ただでさえ高そうなお店で、こんなにどんどん飲んでお金は大丈夫なのか心配になって
俺もすぐに配信長者になると
なぜか今日の食事も俺のおごりみたいなものだからとお礼を言われてしまったけど、そこは意味がよくわからなかった。
なんでおごられた俺がお礼を言われるんだ???
小谷さんと喜田さんには俺が独身であることをかなり突っ込んで聞かれたけど、意外なことに隊の
みんな美男美女なのにやっぱりトップチームともなると、そういう時間も限られてくるのかもしれない。
隊の皆さんでさえそうなのであれば、俺に相手が見つかる可能性はゼロだな。防衛機構に所属したら万に一つでもモテることもあるだろうかと
ただ、小谷さんがほんのりピンク色が差した顔で、
「わたしが
と言ってきた時には、冗談とわかってはいても
小谷さんは、明るくてかわいらしいし、
「ちょっと、凛! いきなり何言ってるの!? お酒飲み過ぎたんじゃない?」
「だいじょうぶで~す。花岡さ~ん、わたしも~犬は苦手なんです。お
「はぁ、そうなんですね」
「そうですよ~わたしは
「猫ですか? いいと思います。ペットを飼えるマンションに住んだことはないんですけど」
「こんどペットOKのマンションに住んでみます?」
「え~っと、
「だ~か~ら~
「どこにですか?」
「わたしのところです~」
「いや、いや、いや、わたしのところって、本気にしちゃいますよ」
「もちろん本気ですよ~」
小谷さんのは冗談とはわかっていても心臓に悪い。
「小谷さん、やっぱりお酒飲み過ぎましたか?」
「ぜんぜ~ん。花岡さんって昔から強かったんですか?」
「え? いや、ぜんぜんですよ。どっちかといえば弱い方かと」
「だって、言ってたじゃないですか~。前に犬に
「あ~お酒の事じゃないんですか。そういえばそんな話しましたかね」
「しましたよ~。一生忘れませんから~」
「一生ってそんな大げさな」
「……忘れるわけない」
やっぱり小谷さんちょっと飲み過ぎたのかな。
「花岡さん犬に襲われた女の子も助けたんですか?」
小谷さんと話していると犬の話に興味をひかれたのか今まで静かに飲んでいた後藤隊長が、話しかけてきてくれた。
「いえ、ずいぶん昔の話ですよ。それにあれは助けたというより、俺が勝手に襲われたというか」
「よかったら、詳しく聞かせてください」
昔の失敗談を軽く終わらそうと思ったけど、思いの外後藤隊長が
「あれは、たぶん十年いや十五年くらい前なんですけど、仕事で営業回りしてたんです。そしたら女の子の泣く声が聞こえてきて」
「そうなんですね。それで花岡さんが助けに向かったと」
「いえ、そういうつもりじゃなかったんですけど気になってしまって」
「花岡さんらしいですね」
俺らしい? 俺ってこの二日で、そんなお助けキャラみたいな
「声のする方に向かったら女の子が結構大きな犬に襲われそうになってたんです。これはまずいと思って、大声で犬の注意を引いたんですけどね」
「さすが花岡さんですね」
「いえ、それが情けないことにそのあと犬がこちらに襲いかかってきまして。必死に
「大丈夫だったんですか?」
「いや~スーツはびりびりに破れるし、結構激しく
「…………」
あれ……。
内容が内容だったからか
「花岡さん……その時の女の子の事
「え? 女の子ですか? いえ、必死でしたし戻った時にはいなくなってたんですよ」
「あ……ごめんなさい」
「え? 小谷さんどうかしましたか?」
「い、いえ、なんでもないで~す。ありがとうございました~」
失敗談の落ちが流血でちょっと変な空気になっちゃったな。
「花岡さんは、昔からヒーローだったんですね」
「ヒーロー!? そんなんじゃないですよ」
「花岡さん
「喜田さんまでそんな……」
やばい。あの時の失敗談をこんな風に持ち上げられたら、
「花岡さんの事ですから他にも
「え、英雄譚!? そんなものありませんよ。あるわけないじゃないですか」
「そうですか? 事故にあった親子を助けたりとか……」
「あ~たまたまそういう場面に居合わせたことはありますけど、英雄譚とかそんなすごいもんじゃないですよ」
「それはいつ
「え~っと結構前ですよ。あれも十年は
「その親子は……」
「お母さんと
「その娘さんって高校生くらいの?」
「あ~そうですね。中学生か高校生くらいの娘さんだったかな~」
「……やっぱり」
「え? 後藤隊長どうかしましたか?」
「い、いえ。やっぱり花岡さんは花岡さんだな~と思っただけです」
「はあ、そうですか」
花岡さんは花岡さんだな~ってどういう意味だろう。
まあ、みんなお酒を飲んでいい感じだし、深い意味はないんだろうけど。
「いや~花岡さん
大仁田さんはお酒を飲むと少しキャラが変わってしまった。変わったというかちょっと
「俺も子供の
大仁田くん? 子供の頃からヒーローに憧れたのは俺と同じだしなんか嬉しいけど、イケオジヒーローって誰の事? まさか俺? 俺はイケオジでもヒーローでもないんだけど。
それにしても後藤隊の褒め殺しが、飲みの席でも止まらない。
もしかしたら、一生分褒められてしまったんじゃないだろうか。
確実に今までの四十年分よりは今日一日の方が褒められている。
楽しい時間というのは過ぎていくのも早いもので、あっという間にお開きの時間が来てしまった。
夜も
後藤隊長は大丈夫なのかと心配になったけど、まったく
「それじゃあ喜田さん行きましょうか」
「はい」
二人で歩きながら家路につく。
「花岡さん、今日は本当に良かったです。間違いなく人気出ますよ」
「またまた~。喜田さんにそんな風に言われたら調子に乗っちゃいますよ」
「花岡さん、本気にしてませんね? 後藤隊を
「150万!? すごいですね~」
「花岡さんわかってないです。花岡さんだからですよ」
「はぁ」
何が花岡さんだからなのかまったくわからないけど、とりあえず喜田さんが褒めてくれてるってことでいいんだよな。
「あっ、私の家ここです。送ってくれてありがとうございました」
「いえ、こちらこそ今日はありがとうございました。また明後日よろしくお願いします」
「こちらこそです。おやすみなさい」
喜田さんがマンションの中に入るのを見届けてから自分のマンションへと歩きで戻る。
それにしても喜田さんのマンションすごかったな。
多分、何億もするような部屋があるマンションだと思うけど、喜田さんの
ということは喜田さんは結構なお
なんか喜田さんのイメージにぴったりだな。
お嬢様で防衛機構でバリバリ働いてるなんてすごいな。
そんなことを思いながら、自分の部屋へと
喜田さんのマンションとは比べるまでもないけど、今回借りた寮の部屋は家賃十二万円の1LDKだ。
正直十二万円は俺にとって安くない。
それなりの金額だけど、職場から近いし防衛機構の給料を当てにして思い切って奮発してみた。
色々調べてみると寮ということもあってこの立地でこの家賃は格安らしい。
おかげで、以前の部屋と比べてもかなり快適に過ごすことが出来ている。
それにしても今日の料理は
美味し過ぎてお酒も進んでしまった。
すだち酒も料理も本当においしかったし、このまま
それにしても楽しいお酒だったな~。