ホセ伯爵家にアポイントをとり、今日は待ちに待った奴隷商にやってきた。
奴隷商の館の前でホセ伯爵と息子のクリスが迎えてくれる。
「ようこそおいでくださいました。アブソリュート様、本日はよろしくお願い申し上げます。ご要望の通りに自衛能力のある奴隷を多く選びました。案内にはクリスをつかせますので何かございましたらクリスにお伝えください。護衛は……失礼しました、必要ありませんね。一応念のために奴隷の行動を制限しております。ご自愛ください」
「分かった。それと念のために言っておくが値下げはしなくてもいい。借りを作るのは面倒だ」
私はホセ伯爵に謝意を告げ、クリスに案内され奴隷商の館の中に入り、一番広い客間に通された。
「今からここに一人ずつ奴隷を連れてきます。契約のスキルで行動を縛っておりますので暴れる心配はありません。気に入った奴隷がいましたら私にお申し付けください。」
(なるほど……個別面接システムね。一生モンの買い物になるわけだから慎重に選ばなきゃならない。家と一緒だ)
「お待たせしました。準備ができたので一人ずつお見せします。まずは一人目、入りなさい」
薄い奴隷服を纏った小柄な獣人の女が入ってきた。私の顔を見て引き
「おっ、狼族のウルです。年は八歳です。えっえと、ウルを買ってくださぃ……」
(うわぁ今にも泣きそうな顔してるよ。そんなに嫌がられると毎回傷つくよなぁ。うわっ、クリス今にもキレそうな顔している。話題変えるためになんか話振ってみるか)
「クリス。ウルはまだ幼いがちゃんと戦えるのか?」
「はい。狼族は戦闘民族ですから、この年でも下手な貴族より強いです。現在のレベルは18でスキルは【索敵】と【獣化】です。伸び代も含めたらウルが一番オススメですね」
(ほう。索敵か。奇襲を防ぐには持ってこいだな。それにまだ幼いのもいい。今は怖がっているが優しく接していけば慣れていくだろう)
「そうか……ありだな」
「っ?! う、うわぁ…ひっぐぅ、ぐわあぁ!」
アブソリュートが購入に前向きなことに絶望してウルは号泣した。
泣きだしやがった。やっぱりやめようかなぁ。うわっ、またクリスがキレそうだ。
何もしていないが少し申し訳なく思ってしまう。
「とりあえず分かった。次を呼んでくれ」
強引にウルを下げさせ次を呼ばせた。
次に呼ばれたのは四十歳くらいのムキムキの女だった。……あっないわ。
「エリザベスだ。年は四十三だ。買ってくれたら可愛がってやるね。お坊ちゃん♡」
ウインクをしながら積極的にアピールをしてくる四十三歳。
全身に鳥肌が立ち今すぐコイツを下がらせろと本能が訴えてくる。
(うわぁ……ないわぁ。にしても一般人にしては結構強いんじゃね? 買ったら絶対襲われるじゃん。)
「エリザベスは元
(マジか。ていうかあいつめっちゃ私のこと熱い目で見てるんだけど……スキル利いてないのか? なんかめっちゃ息荒げて興奮しているし。分かった、あいつショタコンか! ショタコンに力を与えちゃダメだろう。ショタたちが駆逐されるぞ。駄目だ……あの女を自由にしてはいけない。エリザベスは一生この館にいるべきだ)
「分かった。次を呼んでくれ」
エリザベスは手ごたえを感じたのか、期待のこもった目で最後までこちらを見ていた。
次の奴隷が入ってくる。女騎士って感じの
「マリア・ステラ。年は十五」
マリアはそれだけ言って黙った。嫌われてはいるだろうが表情には出してない。大人の対応だと思った。
(んっ? マリア・ステラ……どこかで聞いた気がする)
「マリアは元貴族でしたが、多額の借金を返済できず奴隷になりました。騎士としての技能を持っています。固有魔法は十五になる前に売られたため、継承していません」
……クリスの話を聞いて思い出した。
マリア・ステラは『ライナナ国物語』の年上お姉さん系ヒロインだ。初めはツンツンしているが主人公に買われて接しているウチに亡くなった弟と面影を重ねて段々と甘やかしてくれるヒロインだ。
『おい! もうへばったのか!! ……仕方ないな。ほら膝を貸してやろう。起きたら、修行の続きだからな。ふふっ♪ 可愛い寝顔だ♡』
『ほらっタオルをどけろ! しっかり洗えないではないか!! なっ、何を大きくしている?! 全く、男の人っていつもそうだな。ほらちゃんと洗ってやるから恥ずかしがるな』
(全くけしからん奴だな、主人公は。だが、今のウチにマリアをこちらの陣営に置いておけば主人公側の戦力を奪うことができる。それに、今後行われるマリアのイベントを終えればマリアは固有魔法を使えるようになり伸び代もある。決まりだな)
「クリス。決まった」
「エリザベスですか?」
おい、エリザベスを売りつけようとするな。
「ウルとマリアを買う。契約を頼む」