(いつからかしら……身内の死を悲しめなくなったのは。あれだけの時間を共にした仲間が死んだというのに、何も感じない。こんな薄情な私が聖女なんて笑えないわ。今はただ理想の聖女を演じているだけのアクトレスでしかない。でもそれで構わない……私はただこの世から悪人がいなくなればそれだけでいいのだから)
聖女の心中を知らず仲間たちのために祈りを捧げる聖女の姿を見て聖騎士アーニャは声を上げて涙した。
その後救援に来た教員たちの手によって聖女たちは保護されていった。教員たちは皆悲しげな表情を浮かべて祈りを捧げる聖女に同情し誰もが彼女が被害者であることを疑わなかった。
だがそれも聖女による演出である。仲間の死に対して悲しみ、傷ついた
被害者と加害者、両方を演じながらも周囲の同情を買うのが上手い。それが聖女エリザという女である。
(とりあえず敵の正体を調べることから始めましょう。まずは教会の内部からでしょうか)
仲間のために祈りながら別のことを考える聖女だった。
そんな聖女の様子を、魔物を放った張本人である交渉屋は離れた場所から観察していた。主人に結果を報告するために。