第1章 政略結婚の妻シャーロット




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 突如として、私は自らが転生者であったことを思い出した。

 だから、さっそく妻のもとへと夜這いに行こうと思う――。


     ◇◇◇


「やあシャーロット」

 我が領主館の中庭、さんさんと陽光の降り注ぐ陽だまりに、私の妻であるシャーロットが憂悶の美をたたえて腰かけている。白木のテーブルに白磁のティーポット、ティーカップ、食べかけのスコーンを置いて、彼女は鉛のようなをして黙々と本を読んでいた。

 プラチナブロンドの、まるで星屑を纏ったかのような燦然としたウェーブがかった髪。私よりも一つ年上の二十九歳であるというのに、まるで翠玉エメラルドを嵌め込んだかのような大きなすいがんは彼女を随分と幼く見せ、頰は嫋やかな指で傾けるティーカップよりも白く、花びらのような唇に、まるで紅玉ルビーを溶かし込んだかのような紅茶をつけている。

 きっと誰もがそのティーカップになりたいと思うに違いない。或いはその紅茶に。く言う私だってそうなのだ。彼女は一つだけ溜息をこぼして、チラリと私を見た。

 まるで、

『あら、あなた、わたくしに声をかけるなんてよっぽどお暇ですのね。それではそこの庭石の方がよっぽど仕事をしていますわ』

 とでも言わんばかりである。

 というか言った。

 ――だがそれが善い。

 今夜のことを考えなくってもっきしてしまいそうになるものだ。

「今夜、君の部屋に行ってもいいか?」

「――」彼女は微かにエメラルドの瞳を広げたが、やがてつまらなさそうに、

「キャスリン」

「はい」

 まるで彼女の影のようにして佇んでいた従者を一瞥すれば、メイドはおもむろに彼女の部屋の鍵を取り出し、私に手渡しながら耳元で一言、ささやいた。