(幕間)政略結婚の妻とその従者



 彼をはじめて見たのは、わたくしの舞踏会デビューの時。

 幼い頃から絵物語の王子さまに憧れていたわたくしは、想像イメージにピッタリの彼を、わたくしの王子さまだと思いました。

 短く刈り込んだ金の髪、青い瞳。

 子供用の礼服に身を包み、端正な顔立ちで甘く微笑まれれば、わたくしのまだ小さかった胸はキュゥウン、と音を立てて締めつけられてしまうものでした。

「テラス伯爵家次女、シャーロット・テラスと申しますの」

「スウィフト侯爵家長男、ピーター・スウィフトといいます。美しいお嬢さま、ぼくと踊っていただけませんか?」

「はい、喜んで」

 わたくしは幼い頃よりテラス家の令嬢として仕込まれた礼儀作法、舞踏を披露し、粗相なく、彼と交流を持つことに成功しました。

 貴族にとって女とは子供を産むための道具。それでも貴族として人の上に立つ者であるからには一流の礼儀作法、立ち居振る舞い、教養が求められます。男であれば戦場を駆け抜ける気概、武勇。

 やがて、わたくしたちは典型的な貴族として、そしてその中でも模範的な存在として、まわりからも認められ、許嫁として認められました。

 わたくしは有頂天となりました。権謀術数が渦巻き魑魅魍魎ちみもうりょうばっする貴族社会、周りからの妨害、画策、横やりがある中で得た栄誉なのですから、尚更です。――尤も、それをおもてに出せばまたつけ入られてしまいます。それに何よりもはしたないことでしたから、当然、踊り跳ねることなどはあり得ませんでしたが。

 その婚約披露宴のことでした。わたくしと彼はソッと会場を抜け出し、屋敷のバルコニーで語らいました。

 空には満天の星。

 まるでわたくしたちの未来を星々が祝福し、満天の喝采をくれるかのような、そんな夜でした。彼は十四歳、わたくしは十三歳、彼が来年成人すれば、わたくしたちは結婚します。心地良いしゅんぷうやみを揺らし、わたくしたちの髪を、代わる代わるに優しく撫でては通り過ぎていきました。

「ぼくはいずれ武功を立て、諸国を打ち倒す将軍となりましょう。シャーロット、それを一番間近で見られる君は幸運な女性だ。誇りに思ってください」

「はい、それはもう」

 わたくしは柔和な笑みで微笑み返しました。

 素敵な春の夜、本当はここで愛を語らっていただきたかったですが、わたくしの好きな絵物語――愛を語らい女性を守る騎士、そのような男性はわたくしの憧れではありましても、所詮絵空事なのです。そのようなことを彼のような模範的な貴族がするわけがない。

 愛し合う貴族の夫婦はおりますが、それに憧れは抱いても愛にかまけて貴族の本分を果たさないことは強く非難されます。そして典型的な貴族としては、むしろ、男子たる者、剣を取り、魔法を振るい、他国の領地へ攻め入り武功を立てる、或いは国境を防衛する。女性ではなく領地を、武名、財産を守って、妻は自身の血筋をつなげる道具であり(それでも優秀な子を残すための母体ではありますから、民よりは数段上の財産とはなりましょう)、民は税を納めてくれる財産。それをハッキリと示すことの方が望まれます。

 ですから、自領の収益を気にすることはあれども、個々の民を気にすること、してや戦場で武功を立てられないなど、貴族の男子としてはもっての外です。それなのに。

「そう言えば、聞きましたか? ダムウィード家の三男の話」

「いいえ」

 とわたくしは首を振ります。そのお話はチラと聞きましたが、夫となる彼の顔を立てるために、知らないフリをするのです。それが、貴族の淑女としてのたしなみ。

「十二歳となった彼は初陣にのぞみ、敵と剣を交えるまでもなく、ただただ敵前逃亡したそうですよ」

「まあ」と眼を大きく見開きます。はしたなくない限りまで。

「まったく、考えられないほどに愚かしいことです。初陣と言えば、死ぬ心配のない戦場をてられるのが常です。まあ、ぼくのような男であれば、そうとも言えないのですが」

「ええ、流石はピーターさまです」

 訊けば、ダムウィード家の三男が送られた戦場とは、戦とは名ばかりの、新たに攻め滅ぼした街の掃討戦。こうした場合はゲリラが出るそうですが、それもほぼ片付けられ、後に残ったのはまばらな敵と戦場の空気。それを味わうための戦場とも呼べない戦場だそうです。

 そう、お姉さまが仰っていました。

 かく、それが彼の初陣だったそうなのですが、そこでダムウィード家の三男は怯え、逃げ帰ったそうです。しかも、死体を見て怖気づいたとか。

 貴族として、男として言語道断と、ピーターさまはふつふつと静かな怒りを燃やしておられました。しかもその三男は、あろうことか民の農地や外壁建設、狩猟具の向上など、下々の者に任せておけばよいことにこそ興味を持ち、それどころか、貴族にだけ許される魔法を下々の民のために使うそうです。それが三男で良かったものの、長男であれば眼も当てられません。

 女だてらに剣を持ち、戦場を駆け巡るわたくしのお姉さまのように、貴族社会では白眼視されてしまいます。尤も、だからこそわたくしがピーターさまのお相手として立てたのですが……。

「それだけの醜態を見せたのですから、もう二度と戦場には出られませんが、それでは貴族として生きている意味があるのかどうか」

「そうですわね、わたくしもそう思います」

「あなたが理解ある女性で良かった」

 言外に、わたくしのお姉さまが無理に自分の婚約者とならずに済んで良かった。そう思っていることが伝わらないわけもありません。わたくしはただただ上辺だけの追従を返します。

 そしてそんな彼が、わたくしの好きな絵物語に理解を示すわけもありません。

 ――あれは家に置いて来るか、すべて処分しなくてはなりませんわね。それともキャスリンに預けておきましょうか……。

 寂しくは思いつつも、わたくしは、わたくしの王子さまと認めた彼と添い遂げるため、そんなことを思っていたのでした。


     ◇◇◇


 領主邸の中庭、朗らかな日溜りで、領主夫人は燦々たる陽光にも負けないほどの陽気さでお茶を楽しんでいた。プラチナブロンドのウェーブがかった髪がキラキラと陽光を反射し、まるで神話に謳われる女神のぐしのよう。豊満な肢体は白っぽい繻子サテンのドレスに包まれ、その姿は色気を纏う妙齢の婦人であるよりも、まるで大好きなお兄ちゃんに遊んでもらえた少女のような様子ですらあった。

 心地良い紅茶の薫りを楽しみ、可憐な唇をつけてはほう、と、恍惚と夢見るような調子で吐息を洩らす。近年まれに見る――いや、彼女が前の嫁ぎ先より戻って以来、まるで見たことがなかった主の姿に、

「奥さま、昨夜は随分とお愉しみでしたね」

「ぶフぁあッ! ななな、何を言い出すのですかキャスリンッ!」

 奥さまははしたなくもお茶を噴き出してワタワタと顔を赤くされた。キャスリンと呼ばれたメイド服の従者は――黒のクラッシックなメイド服で、白のエプロンドレスにホワイトブリム。赤みがかった髪は後ろ頭でアップにしてまとめられていた。彼女の方がシャーロットよりも三歳年下の二十六歳ではあるのだが、いんぎんな態度に実直な様子は、今見れば彼女の方が年上のようにも思えよう。しれっと主を揶揄したことになんら悪びれるところなく、涼やかなぼうはあくまでも涼やかに、細めの瞳にスッと通った鼻筋はいささかの揺るぎもない。

「何を、と言われましても――私は事実を述べたまでで。あのような、我を忘れてのくんずほぐれつ、屋敷には他の使用人もいるというのにあられもなくはしたない大声で。私が【防音】の魔法をかけなくては奥さまはこの屋敷にはいられなかったでしょう。旦那さまは詰めが甘い。それとも――可愛いシャーロットを辱め、それを肴に愛でようとしていたのかも知れませんが? シャーロットさま、私が潜んでいたこと、お忘れでしたね?」

「あ、あああああああ……」

 プシューッ、ボンッ、ボンッ、と、シャーロットはまるで人間蒸気機関となってしまったかのように真っ赤になって湯気を噴いた。

 そう、シャーロットの幼い頃からの従者であるキャスリンは、彼女に言われ、もしもの時のためにクローゼットに潜んでいたのであった。数年来寝室を訪れなかったというのに突然、雰囲気が変わったかのようにして寝室に訪れると言った領主のデズモンド。もしもそれが自分を辱めるためであれば、シャーロットは死力を尽くして抵抗し、彼と刺し違えるほどの覚悟を抱いていた。その助力のために、キャスリンは潜んでいたのであったが――。

「一晩中、奧さまのあられもなくはしたない声をクローゼットの中で聞かされ、旦那さまの歯の浮くようなむつごと――旦那さまは奧さまのツボを善く心得ていらっしゃいました。蕩けた奥さまは旦那さまを名前で呼び、自分からもひたすらに男性器を受け入れられ――」

「あ、あぁあああああッ! 止めて、止めて止めて止めてェッ! わ、忘れてくださいませ、キャスリン、あれはどうかしていたのですわ。あのような場でクローゼットに潜ませていたことは申し訳ありませんが、デズモンドがあのような……」

 シャーロットは昨夜のことを思い出したのであろう、にへら、と顔が緩んでしまう。そのまま、えへ、えへ、と目元と口元が戻らない。

 ――まったく、堕ちましたね。チョロいものです。

 と思いつつも、彼女の幼い頃からの従者であるキャスリンは、それも納得するのである。

 前夫であるピーター・スウィフト侯爵から、子を孕めないということで実家に戻されてからというもの、シャーロットの消沈ぶりは凄まじかった。かねてからの憧れの相手であれば尚更であろう。そうして子を産まない道具としてデズモンド男爵に下げ渡されるとき、彼女はもう何もかもを諦めた様子ではあったのだ。貴族のプライドはせめて持ち続けても、それ以上はもはや何も望まない、と。それが――、

 昨夜の痴態、そして彼のあの言動、それを思い出してシャーロットは頬が緩みっぱなしなのである。

 幼い頃から共にいれば、シャーロットの甘い絵物語好きは身に沁みて分かっていた。何せ何度も、自分は王子役をやらされたのだったから。歯の浮くような台詞ならデズモンドよりも知っていた。しかし同時に、貴族社会にいてそのような男女の情愛など、文字通りの絵空事であることも。それは長じるにあたって当然シャーロットも心得ていたはず。

 いくら意中の相手と結ばれようとも、貴族の中で女は子を産む道具でしかない。そして甘い言葉を吐くような男は軟弱者と見られてもおかしくはなく、ねやうちでもそのようなことはあり得ない。

 だと言うのにあの男は、デズモンド・ダムウィードは……。

 ――シャーロット様、おめでとうございます。あなたは良いところへと嫁がれました。しかもあの性愛術なるものは、子を産めないシャーロット様をおもんばかってとのこと。急にシャーロット様に子を産ませようとしだすのには引っかかるところはありますが――、

 あの睦み愛に甘い睦言。王子役をやってきた自分には良く分かった。――本物だ。

 自分の立場を奪われたようでもやっとする部分がないと言えば嘘にはなるが、それでも敬愛する主が幸せを掴みはじめたことは祝福できるし祝福するしかない。これで子が産まれてくれれば……、

 ――いえ、流石にそれは、高望みが過ぎるというものですね。

 にへへ、と人格キャラが変わってしまったかのようなシャーロットに従者は、フゥ、と優しげな瞳で息を吐く。キャスリンの方が年下なのにまるで姉のようで、ただシャーロットの幸せを願っていた。だからこそ、

 ――旦那さま、もしもシャーロット様を泣かせるようなことがあれば、そのときは容赦致しませんので、お覚悟を。

 その時、デズモンドを唐突な悪寒が襲ったのだが、それは置いておいて、

「しかし、性愛術なるものはそれほどのものなのでしょうか? あれほどにあられもなくはしたない声で、奥さまが前後不覚となってしまうほどに」

「んぐ……」とバツの悪そうな顔になるシャーロットは、

 しかし、

 悪戯を思いついた子猫のように目を輝かせた。

「では、試してみましょうか?」


     ◇◇◇


「ちゅ、ちゅ……」

 シャーロットの寝室。昨夜デズモンドと彼女が交わり合ったしとねの上で、二人の美女が共に一糸まとわぬ見事な姿で向かい合っていた。シャーロットちゃん(二十九歳)はフンスと鼻の音が聞こえてきそうな様子だが、キャスリンの無表情じみた顔は何を考えているのか、感じているのか、傍目には分からない。

 性欲、性感――エロスのないこの世界、強いて裸を見せ合うようなことはないが、その代わりに見せたところで抵抗はないのである。例えば、排泄器を直接見られるようなこと以外は。

 昨夜デズモンドから受けたことを、シャーロットはキャスリンに試してみたくて仕方がなくなっていた。キャスリンも、自分のように前後不覚に、あられもない声で啼いてしまうのか――『お愉しみでしたね(笑)』などとは言えないようにしてみたい。しかし妙な意識に、トク、トク、と、色めく心臓の音まで聞こえてきそうなほどの静寂でもあった。

 シャーロットはウェーブがかったプラチナブロンドの髪で、二十九歳とは思えない、大きなエメラルドの瞳の幼げな顔立ち。二十歳そこそこにしか見えない童顔だが、その肉体は瑞々しい肌艶でクッキリと女を浮き立たせた豊満な肉体だ。一方の向かいのキャスリンは、赤みがかった髪を後ろ頭でアップにした涼やかな美貌で、彼女の方はスレンダーな体型……。

 そこでシャーロットは、試しにまずはキスをしてみたのであった。

 これは転世者の悪いエッチなおじさんに、エッチな世界を垣間見せられた仲良し美少女二人が(ただし二十九歳児と二十六歳美女ではある)、あれってなんだったのかしら、私たちでしても気持ち良くなれるものなのかしら? 試してみませんか、と、無垢に、無邪気に、興味津々で試している図なのであった。

「これが、キスですか」

 キャスリンがソッと唇に指を当てる所作は艶めかしく、同性でも見惚れずにはいられない。しかし、もっと頬を赤らめたり、甘い声を出したりを期待していたシャーロットは、普段とそう変わらないキャスリンの様子に拍子抜けさせられてしまった。

 と言うか、

 ――残念ですわね。

 という声が聞こえてきそうなほどだった。そして逆に、

「これをされて奧さまは旦那さまに蕩けてしまったと」

 キャスリンの口撃。

 奥さまにかいしんのいちげき!

「~~~~~ッ!」可愛らしいシャーロット奥さまは薔薇色の頬で口をもにゅもにゅとさせ、意を決して、――ガバッ!

 キャスリンへと飛びかかるようにして圧し掛かって、その、お互いに花弁のようである唇を重ねた。ぷるるんっ、と瑞々しい乳房が躍って、小振りな双丘と巨峰が押し合ってひしゃげる中、お互いの薄桃色の乳首がせんさいなアクセントを添える。奧さまはそのまま従者の口に舌を滑り込ませると、昨夜夫にされたように、ぬるぬると舌を擦り合わせ、唾液を呑ませ、唾液を吸った。

「……ど、どうでしょうか」

 従者の上で、破れかぶれになったような彼女は肩で息をし、ちょっと恨めしそうな眼で問うた。これなら効くだろう、だって、わたくしは……。

 しかし、

「どう、と言われましても……、不思議な感触だ、としか……」

 見上げてくるキャスリンは本当にそれだけのようだった。シャーロットは少しがっかりした様子で肩を落とし、メイドはそれに気を遣ったのか、優しく付け加えた。

「奇妙な感覚ですが――まあ、悪くないとは思います」

 ぱぁ、と奥さまの童顔は花のようにほころんだ。だが、

「シャーロットさまはこのようにして旦那さまに愛されたのですね」

 ボフンと花は弾け飛んだ。

「あうあう……」

 とキョドる二十九歳児。「酷いですわ……」などとのたまわれるが、本当に酷いのは、身を以て旦那さまとの惚気をキャスリンに伝えた奧さまの方ではあるまいか。

 しかし奧さまはめげないのだ。

「それなら、これはどうですの?」

 ぷみゅっ、

 と、自分の豊満には比ぶべくもないキャスリンの膨らみを、かき集めるようにして揉み捏ねた。それだけではなくすりすりと乳首を擦ってもやったのだ。

「感じませんの?」――わたくしはこれだけでもう腰をくねくねとさせてしまいましたのに。

「いえ、確かにピリピリ、チリチリとしたのものは感じますが、あれだけ乱れるほどでは。シャーロットさまが感じやすいのか、それともデズモンドさまが上手いのか、或いは――」

 ――奥さまが旦那さまにされるから。

 うぐぅッ、とシャーロット奥さまは言葉を詰まらせてしまう。

「旦那さまに甘い言葉を囁かれ、優しく、愛おしく愛撫されたから、シャーロットさまは感じられたのでは?――いえ、シャーロットさまが私を愛していないとは言いません。貴女さまが私に良くしてくれていることは、身を以て感じております。それでは手技の問題でしょうか?」デキるメイドは奧さまをこれでもかとずかしめてから、ちゃあんと逃げ道も用意していた。ちなみにその愛とは、あくまでも主従愛なのである。

「そ、そうですわね、デズモンドは性愛術なるものを学んだと言っておりましたし……」

「奥さまに子供を産ませるために」

「い、言わないでくださいませ、キャスリン……」

 ぷしゅうぅう、と湯気が出てしまいそうにじいる奧さま。その様子はもっと弄ってみたくなるほどに可愛らしいものではあったが、こうも全力でのろられると、どのように反応すれば良いのか分からない。

「で、では、他にもわたくしがされたことがありますわ」

 シャーロットはちゅ、ちゅと、キャスリンの首筋にキスを降らせて舐め、乳肌も舐めて乳首も舐めて吸ってみた。

「やはり、感じませんの?」

「そうですね、奇妙な感覚は確かにあるのですが……」

「そうですの、それではこちらは――」

 と奧さまは昨夜自分が旦那さまにヤられた通りに降下して、降下して――キャスリンに膝を立てて股を広げてもらい、赤みがかった濃い恥毛を掻き分け、恥裂を広げて、

 ――固まった。

「…………、シャーロットさま、これは確かに恥ずかしいものがあるかも知れません」

 いくら性欲、エロスがない世界とはいえ、当然羞恥はあった。排泄の穴を広げられては、性感を覚えなくとも恥ずかしい。微かに頬を赤らめたキャスリン。しかし、

「どうかされましたか、シャーロットさま?」

 奥さまは従者の恥裂を広げて固まったままであった。

 それもそのはず。性欲がないのであれば性行為――否、生殖行為の際に自分のモノがどうなっているかなど気にもしない。ワザワザ自分で確かめて見ることなどあり得ないし、してや人のモノを見ることなんて……。

 よって、シャーロット奥さまが女性器をまざまざと見るのはこれがはじめてであった。

 ――わ、わたくし、昨夜、このようなものをデズモンドに見られてしまったのですかッ!? こ、このようなぁ……。しかも、あのときデズモンドは、わたくしのこんないやらしいところに口をつけて、――ひ、ひぃあぁあああッ……!

「お舐めにならないのですか?」

「ヒゥンッ!?

 奥さまはおかしな声をお出しあそばされた。だが何も知らない従者は必殺の刃を以て女主人へと差し迫る。

「シャーロットさま……? 昨夜の旦那さまはシャーロットさまのおま×こに夢中で吸いついておられたのではなかったのでしょうか? かなりしつように。そして旦那さまもシャーロットさまも、どちらも恍惚の表情をなされて――イく? と仰っていたような?」

「い、い、い……いやぁあああああッ!」

 奥さまは昨夜自身がどのような卑猥なことを夫にされていたのかをまざまざと意識し、そして、それをすべてこの従者に見られていたことを心底分からされたのであった。

「どうなされましたかシャーロットさまッ!? やはりデズモンドさまが何かされていましたかッ!? おのれ旦那さま、そのペニス千切り取ってくれましょう!」

「だ、駄目! そんなことをしたら駄目ですわッ! デ、デズモンドは関係ないのですわ、そのようなことをされたら……」

 ――わたくしを奥まで愛していただけなく……。

「ひぃあああああッ!」奥さまは自爆した。

「やはり! では今から鋏を――」

「駄目ですのぉおっ!」

 全裸の美女二人、二十九歳児と二十六歳児は、大きなおっぱいと控えめなおっぱいをぶるんぶるんぷるんぷるん、わちゃわちゃもきもき、ベッドの上で飛び跳ねさせていたのであった。