第九章 死闘の結末


「ハーハッハッハッハ!」

 ドラグバーンが暴れ回る。

 聖剣に斬られ、ブレイドやエルフ達の魔法で傷をえぐられ、逆に自分の攻撃は全て俺に防がれているにもかかわらず。

 全身を血で染め上げながら、それでも動きに一切の衰えを見せずに、ドラグバーンは暴れ続けた。

「『爆炎の双拳ダブル・バーンナックル』!」

 ドラグバーンが、ステラとブレイドを後ろにかばった俺に向けて拳を振るう。

 両の拳を同時に突き出した双拳による一撃。

 俺の握る刀は一本。

 二つ以上の同時攻撃はさばけない……とでも思ったか!

「二の太刀変型──『わいきょく連鎖』!」

「ぬ!?

 俺は『歪曲』によってドラグバーンの右の拳の軌道をゆがめ、左腕にぶつけた。

 右腕が左腕を殴り飛ばして止めたような形になり、ドラグバーンの攻撃は失敗に終わる。

 そして、その攻撃失敗のすきを突いて、ステラとブレイドが斬りかかるのが、この戦いの黄金パターンと化したコンボだ。

「『聖なる剣ホーリースラッシュ』!」

「『破壊剣』!」

「ぐおっ!?

 ステラの攻撃が新たな治らない傷をドラグバーンに刻み、ブレイドの攻撃が体中についた傷の一つを抉った上で吹き飛ばす。

「「「『落雷サンダーボルト』!」」」

「「「『吹雪ブリザード』!」」」

「「「『砂嵐サンドストーム』!」」」

「「『全属性の裁きジャッジ・ザ・エレメント』!」」

「ぐぉおおおおおお!?

 吹き飛ばされたドラグバーンを待つのは、エルフ達による地獄の魔法攻撃の嵐。

 加護持ちの魔法を中核に、多くの一般エルフ達が同じ魔法を使って、それら全てを合体させることで、彼らは聖戦士の攻撃に匹敵する威力の魔法を繰り出してみせた。

 当然、その全てが完全詠唱による魔法だ。

 九千人もの魔法使いがいれば、発動に時間のかかる詠唱魔法ですら、交代で絶え間なく使い続けることができる。

 そこへ絶望のダメ押しを加える、正真正銘の聖戦士、『賢者の加護』を持つエルフの族長親子による、ダブル最強魔法。

 普通の魔族なら秒で消し炭になること間違いなしの、凶悪な連続攻撃だ。

 そんな、えげつないコンボを、ドラグバーンはもう何度も食らっている。

 確実にダメージは蓄積しているはずなのだ。

 ステラが与えたダメージは治らず、その傷を抉るようにして他の攻撃で与えたダメージも明らかに再生が遅い。

 うろこは砕け、骨も砕け、肉は抉られ、牙は折れ、翼はボロボロになり、全身から青い血を垂れ流して。

 それなのに、ドラグバーンは倒れない。

 動きが鈍くなる様子もない。

 どれだけ傷つこうとも、ドラグバーンはただただ戦い続けた。

 尋常ならざる生命力。常軌を逸した闘争本能。

 まさに万夫不当。

 まさに戦いの……闘争の権化だ。

 これだけ追い詰めているのに、こいつがこのまま倒れてくれるイメージがまるで湧かない。

 むしろ、気を抜いたら一瞬でひっくり返されそうな怖さがある。

 いったい、どれだけのダメージを与えれば倒れてくれるというのか。

 終わりの見えない戦いは、ひどく精神をもうさせる。

 それでも俺は無心でやいばを振るい続けた。

 こいつの息の根が止まるその瞬間まで、この刀を離さない。

 それくらいの覚悟はこっちにだってある。

「オォオオオオオオ

 ドラグバーンがたけびを上げながら、口の中に炎の塊を生み出す。

 再三のブレス。

 これだけ繰り返されれば、それに対するこっちの対応もほぼ決まってくる。

「「「『泥沼マッドスワンプ』!」」」

「「「『空落フォールダウン』!」」」

「「「『落雷サンダーボルト』!」」」

「「「『鉄鎖スティールチェーン』!」」」

 ドラグバーンの足下に泥沼を発生させて足を絡め取り、上からたたきつける暴風で頭を押さえつけ、電撃でしびれさせた上に、鉄の鎖でがんじがらめにして動きを封じる。

 そこから口を目掛けて集中砲火し、ブレスを魔法で暴発させる算段だ。

「ぬぉおおおおおおお!」

 しかし、ドラグバーンはこれをね返した。

 足下が泥沼になる前に地面を蹴り、叩きつける暴風にボロボロの翼による羽ばたきであらがって上昇。

 電撃に打たれながらも、足に絡み付いた鉄の鎖を引きちぎり、俺達の上空を取る。

 そこでブレスを解き放った。

「『熱竜集束砲ドラゴロウ』!」

 放たれたのは、炎を凝縮させた熱線のブレス。

 威力が高い代わりに効果範囲の狭い技。

 もし俺を狙ったのであれば、『まが返し』で撥ね返せただろう。

 だが、ドラグバーンが狙ったのは俺ではなかった。

 俺でも、ステラでも、ブレイドでもない。

 野生の本能なのか、ドラグバーンは近くの相手を無視して、的確に己を追い詰める最たる原因となっている人物をピンポイントで狙った。

「へ!?

 それは、このフィールドを覆っている結界のかなめであるリン。

 彼女が倒れれば結界の強度が大幅に下がり、ドラグバーンの超火力を抑え込めずに突破されてしまうだろう。

 そうなれば、今までのような一方的な魔法リンチはできなくなる。

 あの野郎、やっぱり脳筋だけどバカじゃねぇ!

「いかん!」

「リン殿!」

「「『せいじゅんけっかい』!」」

「「「『聖盾結界』!」」」

 即座にエルばあとエルトライトさんがフォローに入り、攻撃魔法の詠唱を途中でやめて、無詠唱ながら結界魔法を発動した。

 他にもこういう時のために待機してたと思われるエルフの一団も結界魔法を張る。

 その全てをドラグバーンのブレスは粉砕した。

 こんしんの魔力でも込めたのか、ブレス自体がさっきまでのものとは別物に見える。

 というか、見た目からして若干違う。

 灼熱の赤の中に、所々あおい炎が混ざってるのだ。

 これがどういう意味を持つのかはわからないが、現実としてブレスの威力は上がっている。

 大してめてもいないのに、さっき戦況を一発でひっくり返したブレスと同等くらいの威力はありそうだ。

 これを最初から使わなかったのか。

 消耗が激しいのか、それとも何か発動条件でもあるのか。

 無理をして発動させているという可能性もある。

 だが、そんなドラグバーン渾身のブレスをもってしても、フィールドを覆っている結界全てを破壊するまでには至らなかった。

 リン達が全力で魔力を注ぎ込んで補強した五重の結界のうち三つを破壊したが、そこで完全に威力を殺され、ブレスは消滅。

 とはいえ、もう一発来たらヤバい。

 俺達は全力でドラグバーンの妨害をするべく、遠距離攻撃の集中砲火を浴びせた。

「『月光の刃ムーンスラスト』!」

「『黒月』!」

「『しょう剣』!」

 ドラグバーンがブレスを吐いている間に詠唱を済ませたステラの攻撃を中心に、俺達の攻撃が空中のドラグバーンにさくれつする。

 続いて、エルフ達の一斉攻撃も全弾命中。

 空中では魔法の炸裂によって大爆発が起き、その隙にリン達が結界の修復を急ぐ。

「ぬぅううううううう

 しかし、これでもドラグバーンは倒れない。

 爆煙を振り払い、修復中の結界目掛けて、今度は身一つで飛びかかった。

 ボロボロの翼をはためかせ、背中から猛烈な勢いで炎を噴射して、突進の速度を得る。

「させるか!」

 ドラグバーンの体捌きや力の入れ方、魔力の流れなどで動きを読んだ俺は、あしよろいの暴風を使って空中へ飛び出し、奴の前に立ちはだかる。

 俺達は空中で激突した。

「『炎星大爆裂拳メテオパンチ』!」

「『反天』!」

 加速できるだけ加速して放ったドラグバーンの攻撃。

 だが、まだまだ『反天』の餌食にできる範囲内。

 己の強すぎる力がドラグバーン自身に牙をき、その右腕に大きなダメージを与えてはじき飛ばした。

 しかし、ドラグバーンはそれも折り込み済みだったかのように、反発の勢いを利用して左拳を繰り出してくる。

 『反天』は……使えない。

 この距離で、しかも刀を振るった直後だ。

 破壊の呼び水となる衝撃を叩き込めなければ、『反天』は発動できない。

 だったら!

「『歪曲』!」

 弾けないなら、らして防ぐ。

 技一つ封じられたくらいで俺は揺らがない!

「『爆裂連打バーストブロー』!」

 ドラグバーンの次の手は、両の拳による嵐のような連続パンチ。

 左右の拳を交互に繰り出しているだけのシンプルな攻撃だが、ドラグバーンがやると炎の嵐に巻き込まれたかのような迫力がある。

 その全ての打撃を俺は『歪曲』で防ぎ切った。

 ドラグバーンの速度は俺の数十倍。

 つまり、奴の数十倍効率良く動かなければ、俺の防御は成立しない。

 刀を振っている余裕はない。

 できるのは、位置の調整、刃の角度、力の入れ方、受ける体勢、その程度だ。

 だが、それで充分。

 ドラグバーンの動きを全て読み切れば問題ない!

「ふんぬぅうううう!」

 そして、最後の最後。

 ドラグバーンがれて大振りを繰り出してきた時、俺はその攻撃を逸らさず、ぐに受け流して回転力へと変えた。

 回転しながらドラグバーンの腕の外側を通り、背後へ。

 そこで受け流したエネルギーを、斬撃に変えて解き放つ!

「一の太刀──『りゅうじん』!」

「ぐあっ!?

 ドラグバーンの力を斬撃の威力に変換したこくてんまるが、奴のボロボロの翼の片方を斬り落とした。

 ここは空中。バランスを崩し、支えを失い、ドラグバーンの体勢が大きく揺らぐ。

「オォラァアア! 『大破壊剣』!」

「ぬぉ!?

 そこへ全力ジャンプでドラグバーンの上を取ったブレイドが渾身の一撃をドラグバーンの背中に叩き込む。

 それによって、もう片方の翼も斬り落とされ、更には強烈な勢いで吹き飛ばされて、ドラグバーンは地上に叩きつけられた。

 それを狙い打つのは、この戦いの主力にして本命の女勇者。

「『聖なる剣ホーリースラッシュ』!」

 俺がドラグバーンと競り合ってる間に詠唱を終え、光り輝く極光をまとった剣で、ステラは奴に斬りかかる。

「『爆炎の拳バーンナックル』!」

 対して、ドラグバーンはどこまでも正々堂々、逃げも隠れもしない正面からの迎撃。

 ボロボロの拳に炎を纏わせて、全力でステラの聖剣を迎え撃つ。

 そして……

!?

 その時は訪れた。

 聖剣の一撃に耐えられず、ドラグバーンの拳が縦に斬り裂かれる。

 ドラグバーンは即座に無事な方の腕でもう一度拳を繰り出したが、そっちもまた遂に耐久力の限界を迎えたかのように聖剣の餌食となった。

 両の拳を斬り裂かれたドラグバーンの胴に、ステラは容赦なくトドメの一撃を放つ。

「ハァアアア!」

「ゴバッ!?

 それはドラグバーンの腹を大きく斬り裂いた上で吹き飛ばし……遂に、遂にあの化け物に膝をつかせた。

 勝った。

 そう思った奴も多いだろう。

 すぐそこにまで迫った勝利をつかむべく、エルフ達は最後の一斉砲火でドラグバーンの息の根を確実に止めにいった。

「く、くくく……」

 しかし、

「クハハハハハ……」

 この怪物は、まだ、

「ハーハッハッハッハッハッハ!!

 まだ、笑っていた。

 ドラグバーンの全身から炎が噴き出す。

 最後の力を振り絞っているように見える爆炎の放出。

 それがエルフ達の一斉砲火を相殺した。

「素晴らしい……! 実に、実に素晴らしい! この俺をここまで追い詰めたのは魔王以来だ! 認めよう! 心の底から認めて称賛しよう! 貴様らは、この俺の命を奪うに値する英雄達であると!」

 聞きようによっては敗北を認めたとも取れる言葉。

 だが、俺にはまるでそんな風には聞こえなかった。

 命懸けの修行の中で磨いた感覚が警鐘を鳴らす。

 何かが……何かが始まる!

 俺達の命を脅かし得る何かが!

 やがて、ドラグバーンの放出する炎が徐々に蒼く、蒼く染まっていった。

「貴様らが相手であれば、この命、ここで燃やし尽くしても悔いはない! 光栄に思うがいい! 貴様らを、このドラグバーンの生涯最後の相手として認めてやるのだからな!」

「何言ってやがる! この死に損ないが!」

!? よせ、ブレイド!」

 明らかに様相の変わったドラグバーンに向かって、ブレイドが突進していってしまった。

 不用意に、しかも単独で行くべきじゃない!

 戻れと言おうとしたが、遅かった。

 炎が収まり、その中から別人のように変わったドラグバーンが現れる。

 壊れた拳や折れた牙に蒼い炎を纏い、全身の傷口から流れ出ていた青い血もまた、まるで体という器に収まりきれずにあふれ出てきたかのようなそうえんに変わっている。

 その状態で、ドラグバーンは向かってくるブレイドに対して腕をいだ。

 腰も入っていない軽い一撃。

 目の前を飛び回る虫を手で払うように、軽く腕を薙いだだけ。

 そんな攻撃を受けたブレイドは、とっにガードに使った大剣を砕かれ、そのまま吹き飛ばされて結界と鉄の城壁をぶち破り、かなり遠くまで飛んでいった。

…………は?」

「『蒼炎竜ソウル・ドラグーン』。命を燃やし、魂を燃やし、それと引き換えに強大な力を得る、俺の最後の切り札だ」

 ドラグバーンがのんにこの状態の説明をする。

 確かに、命と引き換えにしていると言われても納得できるほどの超強化だ。

 力も、速さも、さっきまでとは大違い。

 一瞬で主力だったブレイドを吹き飛ばされ、結界をぶち破られ、城壁まで壊された。

 一瞬で、こっちの優位が全て消し飛んだ。

 ああ、本当に、冗談じゃない。

「さあ、戦おう。互いの命が燃え尽きるまで。楽しむとしよう。我が最後の戦いを。──行くぞ」

 最終形態となったドラグバーンが突撃してくる。

 エルフの里の決戦は、有無を言わさず最終ラウンドへと突入した。

「ブレイド様!? ブレイド様ァ!!

「落ち着くのじゃ、リン! 今、お主がブレ坊のところに駆けつければ戦線がかいする! ここは回復部隊に任せよ!」

「その通りです! 回復部隊、至急ブレイド殿の保護と治療を!」

「「「ハッ!」」」

 悲鳴を上げるリンをエル婆がなだめ、エルトライトさんがブレイド救出の指示を出している声が聞こえた。

 これでブレイドは大丈夫だろう。

 一応はガードも間に合っていたし、即死でもしてない限りは助かるはずだ。

 それより今は、こいつから目を離す余裕がない。

 蒼い炎を纏ったドラグバーンが突撃してくる。

 狙いはステラだ。

 背中から蒼炎を噴射し、失った翼の代わりの推進力にして、ドラグバーンは超速でステラへと迫る。

 その速度は、ルベルトさんの『せつ斬り』をほう彿ふつとさせた。

 悪い冗談のようだ。

 あの巨体が、目で追えないほどの速度で動くなんて!

「ハッ!」

 しかし、それを迎え撃つのは勇者であるステラだ。

 俺と違って、ちゃんとドラグバーンの動きを目で追っている。

 ステラは超速で繰り出されたドラグバーンの拳を聖剣で受け流し、反撃のカウンターで腹を斬りつけた。

 だが、

うそでしょ……!?

 ステラが信じられないと言わんばかりのきょうがくの声を上げた。

 カウンターをもろに食らったドラグバーンは……まさかの無傷。

 いくら咄嗟で無詠唱魔法すら纏っていない一撃だったとはいえ、強化された聖剣の攻撃を食らって完全に無傷かよ……!

 どうやら、あの蒼炎竜ソウル・ドラグーンとかいう状態、身体能力だけじゃなく防御力まで格段に上がってるみたいだ。

「ぬぉおおおおおお

 ドラグバーンが拳を振りかぶる。

 胴への斬撃を止められた状態で静止してるステラ目掛けて、上からたたつぶすように蒼炎を纏った拳を繰り出す。

 マズい!

「ステラッ!」

 俺が叫んだ直後、ドラグバーンの拳が大地を揺らした。

 比喩でもなんでもない。

 地面に叩きつけられた拳が、巨大なクレーターを作るだけじゃ飽き足らず、強烈な衝撃波をき散らすと共に、巨大な地響きのように大地を揺らしたのだ。

 その衝撃で、エルフ達の足場となっていた城壁が崩壊。

 この程度で死ぬエルフ達じゃないだろうが、これで上から一方的に魔法を放てていた地の利は失われた。

 だが、肝心のステラはなんとか今の攻撃を受け流せたらしく、衝撃波で吹き飛ばされ、所々に火傷やけどを負いながらも、軽傷と言える程度のダメージで生還していた。

 ひと安心、と言いたいところだが、そうもいかない。

 ドラグバーンが追撃の構えを見せている。

 体勢の崩れたステラに、さっきの超速攻撃を何度も叩き込まれるのはマズい!

「おお!」

 俺は全力で駆けてドラグバーンに肉薄し、背後から斬りかかった。

 暴風の足鎧のおかげで、大地が揺れている間も宙を駆けて距離を詰められたのが大きい。

 この攻撃で手傷を負わせることは期待していない。

 ただ、移動に合わせて攻撃を食らわせ、体勢を崩す!

「『炎竜の尾ドラゴンテイル』!」

 しかし、ドラグバーンはステラへの追撃をやめ、俺を迎撃することを選んだ。

 振り回した尾による一撃が俺に迫る。

 俺を警戒してくれてるからこその対応なんだろうが、それはうれしい誤算だ。

 そうきてくれるのが一番助かる。

「『流刃』!」

 俺は横薙ぎの尾の攻撃を飛び上がって回避し、下を通り過ぎる尾に黒天丸をぶつけて反動を得ることによって『流刃』を発動させた。

 ドラグバーンの動きは、俺の目では追えないほどに速い。

 だが、同じく目で追えないルベルトさんの『刹那斬り』だって俺は防いでみせた。

 目で追えないのなら、動きを完璧に読めばいい。

 剣の達人だったルベルトさんに比べれば、単純極まりないドラグバーンの動きは至極読みやすい。

 ドラグバーンの一撃を回転力に変えて、そのまま突撃の勢いと弾かれた時の衝撃を利用して奴の頭を飛び越え、天地が逆転した体勢でドラグバーンの眼球に向けて刃を振るった。

 向こうから迎撃を選択してくれた以上、ステラへの追撃は気にしなくていい。

 なら、ここは少しでもダメージを与え得る可能性に賭ける!

「ッ!?

 だが、そうくはいかない。

 俺の攻撃では、眼球すら斬れなかった。

 傷をつけることこそできたが、それこそまばたき一つの間に完全回復される。

 強化されたドラグバーン自身の力を利用する『流刃』を使ったにもかかわらずだ。

 防御力の上昇率も予想以上。

 回復力すらすさまじい強化がされている。

 命を代償にしているだけのことはあるってことか!

「『爆炎の拳バーンナックル』!」

 攻撃を防がれ、空中にいる俺目掛けてドラグバーンの拳が飛ぶ。

 この攻撃の威力も桁違いだ。

 よく見れば、拳自体はさっきのステラの攻撃で壊れたままだというのに。

 ドラグバーンのますますの化け物っぷりにおののきながら、動きを読んで攻撃を捌く。

 今の体勢は眼球への攻撃のために宙に飛び上がり、しかも上下が反転してる状態。

 しかも、刀は振り切った後。

 そんな状態で、今のドラグバーンの超速攻撃を受け切るのはキツい。

 だから、今回は防がない。

 残っていた『流刃』の勢いに加え、足鎧の発生させる風を蹴って下へ加速。

 眼球の前という文字通り目の前にいた俺に向けて斜め下から振るわれた拳を、真下へ加速することで回避する。

 そのまま体を回転させ、今度はドラグバーンの腹の前で足鎧の風を蹴り、離脱。

 さっき吹っ飛ばされたステラの前に着地して、改めて刀を構えながら次の動きを警戒した。

 そして、俺がドラグバーンから離れたタイミングで別の方向からの攻撃が奴を襲う。

「「「『電撃砲ライジング・ボルト』!」」」

「「「『魔氷吹雪ブリザードストリーム』!」」」

「「「『水流波ハイドロブラスター』!」」」

「「「『土竜巻ランドストーム』!」」」

「「「『爆風ハリケーン』!」」」

「「「『闇雨ダークレイン』!」」」

「「「『聖光撃ホーリースマイト』!」」」

 雷、氷、水、土、風、闇、光。

 崩れた城壁の上からエルフ達が放った、魔導の基本八属性の中で、どう考えてもドラグバーンに効かなそうな火を除いた全属性の魔法がドラグバーンの全身を撃ち抜く。

「「『全属性の裁きジャッジ・ザ・エレメント』!」」

 最後には、またしても賢者二人による最高火力の直撃。

 さっきまでなら充分にダメージを与えられていた連続魔法攻撃。

 だが……!

「効かぬ! 効かぬわッ!」

 今のドラグバーンには、致命打たり得ない。

 魔法の嵐に打たれても、蒼炎竜ソウル・ドラグーンとなったドラグバーンは平然としていた。

 与えたダメージは即座に再生していく。

 それどころか今まで与えたダメージすら、聖剣でつけた傷すらも徐々に回復してるように見える。

 どんだけだよ!?

「オォオオオオオオ

 ドラグバーンがほうこうを上げ、口の中に炎が生み出される。

 もう何度目になるかもわからないブレス。

 だが、このブレスは今までのブレスとは別物だ。

 その蒼い炎の塊からは、まるで、この世の全てを焼き尽くすかのような膨大な熱量を感じる。

「『蒼竜砲ソウルフレア』!」

 そして、蒼いブレスは放たれた。

 全方位から降り注ぐ全ての魔法を薙ぎ払うように、首を振ってぐるりと回転しながら放射された蒼い炎は、あらゆる属性の魔法を焼き払い、残っていた結界すらも容易たやすく溶かして、エルフ達に襲いかかった。

 城壁の残骸と共に、エルフ達が炎に包まれていく。

 ……全滅か?

 いや、魔法と結界でブレスの威力はがれていた。

 生き残った奴だってそれなりにいるはずだ。

 それでも、あの大軍勢をこうも容易く……!

 目に見える範囲で無事が確認できるのは、すぐそばにいるステラと、ブレスを防ぎ切ったらしいリン、エル婆、エルトライトさんの聖戦士三人だけだ。

 他のエルフ達も戦線復帰してほしいところだが……すぐには難しいだろうな。

「ステラ、傷は大丈夫か?」

「……ええ、もう完全に治したわ」

「そうか」

 ステラが無事なら、まだ勝ち筋はある。

 敵は強大だ。あれだけ強いエルフ達を、こうも容易く蹴散らすほどに。

 あれが命を引き換えにして得た力だというのなら、もしかしたら奴が自滅するのを逃げて待つのが最善手なのかもしれない。

 だが、あの速度相手にいつまでも逃げ回れるとは思えないし、ドラグバーンの命があとどれくらいで燃え尽きてくれるのかもわからない。

 逃げ切り狙いは得策じゃないだろう。

 なら、覚悟を決めて前に出るとしよう。

「あれを相手にチマチマと攻撃してても意味がない。お前は大技の詠唱に入れ。あいつに一撃で致命傷を与えられる強烈なやつのな。それまでの時間は俺が稼ぐ」

「アラン……」

「大丈夫だ」

 俺は一人でドラグバーンの前に歩み出ながら、後ろのステラに向けて、振り返らずに声をかける。

「俺を信じろ。俺は勇者を相手に勝ち越した男だぞ」

 後ろに庇う大切なおさなじみに向けて、精一杯カッコつけた、精一杯の強がりを。

 だけど、別に虚勢じゃない。

 やり遂げる自信がある。やり遂げるという意志がある。

 この程度の実力差、このくらいの修羅場、俺は何度もくぐってきた。

「……わかったわ! 任せたからね!」

「おう」

 ステラは俺を信じ、魔法の詠唱を始めてくれた。

 そんなステラの前方に、何重もの結界魔法が展開された。

 リン達の魔法だ。

 これなら余波くらいは気にせずに戦えそうだな。

 ありがたい。

 俺は少しだけ微笑ほほえみ、その笑顔もすぐに消して、鋭くドラグバーンをにらみつけながら奴の前に歩み出た。

「ほう! 一人で向かってくるか!」

 別に一人で戦うつもりはない。

 ステラに背中を任せたからこそ、リン達のサポートがあるとわかってるからこそ、他のエルフ達だってそのうち復活してくれると信じてるからこそ、俺はお前に立ち向かえるんだ。

 だが、そんなことを言う必要はない。

 俺がこいつに言うべきことは、たった一つだ。

「ドラグバーン。お前をここから先へは一歩も行かせねぇよ」

 絶対の意志を込めて、そう宣言する。

 それを聞いてドラグバーンは……笑った。

 べつを含んだちょうしょうなどではない。

 徹頭徹尾、最初から最後まで変わらない、戦えることが嬉しくて嬉しくてたまらないという歓喜の笑みだ。

「クハハハ! ハーッハッハッハ!! いい覚悟! いい心構え! この蒼炎竜ソウル・ドラグーンを前にして欠片かけらも恐怖していない! 最高だ! 生涯の最後に貴様のような男と戦えることを誇りに思うぞ!」

「そりゃどうも」

 そんな言葉を返しながら、俺は腰から刀を引き抜いた。

 この世界での俺の最初の相棒『怨霊丸』を。

 右手に黒天丸。左手に怨霊丸。

「最強殺しの剣変型・二刀の型」

 これが俺の切り札。

 前の世界では到達できなかった、仲間と共にあるからこそ辿たどり着けた、最強殺しの剣のもう一つの可能性。

 この力で、お前を倒す。

「来い」

 刃を構え、ただそう告げる。

 ドラグバーンは牙を剥き出しにして更に凶悪な笑みを浮かべ、突撃を開始した。

 最後の攻防が始まる。

「オォオオオオオオ

 雄叫びを上げ、ドラグバーンが俺への攻撃を開始した。

 最初の攻撃は、ドラグバーンらしく真正面から突撃しての全力右ストレート。

 俺はそれに対して、左手の怨霊丸を合わせた。

「『歪曲』!」

 怨霊丸の耐久力では、この蒼炎の膨大な熱量と一秒でも接触し続ければ溶け落ちる。

 だが、今のドラグバーンの攻撃速度はルベルトさんの『刹那斬り』にも匹敵する超速。

 接触時間は、まさに刹那の間だ。

 だからこそ、怨霊丸による受けが成立する。

 体格差によって斜め上から振り下ろされていたドラグバーンの拳の軌道は歪み、勢いのまま斜め下へと逸れることによって不発に終わった。

「ハァアアアアアアア

 しかし、一撃で決まるわけがないということは、これまでの戦闘でドラグバーンも十二分に理解している。

 右の拳を空振ったドラグバーンは、体をひねって下からすくい上げるような左拳を繰り出してきた。

 右ストレートから左アッパーへつなげるコンビネーション。

 今度はそれを右手の黒天丸で受ける。

 使う技は『歪曲』ではなく『流刃』。

 左へ軽く跳び跳ねて拳の軌道から逸れながら攻撃を受け流し、その力を利用して空中で右回転。

 勢いの乗った左足を、後ろ回し蹴りの要領でドラグバーンの土手っ腹に叩き込んだ。

「ハァ!」

「ぬぉ!?

 ドラグバーンにダメージはない。

 当たり前だ。黒天丸で眼球を斬りつけても軽傷なのに、蹴ったくらいでダメージを与えられるわけがない。

 だが、俺の狙いはダメージを与えることではなく、吹き飛ばしてステラから引き離すことだ。

 そのために斬撃ではなく蹴りを使った。

 誤算だったのは、胴体への軽い接触だけで足に結構な火傷を負ったこと。

「ッ!」

 さすがはマジックアイテムというべきか、足鎧はあの程度の接触なら耐えてくれた。

 しかし、それに守られてるはずの俺の肉体がもろすぎる。

 正直、間合いを保っていても、ドラグバーンが発する熱気だけで、かなりキツい。

 恐らく、刀の間合いの内側にまで入られて、その状態が五秒も続けば、俺は溶けるか燃え尽きるだろう。

 今の蹴りみたいなことも極力やらない方がいい。

「『治癒ヒーリング』!」

「『体力回復スタミナヒール』!」

 火傷を無視して突撃しようとしていた俺に、エル婆とエルトライトさんから二種類の治癒魔法が飛んできた。

 瞬時に発動できる下級の治癒と、こちらも失った体力を回復させる下級の魔法だ。

 あえて下級の魔法を選んだのは、治癒魔法も他の魔法と同じで対象に命中させる必要があるから、発動速度を取ったんだろう。

 激しく動き回る相手には当てづらく、下手をすれば敵に当ててしまう可能性もある。

 それを考えて即座に下級魔法を選ぶとは、さすが歴戦の魔法使い。ナイスアシストだ。新米聖女にも見習ってほしい。

 なんにせよ、これで大分楽になった。

 俺は軽くなった体でドラグバーンに突撃を敢行する。

「『爆炎の拳バーンナックル』!」

 そんな俺に対し、ドラグバーンは何度も見せた単純な攻撃での迎撃を選択。

 カウンター大いに結構と言わんばかりだ。

 反撃を食らっても大したダメージにはならないとわかってるからこそ、徹底的に力でゴリ押すつもりらしい。

 実際、下手な小細工されるより、よっぽど厄介なのは確か。

 やはり、こいつは自分の強みをちゃんと理解してやがる。

「『歪曲』!」

 それでも見慣れた攻撃ならば対処できるのも道理。

 怨霊丸による『歪曲』で再びドラグバーンの拳を受け流す。

「『爆裂連打バーストブロー』!」

 ドラグバーンが嵐のような連続パンチを繰り出した。

 さっきも使ってきた技を、さっきとは比べ物にならない蒼炎竜ソウル・ドラグーン状態で繰り出す。

 そのさまは、もはや嵐のようなという例えが陳腐に感じるほどだった。

 これは嵐のような攻撃どころの話ではない。

 今のドラグバーンこそが、蒼い炎の嵐そのものなのだ。

 まさに意思持つ天災のごとし。

 だが、それがどうしたというのか。

 天災に挑む覚悟がなくて、魔王軍となんか戦えるか。

 たとえどんなに強い敵が立ちふさがろうと、俺はいつもちっぽけな刀一本握り締めて、その全てを斬り払ってきたんだ。

 そんなこれまでの戦いに比べたら、こんな状況はでもない。

 昔と違って、今の俺には仲間がいる。

 俺の後ろには、誰よりも頼りになる幼馴染がいる。

 もう、俺は一人で勝たなくていいのだ。

 それがどんなに嬉しくて、どれだけ頼もしいことか。

 ……一人で戦いを楽しむお前には、きっと死ぬまで理解できないんだろうな。

 天災と化したドラグバーンに、俺は二本の刀を構えて立ち向かう。

 刀一本増えただけで、俺の戦い方は大きく変わる。

 この二刀の型は一人で戦うための型ではないのだ。

 だって、そうだろう。

 筋力に恵まれた英雄や剣聖ならともかく、無才の俺が刀の片手持ちなんかしたら、その刀に乗せられる力も、それを支えるための力も半減どころじゃなくなる。

 『流刃』を使おうにも、斬りつける時に力を乗せられないからロクなダメージを与えられない。

 黒月の威力はゴミになり、『禍津返し』を支えきれず、『反天』を繰り出す最低限の力も出ない。

 十全に扱えるのは、『歪曲』と『きりばらい』のみ。

 出来たての型だからこそ、俺の未熟さのせいで弱くなってる部分もあるだろう。

 それを差し引いても、普通に一人で戦う分には、刀一本を両手で扱ってた方がよっぽど強い。

 だが、十全に使える二つの技、『歪曲』と『斬払い』だけに限るのならば、この型の方が上手く使える。

 特に『歪曲』に関しては、刀が一本増えるだけで対応限界が倍どころではなく跳ね上がるのだ。

 片方の手が使えない状況でも、もう片方の手で対応できる。

 二ヶ所で同時に、あるいは交互に連続で『歪曲』を使える。

 それは、こと防御面においてとてつもないメリットなのだ。

 二刀の型は、攻撃のための型じゃない。

 逆に攻撃や反撃を捨てることによって、防御のみに特化した型だ。

 攻撃の全てを仲間に任せることにより、究極進化した絶対防御。

 そして、

「二の太刀変型──」

 この技こそが最強殺しの絶対防御の要。

 まだ未完成の二刀の型を、それでも使用した最たる理由。

「『わいきょくせんじゅ』!」

 倍の手数を得た『歪曲』が、ドラグバーンの攻撃全ての軌道を歪めて受け流す。

 二つの『歪曲』による相乗効果。

 それは足し算ではなく、掛け算の領域の効果をもたらす。

 一切の反撃ができない代わりに、命を捨てたドラグバーンの全力を封殺してしまうほどに。

「なんだと!?

 これはさすがに予想外だったのか、ドラグバーンは驚愕の声を上げた。

 その表情にわずかに焦燥が浮かぶ。

 しかし、すぐにそれを振り払って次の攻撃を繰り出してきた。

「ならば、これでどうだ!」

 ドラグバーンは拳の連打を続けたまま、口の中に炎を生み出して、ブレスの発射態勢に入った。

 だが、そんなことをすれば集中力が分散し、拳の軌道がより単純になる。

 俺は単純になった攻撃の軌道全てを読み切り、怨霊丸で受け流しながら僅かに距離を詰め、黒天丸をドラグバーンの口の中目掛けて振るった。

「三の太刀変型──『斬払い・くじき』!」

 出鼻をくじき、発射される前の魔法を霧散させる、斬払いの変型。

 これによってブレスの炎は消失した。

 撃ちたいのなら、また最初からだ。

 そして、こんな攻防を繰り返している間にも、ステラの詠唱はどんどん進んでいく。

 ステラに対して背中を向けている俺でもまぶしく感じるほど、後方から凄まじい光が溢れている。

 順調に超強力な光魔法の発動準備が進んでいるんだろう。

 このまま時間を稼げば、俺達の勝ちだ!

「ぬぅ! あれはマズいな……! 不本意だが、致し方あるまい!」

 そんなことをつぶやいて、ドラグバーンが動きを変えようとする。

 足に力が入り、重心が後ろへと移動した。

 後方へ跳躍する気か。

 もしや、俺を振り払ってステラを直接狙う算段か?

 正面突破にこだわらずに最善手を打とうとするのは正しい判断だが、俺がそれをさせると思うなよ!

 ドラグバーンの足が地面を蹴り、重心が完全に後ろに移動して足が地面を離れた瞬間を狙い定めて、黒天丸で左足首を刈るように振るう。

 同時に怨霊丸による刺突を左胸に放ち、全力で押した。

「ぬぉ!?

 ドラグバーンは左足を掬われた上に、後ろへ移動しようとした瞬間に前から押され、思いっきり体勢を崩す。

 尾で支えることによってなんとか転倒は避けたようだが、後ろへの跳躍は失敗に終わった。

「言ったはずだぞ。ここから先へは一歩も進ませないとな」

 俺を無視して行けると思うな。

 お前が先に進む方法は、ただ一つなんだよ。

「ステラのもとへ行きたいのなら、俺を倒してから行け」

 声を荒らげることなく、静かに研ぎ澄ました闘志を叩きつけながら、俺はドラグバーンに宣言した。

 それを聞いたドラグバーンは、一瞬目を見開いた後に笑った。

「ハーッハッハッハッハ! そうか! そうだったな!」

 まるでき物が落ちたように、ドラグバーンはことさら快活に笑う。

 「どうやら俺が間違っていたようだ! 障害を避けて進むなど俺らしくもない! 立ちはだかるものは粉砕して進む! それが俺のやり方だ!」

 そして、ドラグバーンは迷いのない目で俺を、俺だけを見据えて構えを取った。

「行くぞ、好敵手! お前を粉砕して勇者を潰す!」

「やれるもんならやってみろ」

「オォオオオオオオ

 雄叫びを上げ、ドラグバーンが突進してくる。

 今度は拳ではなく、肩から突っ込むショルダータックル。

 攻撃と進撃を同時にこなす動き。

 それに対し、俺はドラグバーンが加速しようとした瞬間を狙って飛び上がり、上から押さえつけるように両手の刀で『歪曲』を繰り出した。

 バランスを崩し、ドラグバーンが地面に沈む。

 しかし、次の瞬間には顔をこちらに向けて、溜めなしのブレスを放ってきた。

 それを怨霊丸による『斬払い』で霧散させる。

 今度はブレスをくらましに使い、炎の後ろから迫る全力パンチ。

 黒天丸による『歪曲』で受け流す。