外の、貴族の御令嬢たちに会ったことはなかったし、してや、噂のシャーロットの前夫にも会ったことはないのである。

 そして今も社交界は拒否ブッチ

 いいもん! 貴族はシャーロットがいれば! マジで! 貴族社会なんて権謀術数渦巻くドロドロとした社交界、出ないで済むのならそれに越したことはないのである。

 俺なんて馬鹿にされるに決まってるしな!

 さて、と、俺はおもむろに執務机から席を立つと、呑気に大きなお尻をソファーに沈めているシャーロットの横に座るのである。

「ふふ、デズモンドさまぁ……」

 すぐにすりすりと身を寄せてきてくれる彼女が愛おしい。

 しかし、だ。

 いくら愛おしくとも、ケジメはつけなくてはならないのである。

 その俺の意図を汲んだのであろう、一流メイドのキャスリンは、

「旦那さまのお茶を用意してまいります」

「ああ、頼む。――だが、急がなくていいぞ

「承知いたしております」

 シャーロット専属のメイドは慇懃に、優雅な所作で頭を下げた。赤みがかった髪に乗るホワイトブリムは、まさしく一流の証であった。細めのブラウンの瞳と目配せをし合い、彼女が扉をしずかに閉めれば、俺はさっそくとばかりにシャーロットの肩へと手を伸ばす。かつての言葉でも罪は罪だ。たっぷりとそのいやらしい肉体に折檻おしおきをしてやることにしようではないか――。

 ――ぐふふ。

 と、内心で気持ちの悪い笑みが止まらないのである。


     4


 二人の部屋を出ると、音もなく、滑るように、なめらかにメイドがデズモンド邸の廊下を行く。

 それはかくりよを行くような歩みであった。赤みがかったアップにされた髪、まるで王冠のように乗ったホワイトブリムに、細く形の整った目、スッと鼻筋の通った涼やかな美貌。シャーロット専属のメイドであるキャスリンだ。

 その向こうから、同様以上の歩みでもう一人。彼女はその相手へと、微かにだけ更に眼を細める。

「これはキャスリン殿。奧さまはごいっしょではないのですかな?」

 渋く落ち着いた声音はまるで熟成されたスコッチのようで、撫でつけられたロマンスグレーの髪に、ふさふさとした眉、口髭。温厚で柔和そうな、皺の刻まれた顔はこうこうそのものであり、燕尾服じみた執事服に身を包んでいれば、デズモンドが元いた世界であれば、彼から「お嬢さま」もしくは「奧さま」と呼ばれるためならば、どれだけお金を積んでもお店に通うと言うお嬢さま、元お嬢さま方は続出であったろう。

「ランドルフさま」

 ランドルフ・スタイナー。デズモンドの生家であるダムウィード子爵家より、デズモンドがこのアルドラ領に封じられた際に伴ってきた執事長であり、そして、護衛兼、監視役でもあった。

 旦那さまはご自身の生家からも、

『あいつ何かしでかさないだろうな』

 と、問題児扱いされているのではあった。

 しかし、デズモンド直属の執事長という役職でありつつも、ランドルフ自身、騎士号を持つ準貴族である。テラス伯爵家次女の家よりやって来た、シャーロット専属メイドといえども、彼のことはさま付けで呼ばなくてはならない。それを、ランドルフの方からは決して強要しないのではあったが。

「はい、奧さまは旦那さまと共におられます。おそらく今は取り込み中だと思われますので、火急の用でなければお時間を置かれた方が善いと、私は愚考いたします」

「ふむ」

 と老爺はフサフサの眉を上げた。その下から覗くのは幾年もの歳月、丁寧に磨き上げられた鉛のような灰色の瞳だ。一種の神秘的な光すら湛えて、鈍く、静かに光を吸う。

 キャスリンは平静を装い、自身の反応から何か読み取られないようにと、内心、短剣を取り上げるような心持ちで身構えた。

 ただし、この『灰色の猟犬』と呼ばれて怖れられた歴戦のナイトにとっては、自分は赤子のようなもの。意図は筒抜けである可能性は十分に考えられたが。

 と、彼は、

「旦那さまは何を考えておられるのでしょうな。それとも、考えられてはおられないのでしょうか」

「旦那さまのお考えが私にわかるはずもありません。奧さまもそうと聞いております」

「ふむ、そうですか。とすると、旦那さまはまた不思議なことを思いつかれたのでしょうなぁ。あの方は子供の頃より変わったことをされるお方でした。そのおかげで私も、こんなところについて来ることになってしまいました。まあ、この老骨にとっては長閑のどかな田舎街、余生を過ごす場としてこれほどに相応しい場所もありますまい」

 柔和な微笑みを浮かべる彼は孫についてきた祖父のようで、その様子だけを見れば微笑ましいことこの上ない。しかし、

 キャスリンは思う。

 ――何をおっしゃっているのでしょうか。老骨、余生を過ごす? あなたさまはまだまだ現役ではないですか。

 穏やかな老爺と見えても、廊下の向こうからやってきた足運び、今こうして対峙しているたたずまい、何処をとっても隙らしきものは見当たらない。これではもしも隙を見つけたとしても、それが本当の隙であるものか。ワザと見せた罠であるとしか思えない。

 それに――、今の問答。同じ屋敷に勤めてはおれど主人の違う使用人同士、自分たちの主人に対するたわいのない会話に見えて、幾重にも張り巡らされた裏があった。

 二日前よりデズモンドがシャーロットの寝室に入るようになったことを、この老爺が知らないわけもない。いくら男女の情交がない世界のこととはいえ、だからこそ、その目的が種付けであることは推して知るべし。

 ――しかし、それならば何故?

 とランドルフは思っていた。子を産めないはずのシャーロットに、どうして八年も経って今頃種付けをはじめた? そして通常の種付けであればローションを使い挿入して射精して終わりだ。泊まることもおかしいのに今朝は寝坊までして来た。

 それをこのメイドは、今朝、旦那さまと奥さまは語らいに熱中していてまだ起きては来られない、などと、見え透いた誤魔化しを言った。ランドルフは、もしやシャーロット、或いはテラス伯爵家が、デズモンドに何かを仕掛けたのではないかと思った。

 いくらデズモンドに嫁いで来てはいても、その夫婦間の溝は深く、況してや朝まで寝床を共にするなど、そのような言葉は信じられない。しかし、老兵の卓越した観察眼はキャスリンに嘘がないことを見抜き、そして、少なくともデズモンドは害されていないだろうことまでをも見抜いていた。どのような感覚がその判断を可能にするのか、それは彼と同じ次元にいる者にしか分からないであろう事柄だ。

 デズモンドに害があったわけでもないのに、テラス伯爵家次女の寝室に有無を言わさずに踏み込めば、下手をすると家同士の問題にまで発展する可能性すらあった。

 様子見を選んで正解であった。その後旦那さまと奧さまは遅い朝食に現れ、一般の者が見てはわからない様子であろうとも、ランドルフの観察眼にはとても仲睦まじく見えていた。

 だが、ランドルフはそれと知られぬようにデズモンドが洗脳されていないか、乃至はその他魔法をかけられていないかを【解析スキャン】していたのだ。

 すると、

 デズモンドにシャーロットの魔力が混じっているのが感じられたではないか。しかし魔法効果、状態異常の類は見受けられない。それどころかむしろ、状態は良さそうですらあった。

 いったい何が……。そこで躊躇いはしたものの、気づかれない深度、やり方で、シャーロットにも軽く【解析スキャン】をかけた。鍛え抜かれた老兵の技量をもってすれば、いくらシャーロットがふるい貴族の令嬢であり、魔法技能に卓越しているとはいえ、平和な籠の中で生き続けてきた彼女には気づきようもなく、そしてそれはキャスリンをも出し抜いていたのである。

 その結果を、小さな汗一粒だけで収められたのは、流石はランドルフであった。

 ――こちらにはかなりデズモンドさまの魔力が混じっておられる……? しかもこの様子、魔力がお二人の間を行き来している……?

 いったい何をすればこのような現象が起こるのか。それはナニであるのだが、流石のランドルフであろうとも何がナニであることには気が付くはずもない。

 老練の騎士は思考した。これは何か。そして分からないのであれば、何のためにそうなっているのか。目的を探る。それがデズモンドの考えであるのか、或いは――、

 まず確かなことは、これにシャーロットもキャスリンも同意しているということだ。

 デズモンド程度の魔法技能では、二人を洗脳する、気づかれずにことを為そうにも無理であることを知っている。デズモンドに対する信頼は絶大である。それならば薬や魔道具なども考えられるが、――そもそも彼はそのような男ではないのである。その逆も……、先ほどの【解析スキャン】ではデズモンドにはシャーロットの魔力が混ざっていること以外おかしな点は見受けられなかった。洗脳も、そして毒物、魔道具の類も使われてはいなかった。念のため、

解呪アンカース】、【解毒アンチドート】、【浄化ピュリフィケーション】、【回復キュア】……。

 とデズモンドにかけてみたものの、変化も手応えも気づく様子もなし。貴族の男子たる者それでいいのか、とポカリとやりたくはなったがそれは堪えた。尤も、彼が反応するまでもないことであるのは認めるが。しかし、それはシャーロットやキャスリンに対しても言えたこと。ならば次に考えることは?

 ここで確認しなければならない事項は二つ。

 これがデズモンドが主導していることならば彼の意図はなんなのか。そしてその内容に対して、シャーロット、或いはその上、テラス伯爵家が噛んでいるのかどうか。

 それが、

『旦那さまは、何を考えておられるのでしょうな。それとも、考えられてはおられないのでしょうか』

 という問いであった。それに対して、

『旦那さまのお考えが、私にわかるはずもありません。奧さまもそうと聞いております

 がキャスリンのこたえ。キャスリンは老練の執事長の問いの真意を正確に見抜き、デズモンドの子作り以上の意図は分からず、またそれに対してシャーロットも分からない。だからこそテラス伯爵家も絡んではいない。そう答えたのであった。もしもそれを見抜けず、ただの使用人同士の世間話として、

『わかりません。私には何とも』

 とでも答えていれば、

 ――この小娘はこの程度か、それならばその主人もたかが知れたもの。

 と思われていたには違いない。随伴メイドとして選ばれた自分の応答で、主人をあなどられてしまうなど決してあってはならないこと、それどころか、その程度で済めば良いが、

 ――シャーロットないし、テラス伯爵家は何かよからぬことを考えている。これは調べなくてはなるまい。状況によってはシャーロット及びキャスリンに直接訊く必要も……。

 などとなっては眼も当てられない。老執事ランドルフ、『灰色の猟犬』を敵に回せば、テラス伯爵家へ助勢を頼むこともできず、そして知られさえしないうちに処理されることも、最悪、あり得ないことではないのであった。

 だからこそこれはデズモンドのヤらかしたことであって、シャーロットも、テラス伯爵家も関与してはいない。と、暗に示したのだ。それに対してランドルフは、

『ふむ、そうですか。とすると、旦那さまはまた不思議なことを思いつかれたのでしょうなぁ。あの方は子供の頃より変わったことをされるお方でした。そのおかげで私も、こんなところについて来ることになってしまいました。まあ、この老骨にとっては長閑な田舎街、余生を過ごす場としてこれほどに相応しい場所もありますまい』

 と、孫の成長を歓ぶ好々爺のていで、キャスリンの応えを裏の意味まで了解した。この理由で信じよう。と、言っていた。まさかデズモンドの屋敷で、真っ当な大貴族も真っ青な、裏をたっぷり含んだ言葉の応酬が行われるとは――。

 そしてこの台詞の極めつけの彼の裏の意味。それが怖ろしい。

 ――私は彼のお目付け役。そして、ここは田舎でありテラス伯爵家の影響もすぐには及びませぬ。更には、私にはここを最期の地とする覚悟までありますぞ。

 ――さて、汝の選択は如何に?

「なんでも、性愛術と云うそうです」

 とキャスリンは口を割っていた。

 うぉおおおいっ!? キャスリンっ!?

 と、もしもデズモンドがいればあわてただろう。

 しかし、キャスリンがあっさりとったのも仕方のないことではあったのだ。もしもランドルフが独自に調べだし、自分の主人であるシャーロットの、あのあられもない姿を見られてしまっては眼も当てられぬ。キャスリンは性欲を抱いてはいなくとも、あれが見られて恥ずかしいものであるということだけは、シャーロットの様子から理解していたのである。

「それを使えば奧さまを孕ませられるかも知れないと。確実ではないそうですが、試してみることを奧さまもご了承されました」

「ほう。性愛術……」

 灰色の老爺の瞳には単純な好奇心があった。愉しげな彼の瞳には、無邪気な子供であればぺらぺらと語りたくなってしまうような、そんな雰囲気だ。これは本当に面白がっている気がしないでもなかったが、鵜呑みにするのは愚策である。キャスリンは釣られない。

「それが一晩、乃至はそれ以上かかると」

「はい、そのようです」

 ――ふむ、キャスリン殿は、嘘は言っておられない様子。

 と灰色の瞳は思考する。

 ――性愛術……、確かにデズモンドさまは以前からシャーロットさまを案じてはおられた……。もしも奧さまが孕むこととなれば、テラス伯爵家は黙ってはおられまいし、ダムウィード家も心中穏やかではいられなくなる……。それがどこまで信憑性がある術かは不明ではありますが、デズモンドさまのことですから……。

 ――まったく、坊ちゃまは相変わらずですなぁ。ほっほ。

 ランドルフはまるで面白い演劇を見つけたような笑みを噛み殺す。

「ランドルフさま」

「なんでございますかな?」

 老爺は平然として返す。思索はしようともそれだけに埋没してしまうことはない。そもそもそれは一瞬の思考、戦場の極限状態で鍛えられた老獪なる思考回路は、間を空けることを許さないのだ。キャスリンは微かに口ごもるような様子を見せた。それは演技か、或いは素か。それを灰色の瞳が見抜こうとしたところへ、キャスリンが思いの外、あけすけに言った。

「旦那さまの為されること、執事長のランドルフさまとなれば把握しておくことは必須とは存じます。ですが、シャーロットさまの従者として――いえ、女として、お二人が為されている間、様子をお伺いすることは止めていただきたいのです」

 ランドルフに反応はない。而して、その灰色の脳細胞はどれだけの速度で回転していることか。

「――性愛術、あのような手技があるとは、驚愕の一言でございます。奧さまは旦那さまの手によって、口にするのも憚られるような嬌態を取らされておられました。あの様子を見られることは、貴族として、女として、そして人としても、――でございます」

「…………なんと」

 キャスリンが嘘を言っている様子はなかった。その様子に、これは陰謀、策略ではなく、名誉、矜持に関わる問題であることを、老爺をして分からせしめたのだ。

 それは言外に、

 ――奧さまはそのような痴態を見せることとなっても旦那さまとの子を望み、そして信頼している。

 ということを示してもいたのであった。

 これでは――動けない。ランドルフの実力であれば、彼女たちに見つからずに調べることも出来ようが、いくら一執事に身をやつそうとも、彼は騎士なのだ。名誉の侵害は、たとえバレなかろうが、自身の、騎士の矜持が許さない。監督役、お目付け役ではあれども、その前に、騎士の不作法はいただけぬ。

 その上キャスリンの言は、今のままであればシャーロットはデズモンド側につくということであって、もしもこの話をにすれば、こちらの陣営がどれほどの不利益を被ることになるものか、わからない――。

 ――ふむ、やりおる。デズモンドさまに爪の垢を煎じて飲ませたいくらいですな。

 恐らく――ではなく間違いなく、彼は嬉々として直呑みした上に舐め回しも辞さないに違いない。

 しかし、それならば、このような回り道をするよりも――、

 そう思う老騎士の言葉を、メイドが裏打ちしてくれた。

「シャーロットさまにお尋ねすることは控えていただきたいと、僭越ながらも申し上げる次第ですが、デズモンドさまからであれば、ランドルフさまには、私たちが知るよりも多くのことを教えていただけるのではないかと愚考いたします」

 ランドルフは、これは打算が含まれていようとも、彼女の真意であると判じた。灰色の老爺の笑みが、柔和に深まった。

「そうですな。そうすることといたしましょう。しかし、今は取り込み中であるとか?」

「はい、ですから私もこうして追い出されてしまったというわけです」

 ランドルフは軽く肩を揺らした。「ほっほ、それほどまでにデズモンドさまはシャーロットさまに夢中ですか」

「ランドルフさまは、デズモンドさまのことを軟弱者と言われますか?」

「いやいや、主人に向かってそのようなことは言えませぬ。それに、主人の夫婦仲が良いことに越したことはありますまい。度が過ぎるようであれば、私たちいさめれば良いこと。かんげんに困れば相談なされよ、見ての通り、年相応の経験だけはありますでな」

「はい、ありがとうございます。そのときは是非、お力を借りたいと存じます」

 お互いに軽く会釈をして離れる。年若いメイドと灰色の老執事。背を向けて廊下を二方向へと、再び、一般とは画した歩みで動き出す。

 キャスリンは今しがたの言葉を反芻する。

『私たちが諌めれば良い』

 つまりは、シャーロットの名誉がかかっている場面にランドルフは介入しない、そしてその場合、デズモンドを、シャーロット陣営であるキャスリンが諌めても構わないということだ。それは、キャスリンの言よりシャーロットがデズモンドにつくことを知ったランドルフからの、一種の権限許可でもあった。

 ――望外の収穫でした。

 と、思う。それでもその後、

『諌言に困れば相談なされよ』

 とは、情報共有、少なくとも、デズモンドを諌めるのであれば自分にもその情報を伝えろ、という交換条件に他ならない。しかしそれは、キャスリン、乃至はシャーロットにとってはメリットしかない条件ではあった。しかし、

 ――やはり『灰色の猟犬』、恐るべき傑物です。

 彼にはかつてテラス伯爵もスカウトをかけたことがあった。しかし彼はそれになびかなかったとは聞いていた。噂では、

『私がつくのは面白い方です。それに、『白金の破戒者』と『灰色の猟犬』が同じ勢力についてしまうなど、面白くないではありませぬか』

 と、穏やかに笑って辞退したという。

 ――怖ろしいお方です。しかし、そのお方が監督役としてつくということは、デズモンドさまは『灰色の猟犬』に面白いと思われていること。確かに、独特なお方であるとは思いますが――。

 先ほどは奧さまといっしょにスカートを捲って、旦那さまにパンツをお見せ申し上げた。

 何故下着などを見たがるのか。

 朝は自分が気を利かせたおかげで存分にシャーロットの下着は見られたはずなのに。それに、シャーロットの方も、ワザワザ見せるものではないとはいえ、下着を見せる程度のこと、排泄器を見せるわけでもあるまいし――どうしてあそこまで恥じらったのか。

 ――わかりませんね。

 しかしわからなくとも、性愛術なるものを受けた奧さまはあられもなく我を忘れて痴態を曝し、メロメロになったうえ――自身の子よりもデズモンドこそを求めている様子すらあった。

 ――奥さまがあのようになってしまわれるなど……、

 魔法的な洗脳をされてはいなかった。それに薬物もなしだ。それは自分もこの眼で見ていた。それでも性愛術を受けたシャーロットは、彼に幸せそうに付き従い、そして自分からも性愛術を受けることを望んでいた。

 いったい性愛術とはなんであるのか。そして、あれはそれほどまでに気持ちが良いものなのか……。

 そっと自身の艶やかな唇を撫で、メイド服の上から自分の胎を撫でた。先ほど、デズモンドにパンツを見せたとき、少しだけ、むずりとしたような気もした。だからこそ、シャーロットが隠しても彼に見せ続けていたのである。シャーロットにされたときには何も感じなかったはずなのに、この感覚はなんであるのかと。

 ――私も、デズモンドさまに直接お訊きした方が良いのかも知れませんね。

 一流のメイドは音も立てずに屋敷の廊下を歩いて行く。

 現在奧さまとお取り込み中であるデズモンドは、メイドのフラグが立ったことなど夢にも思わない。況してや、そのメイドが、老執事にフラグをおすそ分けしたなど――考えたくもないのである。


 ――性愛術とはなんですかな? 私にもお教え願えまいか。

『灰色の猟犬』ことランドルフお爺ちゃんからそう訊かれ、デズモンドが思わずお尻を押さえてしまうのはまた別のお話。


     5


「アッ、やぁ……、あぁぅん……、デズモンドさまぁ……、このようなことはぁ、……ヤァん……」

 普段であれば俺、デズモンド・ダムウィード男爵が独り切なく仕事にいそしんでいる執務室で、いつもであれば聞こえるはずのない、悩ましい女の喘ぎが響いていた。

 【防音】はバッチリ。この部屋の外に我が妻の可愛らしく、そしてあられもないが漏れ出すなどあり得ないのである。何せ魔法をかけたのはシャーロットだからな。

「俺は深く傷ついた、よってシャーロットに罰を与えようと思う」

 そう宣告した途端、この淫乱で可愛らしい二十九歳児の奧さまは、いそいそと【防音】をかけてくれたのであった。俺はソファーへと座り、シャーロットをお膝の上へと乗らせた。そうして後ろから手を回して、

 もっむもっむ、

 もっぎゅもっぎゅ、

「あぁ、ああぁアん……、デズモンドさまぁ、そんなにされてはァ……ンッ……、おっぱい、取れてしまいますわァん……あぁッ!」

 ネッチリもっちりと揉みしめれば、布越しでも豊満な果実の淫らな熱が伝わってきた。それに、ぷくっと内側から、触って欲しそうに盛り上がってきているポッチリだって……。

「アッ、あぁあん……」

 ――シャーロット、自分から乳首を触らせようとしてきてるな。

 くくく、だけど駄目だぞ、なんせこれは罰なのだから。俺は決して触ってはやらないのである。しかし、淫らに身悶えるがままにくねくねと腰を揺らし、俺のお膝に乗っけた安産型のお尻をこれでもかと擦りつけられてしまえば、罰を受けているのはむしろ俺のようだ。

 ――嗚呼、気持ち良い……。この、淫乱二十九歳児め。

 俺は善い薫りのする首筋へと、唇で食みついてやることにした。

「あぁッ! やぁあ、舐めないでくださいませ、デズモンドさまぁ……、ふぅううう……」

 ピクッ、ピクンっと跳ねる妻の肢体がたまらない。ふくいくたる髪の薫りが鼻腔を侵食して、罰だのなんだのどうでもいいから挿入してしまいたくもなってしまうのだ。俺からも腰を押しつけるようにしてしまい、乳を揉みしだく指にもますます熱が入ってしまう。

「あぁ、あぁあああ……、お、お尻に固いモノが当たっておりますわァ。デズモンドさま、とても昂奮していらして……」

「何を言っているんだ」

 ぷみゅっと乳首を押し込んでやった。

「アハァンッ」

 腕の中で、妻はイルカのように悶え跳ねた。だが夫である俺は逃してやらないのである。乳首から指を離して、再びもっむもっむもっぎゅもっぎゅ。

「んぅうううう……」

 ウェーブがかったプラチナブロンドの髪、その隙間から、真っ赤になった耳が覗いていた。

「ぺろっ」

「ヒィあんッ! や、やぁああ……、耳、耳は駄目ですのぉ……、ふぅううう……」

 いやいや、そんなの舐めないワケがないだろう。

「ちゅっ、ぺろぺろぴちょぴちょ」可愛らしい形の耳を、輪郭に沿って舐め回し、丹念に溝をホジって耳の穴へと舌を挿し入れてやった。

 可愛らしい声で啼きながら、我が妻は俺の腕の中で乳を揉まれながら耳を舐め穿られる。

「あふぅ、はひぃんぅ……。やぁあ、デズモンドさまが、デズモンドさまが頭の中に這入ってきてますのォお……。脳みそ、くちゅくちゅされちゃってますのぉお……」

 俺は得体の知れない触手生物ではないのだが。まったく、旦那のことを名状しがたき生物みたいに。こんな悪い妻には、おっぱいを揉む揉むする程度のお仕置きでは足りないようだ。

 豊満な果肉を揉み捏ねていた右手を、ソッと躰のラインに合わせて下げていけば、

「あぁ、あああああ……」

 くくく、滅茶苦茶悦んでやがる。聞いているだけで、俺の方が脳みそクチュクチュされている気分になってしまう。彼女の耳元で囁いてやることにした。

「シャーロット、何処を触って欲しい?」

 すりすりと、スカートの上から太腿を撫で回してやった。さらさらとした上質の布触りに、その下にあるムチムチとしたお肉の感触がたまらない。軽く押し込むようにすればモジモジと太腿を擦り合わせ、

「シャーロット、触って欲しいところが、ムズムズしてるんじゃないのか? ホラ、言うんだ。言えばそこをちゃあんとクチュクチュ触ってやるぞ?」

 太腿を撫で回す手を、少々内側へとすべらせてはやるが、魅惑の三角地帯までは、決して食指を伸ばしてはやらないのである。左手では、相変わらずおっぱいを揉む揉む。

「ふぅう……、デズモンドさまは意地悪ですわぁ……」

「何が意地悪なんだ? 最初に俺に酷いことを言っていたのはシャーロットの方じゃないか。言っただろ? これは罰なんだって。シャーロットの好きなことだけをしてしまったら、罰にならないじゃないか。ぺろっ、ぺろっ、ちゅっ」

 耳を舐めて頬にもキスをしてやった。

「はぁうぅう……、こ、これは、全部罰ではなくご褒美ですわァ……。んゃあぁ……デズモンドしゃまぁ……」

 くっ、うぅううう……、甘い声を上げながら背中でスリスリされれば、我慢する俺の方がやっぱり罰を受けているじゃないか。しかし、ソッと、朝に俺が留めてやったブラウスのボタンを、下から順番に、

 ぷちり、

 ぷちり

「は、あぁあ……」身をよじらせながら大人しくボタンを外される妻に、俺の背中ではゾクゾクと愉悦が昂ぶってしまう。

「夜になりゅ前に外すことになってしまったな?」

 ――しまったッ! 噛んだッ!

「はぁ、ン……」照れ隠しにすべすべの腹を撫で回してやれば、甘く、熱く凝った吐息が洩れたから善しとしよう。肩越しに現れた果実は、朝に俺が包んでやったブラに抱かれていた。ブラも白だったけれど――もしかしてこの世界、あまり下着の色には頓着しないのか? ワザワザ見せるようなものでなければそうなのかも知れない。ふふふ、では今度と言わず今夜、シャーロットの箪笥を物色して確かめさせていただくことにしようか。

 下心があるだなんてとんでもない。ただただ、異世界の文化を学びたいという、学術的好奇心のなせるわざなのである。

「シャーロットはどこを触って欲しいんだ?」

 すりすりと、子宮を意識させるようなつもりで腹を撫で回してやった。シャーロットがすでに発情しているからか、手の平には、胎の底から淫らな熱が伝わってくるような気すらした。

「はぁあ……、デズモンド、さまぁ……、お股、おま×こですわぁ。もう、触っていただかなくては、わたくし、おかしくなってしまいそうですのぉ……ハァン……」

 おかしくなりそうなのは俺の方なんだがな。

「犯されればもっとおかしくなるだろ?」

「やァッ、言わないでくださいませぇ……。ハァッ! ……ンぅう……」

 ようやくスカート越しにでも中心部に触れてやれば、シャーロットは軽く腰を突き出すようにして、俺にくったりと背を預けた。すりすりと、彼女の言うお股を擦ってやれば、熱い息を吐きながらふるりふるりと、まるで花の蕾が開くように身悶えを伝えてくれるのだ。

「シャーロットのここ、すごい熱くなってる。それに、押すだけでじゅぷじゅぷした感触が伝わってくるぞ?」

「デズモンドさまぁ……、もう苛めるのはおやめくださいませぇ……。もうすでに、わたくしは十分な罰を受けておりますわぁ……、このように、火で炙られるように躰をまさぐられて……、さ、先ほどの、下着を見られていたときから、ずっと、お胎が疼きっぱなしでしたのにぃ……。やぁ、意地悪しないで欲しいですのぉ……」

 そんなん言われたら意地悪せずにはおられんやんけ!

「ハァあンッ!」グッと割れ目の辺りを押し込んでやれば、シャーロットはビクビクっと震えて軽く「く」の字に曲がった。

「シャーロット、君、まさか今のでもうてしまったのか?」

「やぁあ……」

 軽く横抱きにすれば、真っ赤な貌で首を横に振られた。

 もう、なんなんだよこの魔性の生物。

「シャーロット……。ちゅ」

「デズモンドさまぁ……。ちゅぷ、んぅう……」

 唇を重ねれば甘えたようにしてさっそく彼女の方から舌を挿し入れてきてくれた。

「ふぅっ、ン……、んにゃあ……、ちゅぷ、ちう……、デズモンドさまぁ、お唾を、呑ませてくださいませぇ……」

「あ、ああ……」

 ――トロリ。

「んく、んきゅぅ……。美味しいですわァ。胸の奥がドキドキして、もう、止まれそうにありませんのぉ……」

 そんなにも、エメラルドの大きなをトロンと垂れ下がらせて見つめられてしまえば、俺だってもう止まれやしないのだ。

「シャーロット、俺のも触ってくれ」

「はい、デズモンドさまの、おち×ちんさまですわね……、嗚呼、とっても固くて、お熱い……。ハァ……」

 ホウ、と、

 恍惚とした貌で優しく撫でられた。

「デズモンドさまのお腰が、モジモジとしておられますわ……。気持ち良いのですわね」

「ああ、とても気持ちが良い……」

「――ふふ。お可愛いこと」

 おぉう……、肛門の辺りがぞくっときちゃったじゃないかぁ……。しかもシャーロットの手つきが滅茶苦茶愛おしそうで、股間の頭を優しくいい子いい子されれば、もはやこのママの手つきからは離れられないのである。

「シャーロット……ママ」

「はぅうッ! デ、デズモンドさまがわたくしの赤ちゃんになってしまわれましたわぁ。お、おっぱいお呑みになられますかぁ?」

 もちろんでございますとも!

「ひゃぁッ! 赤ちゃんは無理矢理下着を剥きませんわよ。いやらしい子ですわね」

「いやらしいママの子だからいやらしいんだ。ママの乳首、すごいぷっくりとしている」

 薄桃色の繊細な輪郭であったはずが、今にも取れそうなほどに膨れ上がって、乳輪からしてビンビンに勃起なされていた。乳輪に浮いたエッチなゴマ粒を、すりすりと撫で回す。

「ンッ、ふぅんッ! やぁ、赤ちゃんはそんなことしませんわぁ……」

「じゃあ吸って欲しいか?」

 そう、いやらしく撫で回しながら尋ね、

 ピンッ、

 と、乳首を弾いてやった。

「ひぅううううんッ!」

 ママはのけ反ってしまった。大きなおっぱいをぷるっぷるっと誘うように揺らして、弓なりに背をらして顎まで上げていた。

 シャーロット、ますます感じやすくなってるな。それじゃあ、いっただっきまーす!

「あっ! だっ、駄目ですわッ! 今お吸いになられてはぁッ! ひぃいいいンッ!」

 はむっ、ちゅっ、ちゅぷっ……

 責めるというよりは優しく労わるように唇で挟み、ねろねろと舌をまとわりつかせてやれば、面白いようにシャーロットは反応した。膨らみきった乳首にねっちょりと舌を絡みつかせ、ちゅっちゅっと吸い上げてやるのである。

 指も柔肉へと喰い込ませ、搾り上げるような蠢きで。

 ママはピクッ! ぷるるんっ! とおっぱいを弾けさせ、俺の後ろ頭にしがみついてあられもない声で吠えまくった。

 ――嗚呼、やべぇ、なんて至福なんだ……。止められない。止めたくない。このまま、シャーロットママのおっぱいに溺れてしまいたいぃ……。

 まるで遠吠えのようなのシャーロットのおっぱいへとぐりぐりと顔を擦りつけ――もちろん、おっぱいは左右あるのだ。片っぽだけじゃ、寂しいもんな。両方とも、ちゅぷぁちゅぷぁねちょねろと吸い回して、シャーロットにママになった気分をこれでもかと味わわせた。シャーロットのおっぱいからはまだミルクは出ないが、ガチガチになってしまった俺からは昂奮のあまりに発射されてしまいそう。

 じっとりたっぷりとシャーロットママのおっぱいを堪能し、唇を離せば、小指の先ほどに勃起した乳首が、俺の唾液に塗れて赤く腫れていた。そしてママは唇を半開きでエロティックな舌を覗かせ、涎を垂らして半分白目を剥いていたのである。ピクッ、ピクッと、小刻みな痙攣で。

 ――やり過ぎたッ! で、でも、シャーロットママの母性が物凄すぎて……。

「だ、大丈夫か、シャーロット……、すまない……」

 ソッと、舌で涎を拭い取ってやりながら俺の唾液を半開きの唇に注ぎ込んでやれば、

「んぅう……」

 と甘えるような声を出して舌に絡みつき、

「はぁあ……、もう、デズモンドさまぁ、やりすぎですわ。母親になるって、たいへんですのね」

 これだけ回復力のはやくて淫乱なママを、母親にするパパもかなりたいへんだと思う。シャーロットはエメラルドの瞳をますます艶っぽくさせ、俺を見詰めていた。

「デズモンドさまぁ……、わたくし、もう、我慢が出来ませんのぉ。はしたなくても構いませんわ。それ以上に、あなたさまが欲しいのですぅ……」

「シャーロット……。……ああ、俺もだ。俺も、シャーロットが欲しい。我慢が出来ない……」

 俺はソッとシャーロットをソファーへと横たえ、ベルトに手をかけた。その手つきを、シャーロットは夢見る乙女のような表情で、熱っぽく見詰めていてくれた。

あ……、逞しいですわ。ご立派な……、おち×ちんさまぁ……」

 そそり立つ肉柱を礼賛していただければ、ますます固く、逞しくなろうもの。完全な臨戦態勢を取った肉棒は、自分自身でもグロテスクだと思えるほどに血管を浮かび上がらせ、先も赤黒くぷっくりと膨れ上がっていた。

「ああ、わたくしも、脱ぎませんと……、いえ、デズモンドさまがお脱がしに……」

 可愛らしかったはずの奧さまのお口がだらしなく緩んで、淫靡な形でただれていた。

 雄を求める牝の貌。俺にこれでもかと吸われて赤く勃起した乳首が白い双丘の上でピンとして、膝を立てて股を広げてくれる彼女は、犯される乙女ではなく男を喰らう妖婦と化していた。

 俺も自然と口元がいやらしくなってしまう。

「淫乱なシャーロットは、俺にパンツを脱がしてもらいたいらしいな」

「デズモンドさまはその方がお好きではないのですの?」

「好きだ。自分で脱がすのも、脱ぐのを見るのも」

 俺の熱っぽい瞳と彼女の熱っぽい瞳が絡み合った。

「ハァあ……、デズモンドさまの、変態さま」

「それじゃあその変態に犯されたがってる奧さまは何になるんだ?」

「意地悪ですわ、デズモンドさま。いつも仰っているではありませんか。イ・ン・ラ・ン♥ と」

「はは、その通りだ」

 ――やべーやべー、今の蠱惑的な貌、挿入しなくても射精させられるかと思った。

「それじゃあ、淫乱妻の淫乱ま×こに、おち×ぽを……」

 とまで言ったところで、俺はふと気がついた。

 そう言えば、淫語を教えてないじゃないかと。

「シャーロット、何を、何処に欲しい?」

 俺は彼女の清楚なスカートをめくり上げ、まだ穿いたままのショーツへと、熱く固いモノを擦りつけた。

 ――シャーロットめ、もうショーツはラブジュースでべちょべちょだ。それに、滅茶苦茶熱い……。

 くぃくぃといやらしく腰を動かして擦りつければ、彼女の方こそくねくねと腰を揺すって俺に擦りつけてきた。くぅう……、気持ち良すぎるぅ……。

「んぅう、……、おま×こですわぁ……、わたくしの淫乱おま×こにぃ、デズモンドさまの逞しいおち×ぽさまをぉ……」

 それもイイ! しかし、

「シャーロット、それもイイのだがな、もっと言えないか? 俺が、思わず突っ込んでしまいたくなるような、いやらしい言い方で」

 たとえば――、と、耳元に唇を寄せて、ねっちょりといやらしく息を吹き込みながら囁いてやった。

「あぁ……、そ、そのようなはしたない言い方がぁ……、」

「ああ、そうだ。はしたない。だけど、おれの肉棒に触れてくるシャーロットのいやらしい汁はますます溢れて熱くなってるようだ」

 挑発するように、腰で彼女の太腿を押し広げて擦りつけてやった。

「ンッ、んぁあうぅ……。欲しい、欲しいですのぉお……」

「それじゃあ言うんだ。俺の何を、何処に欲しいのだ? 俺が言った以外の言葉でも良いぞ。だが、俺が昂奮して、思わず挿れたくなってしまうような……」

「アッ、あぁあああんぅ……、分かり、ましたわぁ……」

 さあ、はやくはやくハリーとばかりに、俺は躰を起こし、剥き出しの肉棒はショーツに当てたまま、耳まで真っ赤に染まったエメラルドの眸と視線を、至近で合わせた。

 ハァ……、

 と、熱くて甘い牝の吐息には、もはや眩暈がしてしまうほどに、俺は欲情していた。

 その花のように可憐な唇が、雄を誘う卑猥な睦言を奏でだす。

「デ、デズモンドさまのぉ……、太くて、逞しくて、熱いぃ……、お、お種を吐く、お種付けのお棒をぉ……、おち×ちんが、欲しいのですのぉ……。わ、わたくしの、擦られて悦ぶ、……は、はしたなくて浅ましい、牝の肉穴へとくださいませぇ……。わ、わたくしはぁ、デズモンドさま専用の女となりますのぉ。は、孕めずとも……、わたくし自身へと種を吐いて、……か、可愛がって、くださいませぇ……。お慕い申し上げておりますわ、デズモンドさまぁ……。

 ぁあ、おち×ぽ、おま×こに欲しいのですわぁ、ください、くださいませぇえ……、デ、デズモンドさまの……お種をぉ、……ちょうだいしたく、存じますわぁあン……」

 俺は、深く、浅く、野獣の息を吐いた。もう、我慢なんて出来ない。そもそも我慢しようとか、焦らそうとか考えていたことが間違いであったのだ。

 もはや暴発しそうになっている肉の先でシャーロットのショーツを押し退けると――ヌチャア、とした牝の欲望が、猛りに猛ったお種付けのお棒へと伝わってきた。

 俺は、そのまま――、

「はぁあああああンッ!」

 ヌヂュゥウウウッ!

 と、一気にシャーロットの奥へと潜り込んだ。途端、一斉に俺を抱きしめにきてくれた無数の襞ヒダ。熱い牝の果汁を溢れさせ、あなたに逢いたかったと言わんばかりの熱烈な抱擁で迎えられた。

 ――くぉあッ……、すげぇ……、やっぱり、シャーロット、抱けば抱くほど、具合が善くなっていく……ッ。

「アッ、あぁああああッ! デズモンド、デズモンドさまぁああんッ! お棒が、お肉のお棒が、気持ち良いのですわぁああッ!」

 むせび喚くシャーロットはさっそくとばかりに、自分からくぃくぃと腰をしゃくり上げてきた。キュキュンと膣口が肉の根元を締めつけ、ザワつく膣襞が、先ほどのお返しとばかりに肉膚を揉み上げてくれる。

「おッ、くぅうッ! キモチイイッ! シャーロット、君のおま×こは、ますます気持ち良くなってるぞッ! おぁあ……」

 このまますぐにでも射精してしまいそうな鋭い淫感、快美感、ずっと、このまま一つになって繋がっていたい陶酔感。まるで、本当に俺のためだけに用意されたような膣壺に、込み上げる射精感を必死でこらえ、臀筋に力を入れて我慢しながら腰を揺すった。シャーロットの言うお種付けのお棒で、お種を付ける肉の畑をゆるゆると耕してやるのである。

「はぁ……、気持ち良い……」