ああ、もちろ──え? 俺、そんなこと言ったっけ。

 俺が言ったのは、独りになっちゃダメで、文芸部が一緒にいるって……あれ?

「えっと、その、まあ確かに一緒にいるって言ったよね。ええと」

「ありがとうございます。私、不安で。でも、こんなこと言ってもらえるなんて思ってもいなくて。あ、やだ。こんなところで泣いちゃうと、あざとい女だって言われちゃいますね」

 フフッと笑いながら涙をぬぐうしらたまさん。

 わいいけど、いや待って。俺、そんなつもりは──。

 バタン。その時、部室の扉が勢いよく開くと、二人の旧部員が飛びこんできた。

「白玉ちゃん、ちょっとコレ借りてくね!」

「こ、こっちこい、コレ!」

「え、ちょっと」

 コレこと俺は、強引にろうに連れだされる。

ぬくみず君、本気なの?! あの子の犯罪に手を貸すつもり?!

「つ、つもりなの、か?」

 が俺の胸を指で突き、まりのしばった髪がピコピコゆれる。

「いや、そんなつもりはなかったけど、流れってあるじゃん? こう、空気的なものが」

「いつもは読めないのに、なんでいまなの?! それこそ空気読みなさいよ!」

「は、反省しろ!」

 みなさん、俺批判はやめてください。

 この場をどうやって乗りきろうか考えていると、部室の扉がゆっくりと開き、中から白玉さんが顔をだす。

「あの……なにか私、ご迷惑おかけしてますか?」

 しらたまさんの不安そうな表情。

 俺たちは無言で視線を交わすと──かんねんして首を横に振った。